【仲介手数料最大無料】不動産流通システムREDS宅建士/CFP/1級ファイナンシャル・プランニング技能士/公認不動産コンサルティングマスターの堤 延歳(つつみ のぶとし)です。社会人スタートは教育業界で約10年。その後、不動産業界での門を叩いてからは今年で18年目となりました。
2021年7月2日夜から東海・関東の太平洋側で記録的な大雨が降り、静岡県熱海市で大規模な土石流が発生しました。多くの家屋が流され、現場では行方不明者の捜索活動が続けられています。7月16日現在、死者は12名、いまだ行方不明者が16名とのことです。被災された皆さまに心よりお見舞い申し上げます。
この熱海で起こってしまった伊豆山土砂災害を見て、これから不動産を購入しようとされているかたにぜひ知っておいてもらいたいことをテーマにしてみたいと率直に思いました。
テーマは【自然災害から命を守れ!歴史から学べ!】です。
今回はREDS不動産エージェントとして1歩踏み込んだ災害リスクの考え方や調べ方などをお伝えしたいと思います。ブログなので都合4回に分けて書きたいと思います。今回は第2回目です。
第1回(7月9日投稿済み)
土砂災害リスク!歴史から学べ!
第2回(7月16日投稿) ← NEW!
ハザードマップ、国土地理院地図から災害リスクを読み解く方法
第3回(7月23日投稿予定)
水害リスクの高い土地とは?洪水から命を守れ!
第4回(7月30日投稿予定)
地震で大きな被害を受けやすい土地や建物とは?
早速、本題にいきます。
ハザードマップ、国土地理院地図から災害リスクを読み解く方法
ここ最近の自然災害は人間の予想を超える事態が多く、それに対する備えが非常に大事になってきております。自然災害の例としては【地震】【土砂災害】【ゲリラ豪雨】【スーパー台風】などが挙げられますが、水害の起こりやすい【低地エリア】、土砂災害の恐れがある【山裾エリア】、津波の危険性がある【沿岸エリア】などは特に注意が必要だと思います。
そもそも日本の国土は次のような特徴があり自然災害が発生しやすい環境です。
- 国土の70%が山地である → 土砂災害が発生しやすい
- プレートが沈みこむ位置にある → 地震や火山活動・地殻変動が起きやすい
- 温帯湿潤気候である → 梅雨や台風時に豪雨が発生しやすい
物件選びにおいても水害や土砂災害などの災害リスクが少ないエリアを重視される方がここ数年増えているような気がいたします。ハザードマップを検索しながら物件の立地を検討されている方もいれば、土地勘がある方は事前に災害リスクを想定して「この○○街道より北側限定で物件を探してください」「この路線より南側の物件限定でお願いします」といったリクエストを頂く事もよくあります。やはり昔から住んでいる方は、昔はそこがどういう土地だったのかをよくご存じなので当然お客様の条件に沿った物件探しをすることがベストとなります。
やはりお客様にとっての不動産の価値は、単なる地価相場や利便性といった見方だけではなく、災害リスクの少ない土地・良好な地盤などといった安全性も加味されて決まるところがあると思います。土地であれば「地盤」や「地形」、建物であれば「耐震性」「耐久性」「省エネ」などがポイントとなります。
まだ記憶に新しいとは思いますが平成30年7月豪雨や令和元年台風19号などでは甚大な大規模水災害を受けました。それがきっかけとなり、不動産取引時においては水害リスクに係る情報が契約を結ぶ上で大事な要素となることから【水害リスクの説明】が義務化されました。
具体的には2020年8月28日より水防法の規定に基づき作成された「水害ハザードマップ」を用いて取引の対象となる不動産の所在地について、その災害リスクを宅建士が必ず説明をすることになりました。水害には「洪水」「雨水」「出水」「高潮」などがあります。
今回は具体的にそのハザードマップからどのような情報が読み取れるのか?を考えていきたいと思います。
ハザードマップについて
ハザードマップは各市町村から配布されておりますので一度は目を通したことがあると思います。ハザードマップとはある災害が発生したときに危険と思われる場所や災害時の避難場所をまとめたもので、災害の種類別に「洪水」「内水」「高潮」「津波」「土砂災害」「火山」などのハザードマップがあります。
このハザードマップはネットでも簡単に検索していろいろな災害リスクを調べることができます。【重ねるハザードマップ】と【わがまちハザードマップ】の2つがメインとなります。ポータルサイトはこちらです。
