既存不適格建築物は、現存する建築物のうち、建築時点の法令では合法だったものの、その後に法令などの改正があり、現時点で適用される法令においては不適格な部分が生じた建築物のことをいいます。
建築基準法3条2項では、建築基準法および施行令等が施行された時点において、すでに存在していた建築物等や、その時点ですでに工事中であった建築物等については、建築基準法および施行令等の規定に適合しない部分を持っていたとしても、これを違法建築としないという特例を設けています。
この規定により、事実上違法な状態であっても、法律的には違法でない建築物のことを「既存不適格建築物」と言います。
なお既存不適格建築物は、それを将来建て替えようとする際には、違法な部分を是正する必要があります。
また、建築基準法10条では、特定行政庁は、既存不適格建築物であっても、それが著しく保安上危険であり、または著しく衛生上有害であると認められる場合には、相当の猶予期限を設けて、所有者等に建築物の除却等を命令することができるとされています。この規定により特定行政庁の権限において、著しく老朽化した既存不適格建築物を撤去すること等が可能となりました。
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