自然災害から命を守れ!歴史から学べ!(第3回) | 仲介手数料無料のREDS

仲介手数料最大無料】不動産流通システムREDS宅建士/CFP/1級ファイナンシャル・プランニング技能士/公認不動産コンサルティングマスターの堤 延歳(つつみ のぶとし)です。社会人スタートは教育業界で約10年。その後、不動産業界での門を叩いてからは今年で18年目となりました。

 

2021年7月2日夜から東海・関東の太平洋側で記録的な大雨が降り、静岡県熱海市で大規模な土石流が発生しました。多くの家屋が流され、現場では行方不明者の捜索活動が続けられています。7月23日現在、死者は19名、行方不明者8名、被害棟数131棟とのことです。被災された皆さまに心よりお見舞い申し上げます。

 

この熱海で起こってしまった伊豆山土砂災害を見て、これから不動産を購入しようとされているかたにぜひ知っておいてもらいたいことをテーマにしてみたいと率直に思いました。

 

テーマは【自然災害から命を守れ!歴史から学べ!】です。

 

今回はREDS不動産エージェントとして1歩踏み込んだ災害リスクの考え方や調べ方などをお伝えしたいと思います。ブログなので都合4回に分けて書きたいと思います。今回は第3回目です。

 

第1回(7月9日投稿済み)
 土砂災害リスク!歴史から学べ!
第2回(7月16日投稿済み)
 ハザードマップ、国土地理院地図から災害リスクを読み解く方法 
第3回(7月23日投稿)← NEW!
 水害リスクの高い土地とは?洪水から命を守れ!
第4回(7月30日投稿予定)
 地震で大きな被害を受けやすい土地や建物とは?

 

 

ここ最近の自然災害は人間の予想を超える事態が多く、それに対する備えが非常に大事になってきております。日本は災害の多い国です。この世から災害をなくすことはできませんが、被害を減らすことは可能です!

 

災害の発生が予想されるときに私たちひとりひとりにできることは、的確な判断をしてすばやく避難のための行動をとることです。しかしながら、それがなかなかむずかしいことも事実です。なぜ避難が遅れてしまうのでしょうか。それは「災害時における人間の心理」が被害を拡大している側面があるようです。

 

災害時の人間の心理(認知バイアス)

人間は物事を自分に都合がよいようにバイアス(偏った見方)をかけて認知する傾向があり、災害時にリスク情報が過小評価されることがあります。

  • 正常性バイアス:人間は、少々変わったことがおきてもそれを異常だとは思わない傾向がある。これくらいは普通の範囲内だと思いたいからである。
  • 楽観主義バイアス:まさか自分のところが被害にあうとは思わなかった。
  • 確証バイアス:前回、警報が出たけれど、たいしたことがなかったから今回も大丈夫だろうと思っている。
  • 集団同調性バイアス:自分自身で判断できないために、他人の様子を見て、それを自分が判断する上での基準として採り込み、結果的に他の人と同じ行動をとる。

実はこのような認知バイアスへ陥らないための対策があります。

それは災害に対する訓練等を通じて「こういう事態に直面したらこのように行動する」という認識を身体にインプットすることです。その例として東日本大震災の際、津波による被害に見舞われた岩手県釜石市における小中学生の生存率は99.8%と非常に高いものでした。これは「津波の恐れがあるときは各自ばらばらに一刻も早く高台に逃げて自分の命を守れという考え方」が昔から地域に根付いており、普段から繰り返し防災訓練が行われてきた成果と言われております。

 

その考え方を三陸地方では【津波てんでんこ】と呼んでいて、防災思想として昔から語り継がれているそうです。

 

それでは本題にいきます。

水害リスクの高い土地とは?洪水から命を守れ!

