菅野です。
3日連続での特集で、消費税増税後にお得になる、不動産に関わる税制等の優遇措置を解説しています。
本日は「住宅取得等資金の贈与税の非課税」についておさらいします。
国税庁のサイトでは
No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税
となっていますが、具体的には
親や祖父母(直系尊属)から住宅を取得するための資金をもらったときに「贈与税」が非課税となる
という制度のことです。
「贈与」とありますが、合法的に相続人に対して資産を移行することができ、大きな相続財産を所有されている方の相続税対策として有効な制度です。
2015年(平成27年)に最大1500万円が非課税となったときは、”タワマンスキーム”と合わせて相続税対策として盛んに利用されました。
※タワマンスキームとは、タワーマンションの購入価格(購入時の時価)と相続税評価額のギャップを利用した相続税対策で、この差が大きいほど有利だと言われています。
以前は、建物の高さによる相続税評価額の差がなかった(最上階も1階も広さで評価額を計算していた)ため、上階であればあるほど購入価格と評価額の差が大きく有利となり、タワーマンション最上階近辺のプレミアム住戸が飛ぶように売れました。購入価格を評価額で割った数値を「圧縮率」と呼び、その比率が大きいほど良い物件とされました。
しかしその後、平成29年に国税庁はこの”タワマンスキーム”の対策として「階層別専有床面積補正率」という評価額按分方式を導入し、上階と下階の評価額に差が生ずることとなりました。
(「不動産のリアル 階層で変わる? タワーマンションの固定資産税を不動産鑑定士が解説」に詳細があります。)
話がずれましたが、本題に戻ります。
今回、消費税増税にともないこの非課税額がアップしています。
表を作りました。
消費税10%を含む物件を購入した場合の非課税額は、来年3月まで省エネ等住宅だと
3000万円
までOKなのです。省エネ等住宅に該当しなくても消費税10%が価格に含まれていれば
2500万円
まで非課税になります。これは新築・リノベ物件購入で使えちゃいますね。
ちなみに「省エネ等住宅」の要件は
・断熱等性能等級4若しくは一次エネルギー消費量等級4以上であること
・耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)2以上若しくは免震建築物であること
・高齢者等配慮対策等級(専用部分)3以上であること)に適合する住宅用の家屋であること
のいずれかを証明する書面が必要となります。
新築なら
・住宅性能証明書
・建設住宅性能評価書の写し
・長期優良住宅認定通知書の写し及び住宅用家屋証明書(の写し)又は認定長期優良住宅建築証明書
・低炭素建築物新築等計画認定通知書の写し及び住宅用家屋証明書(の写し)又は認定低炭素住宅建築証明書
中古なら
・住宅性能証明書
・既存住宅に係る建設住宅性能評価書の写し
があればOKです。
また、この制度は住宅ローン控除に近い条件ですので、金額は低くなりますが中古の購入にも使うことが可能です。
建物の要件ですが(住宅ローン控除とほぼ一緒です)
・床面積50㎡以上240㎡以下で、その床面積の2分の1以上が受贈者(子または孫)の居住の用に供されるもの
・以下のいずれかに該当すること
①建築後使用されていないもの
②築後20年以内(耐火建築物の場合は25年以内)のもの
③耐震基準適合証明書・既存住宅売買瑕疵保険付保証明書・建設住宅性能評価書で耐震等級が1以上と証明されたもの(ただし2年以内に発行されたもの)
そしてお金を受け取った方(受贈者)の要件として
①日本国内に住所がある
②贈与者の直系卑属(子ども、または孫のこと)
③贈与を受ける年の1月1日現在で20歳以上
④贈与を受ける年の合計所得金額が2000万円以下
⑤贈与を受けた年の翌年3月15日までに受け取った資金の全額を充てて住宅の新築、取得、増改築を完了すること
⑥贈与を受けた年の翌年3月15日までにその住宅に住むこと
となります。
ここで注意する必要があるのは、⑤と⑥です。
今年中にお金を受け取って建物を新築する場合は、来年の3月15日に完成を間に合わせる必要があります。
ですので、完成が3月15日を超えてしまいそうな場合には、年が明けてから贈与を受けるほうが安全です。
相続税の基礎控除が2015年に最少で3600万円まで下がったため、財産を持つ方は相続税の対策に頭を悩ませてきたと思います。
せっかく拡充されたこの機会に、是非ともご利用されることをおすすめします。
最後に、私達不動産業者は高額帯の物件がこの非課税措置でまた動き出すのではないかという期待を持っておりますので、これから都内のマンション価格が下がるのではないかと考えているお客様も、諦めずご相談いただければと思います。
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