借地借家法とサブリース(後編) | 仲介手数料無料のREDS

菅野です。

前回より最近話題になっている、サブリースに関する問題を取り上げました。

前編はこちら

借地借家法とサブリース(前編)

このサブリースというのは、いわゆる「又貸し」です。

大家から安い家賃で物件を賃借し、それを高い家賃で又貸しすることによって差額を儲けとするわけです。

正直なところ、直接入居者に高い賃料で貸した方が大家はもうかるはずなのですが、なぜそれをしないのかというと、要はリスクを負いたくないという素人大家の心理に業者が付け込んでいるだけなんです。

「家賃を保証します!」

という業者の言葉を信じて業者に貸してしまうわけなんです。

ただそういうと反論として、銀行から融資を受けてアパートを建てたり購入したりする際には、素人が自分で賃貸経営するよりも業者が家賃保証した方が銀行としてはリスクが低いという判断もある、という方もいらっしゃいます。

まあそういった部分もなくはないのですが、どちらかというとその業者の紐づけで融資を受けることが多くそういう言い方をしているだけに過ぎない、という場合も少なくないのです。

銀行と建築会社がグル、というやつです。

(かぼちゃはかなり怪しいですが、どうなんでしょうね)

 

サブリース業者も企業です。何かあればデフォルトも倒産もするのです。

丸ごとサブリースをしてしまうと、その業者がつぶれたら一銭もお金が入ってこなくなるという悲劇に見舞われてしまいます。

そこで対策を取れるかたは良いのですが、サブリースしていれば安心だ、金融商品と一緒だなどと考えていたかたは、急に厳しい寒風吹きすさぶ不動産賃貸世界にさらされて身動きが取れなくなってしまうのです。

 

それでは解除すればよい、とお考えの方もいらっしゃるかと思いますが、そんな簡単な話ではないのです。

ここで(やっと!)出てくるのが「借地借家法」という法律です。

 

「借地借家法」というのは平成3年にできた法律ですが、その前に「(旧)借地法、(旧)借家法」という大正にできた法律があり、それが時代に合わなくなったために新たに作られました。

(旧)借地法というのは、廃止されましたが現在も旧法借地権の物件等で不動産を取り扱う者にとっては馴染みのある法律です。

上記の法律の立法趣旨は全て「借主の保護」です。

大家は強く借主は弱い立場の為、保護しなくてはならない、という考え方に基づいています。

はたして、どうでしょうか?

素人で先祖伝来の土地を持っていて、アパート建築業者から「もうかりますよ、家賃保証で安心ですよ」などと言われていうがままにアパートを建ててしまうような方は、強い大家なのでしょうか?

先日、元レオパレス(がサブリースしていたアパート)を売らせてもらいましたが、売主さんに話を聞くと、その売主さんが買われたときに元の所有者さんはかなり困っていらっしゃった様子で、先祖伝来の土地を守れなくて悔しい、と引渡しの時に泣いていらっしゃったそうです。

その後、売主さんに引き渡された元レオパレス(がサブリースしていたアパート)は、なけなしの入居者をレオパレス21が全部他の物件に移してしまい、全空きになってしまいました。

でも売主さんはご自身でいろいろ動かれ、賃貸状況を改善したうえで今回売却となりました(素晴らしい!)。

 

明らかにアパート建築業者やサブリース業者の方が強く、騙される土地持ちの素人は弱く保護されるべきだと考えるのですが、間違っていますでしょうか。

でも「借地借家法」では、サブリース業者だろうと借主は守られ、素人で騙されてアパートを建ててしまった大家は保護されないのです。

大家から借主であるサブリース業者に解除を求めることは法律上難しく、サブリース業者が解除することは簡単なのです。

どんなに無能であくどい業者でも、サブリースを解除するのは契約書に大家にとって良心的な条項がなければ非常に困難なのです。

 

銀行が投資信託などの金融商品を売る際には、リスクについてかなり突っ込んで説明をすることが求められています。

しかし、アパート経営(建築)やワンルームマンション販売などはそういったことは求められません。

これっておかしくないですか?ってことを私は言いたいと思います。

また「借地借家法」でサブリース業者が無条件に保護されるという方向性も時宜に合いません。

消費者保護法という法律がありますが、残念ながらアパート建設は事業とされ適用はないようです。

私はどちらかというと自由主義で規制にはあまり賛成なほうではありませんが、アパート建築業界についてはもう少し誠実さを持ってもらえるよう、法の規制は必要ではないかと考えます。

消費者保護法に準ずるような、弱い大家となる個人を業者から保護する法律が必要であると思います。

 

今日も長くなってしまいました。

最後まで読んでいただいた方、ありがとうございます。

 

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