ハザードマップのポータルサイトhttps://disaportal.gsi.go.jp/
【重ねるハザードマップ】 ← おすすめ
複数の防災情報を一つの地図上に重ねてみることができます。すごく便利です。「洪水」「土砂災害」「高潮」「津波」「道路防災情報」「地形分類」の6つがあります。
【わがまちハザードマップ】
全国各市町村のハザードマップを直接検索することができます。
熱海で起こってしまった土砂災害ですが、この土砂災害にはがけ崩れ・地すべり・土石流などがあり、熱海の土砂災害は土石流と見られます。土石流は「山津波」とも呼ばれ、極めて危険な災害です。
今回はその熱海の土砂災害に限定してハザードマップを見ていきます。
熱海の土砂災害があった場所のハザードマップ(土砂災害で選択)
今回の土砂災害はある不動産管理会社による大規模盛土に原因があると静岡県の副知事が言っておりました。盛土をした不動産管理会社は、静岡県の許可を必要としない1ヘクタール以下の面積で造成計画の届出をしており、その届け出をした後に、当初の計画以上の盛土や産業廃棄物の不法投棄をしていたそうですので、かなり悪質で限りなく人災に近い土砂災害と言えそうです。
加えてハザードマップでこの土石流が流れた痕跡を見てみると、その大部分が【土砂災害警戒区域】に指定されており、もともと災害リスクの高い場所のすぐ近くで盛土をしていたことになります。そのような場所で当初の計画以上の盛土をして産業廃棄物の不法投棄をしていた事実を行政が把握していたにもかかわらず、静岡県や熱海市がどこまで対応していたのか後々、検証が必要になってくると思います。
熱海の土砂災害があった場所のハザードマップ(地形分類で選択)
また、地形分類では【山麓堆積地形(土石流堆)】と分類され、土石流などがくりかえし流出して形成された地形であるとわかります。今回の土砂災害の直接的な原因が無秩序に行われた盛土にあったとはいえ、ここまで被害が拡大しているひとつの理由として、地形的に土石流が起こりやすい場所で発生したからと考えていいのかもしれません。
国土地理院地図について
第1回のブログでも少し触れましたが国土地理院のホームページから、古地図や昔の航空写真を検索できることは説明いたしました。それ以外にも国土地理院の地図情報を活用して様々な【地形分類図】が検索できます。国土地理院が整備している主な地形分類図には「土地条件図」「沿岸海域土地条件図」「火山土地条件図」「治水地形分類図」「活断層図」などがあります。ポータルサイトはこちらです。
地形分類図などが見れるポータルサイトhttps://maps.gsi.go.jp/help/intro/looklist/4-naritachi.html
自然災害の被害の軽減には、その土地の地形が持っている【土地条件】を知っておくことが非常に重要です。ちなみに地形分類図を活用することで、次のようなことを読み解くことができます。
- どのような土地(地盤)なのか?
- どのような自然条件を持っているのか?
- どのような災害が起こる可能性があるのか?
- どうすれば被害を最小限にすることができるのか?
今回は地形分類図のひとつである【土地条件図】を使って熱海の土砂災害を検証してみます。
土地条件図は、防災対策や土地利用・土地保全・地域開発等の計画策定に必要な、 土地の自然条件等に関する基礎資料を提供する目的で、 昭和30年代から実施している土地条件調査の成果を基に、 主に地形分類(山地、台地・段丘、低地、水部、人工地形など)について示したものです。
熱海の土砂災害があった場所の土地条件図(国土地理院の地理院地図より)
凡例で見ると、土石流が起こった場所は「山麓堆積地形」となっており、「斜面の下方、山間の谷底または谷の出口等に堆積した、岩屑または風化土等の堆積地形。崩壊や土石流の被害を受けやすい」と書いてあります。当然ではありますが、土地条件図においてもハザードマップの地形分類と同じ結果となりました。
地盤サポートマップについて
最後にホームインスペクションでも有名なジャパンホームシールド株式会社の【地盤サポートマップ】を紹介いたします。実務でもよくお世話になっておりますが、こちらのサイトも非常に使いやすいと思います。地震・液状化・浸水などの地盤リスクがすぐ分かるマップとなっております。ぜひ参考にしてみて下さい。
地盤サポートマップ https://supportmap.jp/#13/35.6939/139.7918
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