建築物の耐火構造や防火区画について | 仲介手数料無料のREDS

皆様こんにちは、【REDS】不動産流通システム、REDSリフォーム、宅建士・1級建築施工管理技士補・リフォームスタイリスト1級の木須陽子です。

前回は耐火建築物としなければならない建物についてお話ししました。今回は耐火構造の続きです。

耐火構造

(画像はイメージです)

耐火構造の指定番号・認定番号

耐火構造の指定には、一般指定の他に個別指定(1969(昭和44)建設省告示第2999号)と建設大臣の特別認可があります。

特記仕様書などの設計図書に、耐火構造の指定番号が「耐火Wn2033」のように記載されていることがあり、耐火被覆の部位や種類を特定できます。

「耐火」の後のアルファベットが部位を示し、「G」ははり、「C」は柱、「Wn」は外壁(非耐力壁)、「F」は床を示します。4桁の数字の千の位が耐火性能を示し、「2」で始まると2時間耐火、「1」で始まると1時間耐火という意味です。

耐火構造の大臣指定は、2000(平成12)年の建築基準法の一部を改正する法律の施行に伴い、すべて廃止され、多くのものがあらためて新制度に基づく耐火構造として認定されました。

新制度では、耐火構造の認定番号は「FP060NP-9164」のように表記され、「FP」(fireproof)は耐火、「060」は1時間、「NP」は間仕切壁、「BM」ははり、「CN」は柱、「NE」は外壁(非耐力壁)、「FL」は床を示します。「構造方法等の認定に係る帳簿」で耐火構造などに関する情報が検索できます。

【耐火構造の指定番号と認定番号の表記方法の一例】

  指定
2000年の建築基準法改正前
認定
2000年の建築基準法改正後
はり G BM
C CN
外壁
(非耐力壁)
Wn NE
F FL
屋根 R RF
間仕切り壁 W NP

 

  指定
2000年の建築基準法改正前
認定
2000年の建築基準法改正後
0.5時間 0 030
1時間 1 060
2時間 2 120
3時間 3 180

 

表記例 はりの1時間耐火の211番目=
耐火G1211
柱の2時間耐火の1番目=
耐火C2001
外壁(非耐力壁)の0.5時間耐火の11番目=
耐火Wn0011
はりの1時間耐火の211番目=
FP060BM-0211
柱の2時間耐火の1番目=
FP120CN-0001
外壁(非耐力壁)の0.5時間耐火の11番目=
FP030NE-0011

 

注1)大臣指定・認定
・指定:国土交通大臣が告示などの法において定めるもの
・認定:国土交通大臣が指定した機関が評価したものについて承認するもの
注2) 国土交通省 HP

鉄骨造の耐火被膜

鉄造(以下S造)は、建築物の主要構造部に形細(H・1-L)・調板・管(口・〇)を用いた機造で、粘り強いため、高層建築や大型建築に適しています。

注3)鉄骨造は、強度が大きい鋼板などを溶接やハイテンションボルトなどで接合して構成する構造で、低層から高層まで幅広い範囲で用いられ、体育館や工場など大スパンの構造物にも用いられるなど多くの建築物の構造として採用されています。(出典:日本建築学会「構造用数材」)

しかし、鉄には火災が発生すると熱により簡単に強度を失う大きな欠点があり、欠点を補うためにS造のはりや柱に耐火被覆が施工されてしまいました。

石綿を含有する耐火被覆材には、吹付けによる耐火被覆と耐火被覆板があります。吹付けによる耐火被覆と耐火被覆板を併用する場合もあります。

耐火被覆には、単一の材料で鋼構造を被覆する単体被覆と、2種類以上の性質の異なる耐水被覆材を施し、鋼構造を形成する合成被覆耐火構造があります。

合成被覆耐火構造は、不燃材料の壁や床を、鉄骨はりや鉄柱の耐火被覆材と兼用し、片側のみを耐火被覆処理したものであり、耐火被覆材の節約や外周の耐火被覆作業の危険を除去する利点があります。

鉄筋コンクリート造および鉄骨鉄筋コンクリート造の耐火被覆

一方、鉄筋コンクリート造(以下、RC造)の柱や梁は、鉄筋の周囲がコンクリートで被覆されており、コンクリートのかぶり厚さを調整することにより耐火構造とすることができるため、吹付け石綿や耐火被覆板で梁を処理する必要がありません。

鉄骨鉄筋コンクリート造(以下、SRC造)もRC造と同様に、鉄筋や鉄は周囲がコンクリートで被覆されているため、吹付け石綿や耐火被覆板は不要です。

ただし、複数の構造が併用される建築物もあり、低層部分がRC造・SRC造で、その上の高層部はS造、あるいは柱はSRC造ではりはS造、大部屋のはりのみS造という場合は、S部分に耐火被覆が使われています。

防火区画の制限

防火区画には、その形成部分に耐火構造などが求められるほか、構造上発生する隙間や、配管等の貫通に伴い発生する隙間を、不燃材料で埋めることも求められ、吹付け石線やけい酸カルシウム板第2種などが使用されています。

防火区画の種類

防火区画は、大きくは次の3つの観点から建物の内部を区画することで延焼を防止します。

1.面積区画(建築基準法施行令112条1~7項)

一定面積ごとにまたは床で防火区画し、火災による建築物や人的被害を制御するため、水平方向への燃え広がりを防止しています。高層建築物においては区画の面積が小さくなります。

2.竪穴区画(製築基準法施行令112条9項)

階段や吹抜け、エレベーターシャフトやパイプシャフトのように縦方向に抜けた部分は、煙突効果によって有害な運や火災の熱を容易に上階に伝えてしまいます。また、階段は避難時の有効な経路であり、ここが使用不能になることで被害が拡大していまいます。

そのため、3層以上の穴には、竪穴区画が必要となります。堅穴区画の概念は古くからありましたが、建築基準法に規定されたのは1969(昭和44)年です。

3.異種用途区画(築基準法施行令112条12~13項)

同じ建築物の中に異なる用途が存在し、それぞれの管理形態(営業時間など)が異なる場合(例えば複数のテナントが入るデパートと店舗・飲食店など)、用途や管理形態の異なる場所で発生した火災に気づきにくく、避難がより困難となることが想定されます。このため、用途や管理形態の異なる部分を区画することで被害の拡大を食い止めるものです。

次回は防火区画の制限の続きからお話しします。

 

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