 

水害の代表的なものとして洪水(外水氾濫・内水氾濫)・高潮・津波などがあります。

「洪水」とは、台風や豪雨によって河川の水かさが通常よりも増した状態のことです。この洪水には「外水氾濫」「内水氾濫」の2つがあります。

 

「外水氾濫」とは、豪雨などによりかさが増した河川が堤防から溢れたり、堤防が決壊したりすることで発生する洪水です。河川の泥水が建物に浸水するため、洪水が引いた後も土砂が残されるなど復旧に時間がかかってしまいます。

 

「内水氾濫」とは、豪雨などにより排水路や下水管の雨水処理能力を超えた場合に溢れてしまい、建物や道路が浸水してしまう洪水です。大雨のときにマンホールなどから水が溢れて道路が冠水している映像をニュースで見たことがある人も多いと思いますがそれが「内水氾濫」です。都市部は道路がコンクリートなどで覆われていますが雨水が浸透しづらい特徴があるため、大雨が続くと発生しやすくなります。

 

「高潮」とは台風により気圧が低下し海水が吸い上げられたり、強風によって海面が吹き寄せられたりして海面の水位が通常よりも上昇し、陸地に海水が侵入する災害です。

「津波」とは、地震などで海底・海岸地形が急変することによって発生する大規模な波のことで、海底から海面までの全ての海水が波となって一度に動くため凄まじいエネルギー量になります。津波は周囲の物を破壊しながら陸に押し寄せていきますが、波が引いていく場合も力が衰えることはなく、破壊したものを引きずり込んでしまいます。そのため、短時間でも大きな被害が発生しやすいです。

 

 

前回のブログでは地形と自然災害が密接な関係にあることを検証してみました。熱海の土砂災害で起こってしまった土石流は、その流れ出した場所のほとんとが土石流や斜面崩壊の恐れがある「山麓堆積地」でした。実は水害リスクも土砂災害と同様、地形分類からその危険性をある程度推定することができます。

 

実はこのような場所が水害リスク大!

                 資料は滋賀県耐水化建築ガイドラインより

 

低平地・・・勾配が緩く、海や河川の周辺かつ水位環境の影響を受けやすい場所

干拓地・・・干潟や湖沼を人工的に陸地に変えた場所

道路鉄道敷・・・道路や鉄道を敷くために連続盛土をしている場所

河川合流部・・・河川合流部は水の逃げ場がない

狭窄部・・・川幅が突然狭くなる場所、水の流れが悪い場所

 

他にも水害リスクが高い場所として「旧河道」「氾濫平野」「後背湿地」「海岸平野」「三角州」「砂州」などがあります。治水地形分類図でも確認できますので気になる場所があれば一度確認してみて下さい

 

治水地形分類図のサイトhttps://www.gsi.go.jp/bousaichiri/bousaichiri41043.html

 

ひとつ例をあげて検証してみます。鬼怒川で発生した平成27年9月の水害です。

平成27年9月9日から11日にかけての関東・東北豪雨により、茨城県を流れる鬼怒川が氾濫し堤防が決壊、流域の5つの市が洪水に飲み込まれ、住民は孤立し約4300人が救助、20人が死亡。建物等の被害は全壊が81棟、半壊が7090棟、床上浸水が2523棟、床下浸水が13259棟など、大被害を受けました。この鬼怒川の氾濫も治水地形分類図から、浸水の危険性が分かります。

 

    【鬼怒川の浸水範囲】

   

                   

台地・丘陵・・・台のように周囲の低地に比べて盛り上がっている平らな土地のこと

自然堤防・・・川の両側に洪水で運ばれた土砂が堆積してできた丘のような地形

氾濫平野・・・過去の洪水によってつくられた平野。洪水氾濫の他、内水氾濫も発生しやすい。

後背湿地・・・自然堤防の背後にできる湿地帯。わずかな降雨でも浸水しやすく、浸水深・浸水時間ともに大きくなる。

 

鬼怒川の氾濫による浸水範囲が緑や黄色の部分とほぼ一致しているのが分かると思います。このように歴史上、洪水がたびたび繰り返されてきた場所は水害リスクが高く、それに対する備えが大事となってきます。

 

水害リスクのまとめ

・地形と災害はとても関係が深い

・日本の平野は洪水災害リスクが高い場所が多い

・川が氾濫しなくても浸水することがあるので注意!

・川への排水ができずに浸水することもある

・内水氾濫は周りより低い土地で発生しやすい

・治水地形分類図を見るとその土地の洪水危険性がわかる

・水の流れは地形で決まるため、身の回りの地形や土地の高低をよく観察しておく

 

地形を知り、災害から身を守る方法を身に付けることが大事!

 

「天災は忘れた頃にやってくる」という言葉がありますが今の時代には通用しません。「天災は毎年必ずやってくる」と言っても過言ではなく、有事に備えて被害を少なくするための心掛けと準備をしておくこと、それが大事だと思います。

 

 

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