最近間取図を眺めていると・・・【公取協通信】より | 仲介手数料無料のREDS

皆様こんにちは。REDS不動産流通システムの渡部です。

 

先日物件を調べていて間取図を眺めていたところ、ある物件の間取図にそこはかとない違和感を感じました。

 

それはこんな間取図です。

 

 

「書斎(納戸)約3.2畳」という記載方法です。

 

たしかこの表記方法はダメだったのではないかな?と思い、我々の業界のルールブックの一つ、【不動産の表示に関する公正競争規約】を調べてみました。

 

建築基準法における「居室」は、採光のための窓などを居室の床面積の7分の1以上の大きさで設けなければならないとされています(建築基準法28条1項)。一見すると居室として利用できそうなスペースであってもこの基準を満たさないものは「納戸」と表記されることが一般的です。「サービスルーム」という表記も多いですね。「S」と略されます。皆様も「2SLDK」とか「3LDK+S」という広告の表記を見かけることと思います。ルールでは以下のように明記されています。

 

【採光及び換気のための窓その他の開口部の面積の当該室の床面積に対する割合が建築基準法第 28 条の規定に適合していないため、同法において居室と認められない納戸その他の部分については、その旨を「納戸」等と表示すること。】(「不動産の表示に関する公正競争規約施行規則第10条(17)」)

公正競争規約は自主ルールですが公正取引委員会が正式に認定したルールで、違反に対しては罰則もあります。

 

「書斎」という表記は「居室ではない」ことを意味しているようにも思えますが、たしかダメだったような・・・

「(納戸)」と付記すれば良かったんだっけ・・・

 

モヤモヤが消えません。

 

そこで以前よく見ていた公益社団法人首都圏不動産公正取引協議会の【公取協通信】を見てみたところ、同団体事務局様の相談事例に答えがありました。以下相談事例から引用します。

 


Q.新型コロナウィルスによる感染症の影響で在宅勤務で利用するスペースの需要が増えていることから、納戸を「テレワークルーム(納戸)」と表示したいのですが、問題はないでしょうか︖

 

A.建築基準法では、居室と認められていない納戸等の非居室...において、居室でなければ認められない用途で利用することを禁止していることから、「テレワークルーム(納戸)」と表示した場合には、建築基準法上、テレワークルームとして合法的に利用できないにもかかわらず、テレワークルームとして利用できると誤認されるおそれのある不当表示となり、表示規約に違反することとなります。

また、ご質問の「テレワークルーム」以外にも表示規約違反となる例として次のものがあります。

● 「書斎(納戸)」
● 「ファミリールーム(納戸)」
● 「ホビールーム(納戸)」 等

なお、従来からの「サービスルーム(納戸)」等と表示しつつ、「テレワークルームとして使えます」等と表示した場合も同様の不当表示になります。

~首都圏不動産公正取引協議会の公取協通信から引用~


 

やはりダメでした。

 

「納戸」と表記しつつ「○○として使えます」という表記は結構いろいろなところで見かけるようにも思いますが、これもダメなんですね。厳しすぎるようにも思いますがルールはルール、違反に対しては警告や違反金を科せられることもありますから注意が必要です。

 

 

不動産はその名のとおり「動かせない」という性質がありますので、昔から広告が大きな意味を持っています。

誇大広告や不当表示で消費者を誤認させその利益を害さないようにかなり厳しいルールが定められています。

業界にいる者すべてを律するルールですのであらためて気を付けたいと思いました。

 

なおこの相談事例を公開している【公取協通信】(https://www.sfkoutori.or.jp/koutorikyotsushin/)は違反の事例も公開しており、業界の人間には面白いものでもあります。

 

最近の違反事例を見ていると、

 

 

C社「1棟アパート」、「新築」、「3階建て」等と記載のうえ、建築確認番号を表示

→ 建築確認番号は架空のものであって、表示の建物は建築確認を受けておらず、売主が売地として取引しているものを勝手に新築一棟売りアパートとして広告(4件)

 

G社 「新築木造アパート」、「築年月 2020年09月(新築)」、「建築確認番号 -」と表記

→ 売主が売地として取引しようとしているものを、勝手に新築1棟売りアパートとして広告。(1件)

 

 

というものがありました。ヒドイものですね。レインズで売りに出ている売地に架空の建築確認番号を振り当てて架空の新築アパートを広告した例です。

 

こうした著しくモラルが低い業者も業界にははびこっていまして、我々も振り回されることがあります。

公正取引協議会はこの事例G社に対して「警告以下の措置」という処分を課したということですが、処分が甘い!気がしますね。

 

「書斎(納戸)」の例はこうした悪質な表示規約違反ではなく「うっかり」だと思いますが、ルール違反で迷惑をこうむるのは一般消費者の方々です。我々も注意していかなければならないとあらためて感じた次第です。

 

残念ながら悪質な広告も一定数存在しているのが不動産の世界です。

本意ではありませんが、皆様もそうしたものだと思って物件の広告を注意して眺めるようにしてください。

 

それではまた。

 

 

渡部

 

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