建築物に設置される防火区画の制限について | 仲介手数料無料のREDS

皆様こんにちは、不動産流通システム、REDSリフォームの木須陽子です。前回は耐火構造、防火区画の制限のお話をしました。今回は防火区画の続きです。

防火区画とは建物内部で火災が発生した際に、炎や煙が広がるのを防ぐことを目的に、建物内を一定の基準によって分けたもののことです。防火区画は建物の防火において非常に重要な役割を持っているため、設置基準等にしたがって設置することが重要です。

防火区画

(写真はイメージです)

防火区画の措置(建築基準法施行令112条12~13項)

建築設備の給水管やケーブルなどが防火区画を貫通する場合は、防火区画の壁や床に開口部を開けておき、配管やケーブルを通した後、周囲をケイ酸カルシウム板第2種などの不燃材料で埋めなければなりません。

またグリーストラップや排水桝を床に開口部をあけて設置する場合は、グリーストラップや排水桝に耐火被覆し、耐火構造などしなければならない、と定められています。

防火区画に接する外壁の措置(建築基準法施行令112条10~11項)

面積区画(令112条2項の防火上主要な間仕切壁を除く)、高層区画、竪穴区画と接する外壁は、区画相互間の延焼を防ぐため、接する部分を含み90㎝以上の部分を耐火構造または準耐火構造としなければなりません。

ただし外壁面から50㎝以上突き出した耐火構造または準耐火構造のひさし、床、そで壁などで防火上有効に遮られている場合はこれに替えることも可能です。メタルカーテンウォールなどの外壁では、腰がパネルの場合は裏側に吹付け石綿や石綿含有吹付けロックウールが多く使用され、腰がガラスの場合は内側に石綿含有ケイ酸カルシウム板などが使用されます。

層間塞ぎの措置

カーテンウォールと床スラブの取り合い部分にできる隙間にも、区画の配慮が必要であり、この隙間を不燃材料で塞ぐことを「層間塞ぎ」といいます。多くは吹付け石綿モルタルなどを使用、メタルカーテンウォールの場合は層間塞ぎが複雑ですので注意が必要です。

こま詰め措置

ALC板や押し出し成形セメント板などで間仕切り壁を施工する場合、はりやデッキ下とALC板や取付金物の耐火被覆のために、吹付石綿などの施工が行われました。

耐火区画に設ける開口部の措置

防火区画に出入口を設ける場合には、甲種防火戸(甲種防火シャッターや甲種防火扉)を設置する必要があり、また、ダクトが防火区画を貫通する部分には防火ダンパーを設置する必要があります。事前調査で甲種防火戸や防火ダンパーに注目し、防火区画の配置を特定することは、石綿含有建材の見落とし防止に有効です。

2000(平成12)年の建築基準法の一部を改正する法律の施行に伴い、甲種防火戸から特定防火設備に名称が変わっています。

鉄骨造に隙間ができる理由

建築物は構造の種類により造り方が異なります。RC造やSRC造、S造躯体の造り方から、外壁や防火区画の間仕切りに隙間ができる理由を解説します。

鉄筋コンクリート造・鉄骨鉄筋コンクリート造の造り方

RC造やSRC造の躯体工事では、1フロアごとに鉄筋と型枠を組み立て、柱、はり、スラブ・壁などを同時にコンクリート打設するのが一般的です(SRC造の場合は鉄骨を先行します)。

そのため、外壁・はり・スラブ・間仕切壁が一体となり、床の外周部や廻りなどに隙間(層間など)は発生しません。ただし、工場生産された乾式壁等の建材で構成された場合は、隙間が生じるため、隙間塞ぎを施している場合があります。また、外壁がカーテンウォール形式の場合は、隙間が発生し層間塞ぎの処理を行います。

鉄骨造の造り方

鉄造の躯体工事では、鉄骨を建て込み、デッキプレートを敷き込み、床の配筋とコンクリートを打設したのち、外壁や防火区画の間仕切りを建て込みます。このため階の床と外壁の間や、間仕切壁と天井内床下の間に隙間ができ、隙間を不燃材料などで埋める必要があります。

内装材料への制限

石綿含有建材は、建築基準法に基づく内装制限により難燃性能を要求される壁面、天井などにも使用されています。

内装制限を受ける特殊建築物

火災時に建築物の内部が容易に燃えないよう、階数が3階建て以上の建築物や、台所・浴室などで火を使用する設備・器具を用いる場合で一定条件の場合は、壁・天井の室内に面する部分の仕上げ材を難燃性のものとして、防火上支障のないようにしなければならず、こうした規制を「内装制限」といいます。

例えば、一定規模以上を特殊建築物の用途に供する建築物の居室の壁・天井を難燃材料、廊下・階段などの壁・天井を準不燃材料とすることや、調理室、浴室、乾燥室、ボイラー室等の壁・天井は、主要機造部を耐火機造とした場合を除き、準不燃材料とすることなどが義務付けられています。

建築物の用途・構造・規模区分 用途に供する部分の床面積の合計など 内装制限
耐火建築物 準耐火建築物 その他の建築物 居室など
(注1)
居室から地上に通ずる主たる廊下・階段・通路
劇場・映画館・演芸場・観覧場・公会堂・集会場 客席
400㎡以上
客席
100㎡以上
客席
100㎡以上
難燃材料など
(注3)
準不燃材料
病院・診療所(患者の収容施設があるものに限る)・ホテル・旅館・下宿・共同住宅・寄宿舎・児童福祉施設など (3階以上)
300㎡以上
(2階部分)(注2)
300㎡以上
200㎡以上
百貨店・マーケット・展示場・キャバレ・カフェー・ナイトクラグ・バー・ダンスホール・遊技場・公衆浴場・待合・料理店・飲食店・物品販売業を営む店舗(床面積10㎡超えるもの) (3階以上)
1,000㎡以上
(2階部分)
500㎡以上
200㎡以上
階数・規模によるもの
(注4)
階数が3以上500㎡を超えるもの
階数が2以上1,000㎡を超えるもの
階数が1以上3,000㎡を超えるもの
地階・地下工作物内に設ける居室で①〜③の用途に供するもの 全部 準不燃材料など
無窓居室 全部
自動車車庫・自動車修理場 全部
火気使用室
(注5)(主要構造部を耐火構造としたものを除く)
住宅(注6)・・・平屋建または屋上階を除く
住宅以外・・・火気使用室は全部

(注1)①~④については、床面からの高さが1.2m以下の部分を除く。
(注2)病院または診療所については、その部分に患者の収容施設がある場合に限る。
(注3)3階以上の階の天井の室内に面する部分にあっては、準不燃材料とすることが可能。
(注4)学校などの用途に供するものを除く。
(注5)調理室、浴室、乾燥室、ボイラー室、作業室その他の室でかまど、こんろ、ストーブ、ボイラー、内燃機関その他、火を使用する設備または器具を設けたもの。
(注6)住宅で事務所、店舗その他これらに類する用途を兼ねるものを含む。

<参考>建築基準法施行令 112条第6項及び第7項に基づき、壁の仕上げなどに不燃材料や準不燃材料を用いる場合があります。

次回は不燃材料と認定番号・建築物の要求性能のお話をしたいと思います。

 

Source

コメント

タイトルとURLをコピーしました