建築物に使用される防火材料(不燃材料・準不燃材料・難燃材料)について | 仲介手数料無料のREDS

皆様こんにちは、不動産流通システム、REDSリフォームの木須陽子です。前回は耐火構造、防火区画の制限のお話をしました。今回は防火材料(不燃材料・準不燃材料・難燃材料)と認定番号・建築物の要求性能のお話をしたいと思います。

防火

(写真はイメージです)

不燃材料・準不燃材料・難燃材料と認定番号

内装制限を満たすため、ボード類や壁紙などの建材に石綿が多く使用され、不燃・準不燃・難燃材料の建材が製造されました。

2000(平成12)年の建築基準法の一部を改正する法律の施行に伴い、不燃材料、準不燃材料、難燃材料の大臣指定もすべて廃止され、多くのものが改めて新制度に基づく不燃材料、準不燃材料、難燃材料として認定されました。

大臣認定を受けた不燃材料は認定番号が付番されます。認定番号は不燃材料がNM(一般)またはNE(外部仕上げ用)、準不燃材料がQM(一般)またはQE(外部仕上げ用)、難燃材料がRM(一般)またはRE(外部仕上用)のアルファベットと4桁の通算番号で表記されます(例:NH3599)。

防火材料 2000年の建築基準法改定前 2000年の建築基準法改定後
不燃材料 不燃第〇〇号
(番号は主に1000、10000、11000、12000番台)
NM-〇〇〇〇(一般)
NE-〇〇〇〇(外部仕上げ用)
準不燃材料 準不燃第〇〇号
(番号は主に2000番台)
QM-〇〇〇〇(一般)
QE-〇〇〇〇(外部仕上げ用)
難燃材料 難燃第〇〇号
(番号は主に3000番台)
RM-〇〇〇〇(一般)
RE-〇〇〇〇(外部仕上げ用)

 
2000(平成12)年の建築基準法施行令の改正では、通常の火災時の火熱に対して多少の溶融・赤熱を生じることはあっても、燃焼現象や防火上有害な損傷を生じることがなく、かつ、避難上有害な煙・ガスを発生しない性能を有するなどの要求性能を定め、「不燃材料」「準不燃材料」「難燃材料」それぞれに上記の性能を発揮することができる加熱時間の長さが規定されました。

防火材料 仕様で規定されたもの 要求時間 2000年の建築基準法改定後
不燃材料 コンクリート
ロックウール
石綿スレート
厚さ5㎜以上の繊維混入ケイ酸カルシウム板
厚さ12㎜以上の石膏ボード
(平12建告1400)
20分間 ①燃焼しないこと
②防火上有害な変形、溶融、亀裂、その他の損傷を生じないこと
準不燃材料 15㎜以上木毛セメント板
9㎜以上石膏ボードなど
(平12建告1401)
10分間 ③避難上有害な煙、又はガスを生じないこと
難燃材料 5.5㎜以上難燃合板
7㎜以上石膏ボード
(平12建告1402)
5分間  

外殻に対する制限(外装材の不燃化)

市街地における建築物相互の延焼を防止し、市街地における火災の危険性を抑制するため、防火地域・準防火地域、法22条区域に建てる建築物の外殻(屋根、延焼のおそれのある部分に該当する外壁・軒裏・開口部)に、十分な性能をもたせる必要があります。

屋根については、周囲の建築物からの火の粉により屋根から延焼しないよう、屋根を不燃材料で造ることなどを義務付けています。

「延焼のおそれのある部分」に該当する外壁・軒裏については、周囲の建築物の火災による輻射、接炎などによって延焼しないよう、防火構造などとすることを義務付けています。「延焼のおそれのある部分」(法第2条6号)とは、建築物の外壁部分で隣棟から延焼を受けたり、及ぼしたりするおそれのある範囲を指し、隣地境界線及び道路の中心線よりそれぞれ1階にあっては3m以内、2階以上にあっては5m以内の距離にある建築物の部分を言います。

建築物の要求性能

建築基準法で定めている仕様は、設計を行う上での推奨値ではなく、実際の設計でさらに高い水準の仕様が求められることが多いのです。それに応える手段の一つとして吹付け石綿などの石綿含有建材が使用されました。主な使用目的と、主な石綿含有の可能性のある建材は下記のとおりです。

1.吸音:吹付け石綿、石綿含有吹付けロックウール(乾式・半乾式)、石綿含有吹付けバーミキュライト、石綿含有吹付パーライト

2.断熱、結露防止:吹付石綿、石綿含有吹付けロックウール(乾式、半乾式)、屋根用折板石綿断熱材(フェルトン・炭酸カルシウム発泡断熱材他)

3.断熱(排ガス):煙突用石綿断熱材

4.保温:石綿保温材、石綿含有けいそう土保温材、石綿含有けい酸カルシウム保温材、石綿含有バーミキュライト保温材、石綿含有パーライト保温材

5.調湿:吹付け石綿

6.意匠(見た目)石綿含有吹付けバーミキュライト、石綿含有吹付けパーライト、吹付け石綿

各目的についてそれぞれ解説します。

吸音を目的とした使用

機械室や電気室など音の発生するところでは、壁・天井などに吹付け石綿が施工されてきました。音響性能を要求されるホールや会議室・音楽教室などには、石綿合有吹付けバーミキュライトや吹付け石綿が使用されることがありました。その他にも建築物の用途や使用状況に応じ、吸音特性の異なる有孔板と吹付け石綿を組み合わせて使用された例があります。

吸音性能が求められる部屋は以下のとおりです。

  • 各種機械室、ボイラー室、ファンルーム、EV機械室など(天井・壁)
  • 受付やホール、音楽教室、大会議場など(天井・壁)
  • 銀行などのカウンターエリア、待合室、観覧場など、地下ホーム(天井・壁)
  • 共同住宅の居間(天井)

設計図書記載箇所は以下のとおりです。

  • 仕上げ表
  • 矩計図(断面詳細図)
  • 部分詳細図
  • 天井伏図 ほか

次回は建築物の要求性能の続きからお話をしたいと思います。

 

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