菅野です。今日は重要事項説明について書いてみようと思います。
ちょっと恥ずかしい話ですが私の近しい身内で、かれこれ十数年前に埼玉の市街化調整区域の土地を買った者がおります。「水道もガスも通っているし、駅からも近いからそのうち家を建てられるようになる」と騙されて買わされてしまったようで、その後現在に至ってもそこは市街化調整区域のままで、その土地は区画分けされた菜園のまま存在します。
宅建業者に課せられている「重要事項説明」、説明する内容は年を経るごとに増えていっております。約20年近く前、と言っても既に21世紀に入ってから私は家を買いましたが、その時の重要事項説明書は、B4のノンカーボン複写紙3枚しかありませんでした。
昔はお上の決めた内容だけ紙で説明して署名捺印をもらっておけば、あとは口八丁手八丁で丸め込んで買わせたもの勝ち、という業者が跳梁跋扈していましたが、消費者保護意識の高まりでそういった悪徳業者は淘汰されていく時代に少しずつですが変わってまいりました。
今、弊社で新築一戸建ての売買契約をするときの重要事項説明書はA4で15ページ以上となり、重要事項説明をおこなうには少なくとも1時間以上は必要となっております。
重要事項説明の説明内容は、今までに起こったトラブルや事件、災害に対応するかたちで増えていきました。
例えば、東日本大震災の津波で壊滅的な被害を受けたあとには「津波災害警戒区域」について内・外の別を説明する事項が追加され、身近なトラブルについてでは、プロパンガス会社の契約切り替えに伴うトラブルが増えたことから、売買の際に家庭用プロパンガスの配管設備がプロパンガス販売会社にある場合はその旨を説明することとなりました。
この国土交通省のウェブサイトには、平成13年からの宅建業法に関する改正の履歴が表示されています。
それによると、令和2年までになんと70件もの改正があり、説明事項が追加されていることがわかります。
また、東日本大震災のあった平成23年以降から、災害対策に係る説明事項の追加が目立ってきます。
直近では「水害ハザードマップにおける対象不動産の所在」が説明事項として追加となり、令和2年8月28日より施行となります。
これは最近の豪雨災害の被害を鑑みてのことと思われますが、先日下った、水害被害のあった分譲地の販売で販売者であった福知山市が水害リスクの説明を怠ったとした判決
水害リスクの説明責任訴訟、市側が敗訴、全国初 台風で住宅水没、京都地裁
などの影響もあろうかと考えられます。
宅建業は「衣・食・住」のうちの「住」をつかさどる、なくてはならない業です。
ところが不動産業は「千三つ屋」などと言われ、嘘つき=不動産屋などと揶揄される存在でもあります。
お客様の財産を守る砦となるのか、それとも嘘八百の千三つ屋となるのか、それぞれの宅建業者の質が今、問われる時代となっています。
私たちREDSの宅建士は、お客様の財産を守る砦となれるよう、日々研鑽を積み、お客様の期待にこたえられるよう努めております。
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