2項道路を路地状部分と思い込み……『不動産仲介トラブル事例集』より | 仲介手数料無料のREDS

皆様こんにちは。

首都圏一都三県(東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県)の不動産取引について、必ず「仲介手数料が無料」または「仲介手数料が割引」になることで注目の、不動産流通システム【REDS】のマイスターエージェント。【宅建士】【宅建マイスター】の堀 茂勝(ほり しげかつ)でございます。

不動産の購入を検討するにあたっては、いろいろ「落とし穴」に気を付けなくてはなりません。

今回も、宅建マイスター認定試験を実施している、公益社団法人不動産流通推進センターが発行している『不動産仲介トラブル事例集』に掲載された事例を参考に取り上げて、そこからお話を広げて、わたくしなりに解説してみたいと思います。

不動産仲介トラブル事例集_表紙

今回は、上記「トラブル事例集」の事例2に掲載されている「2項道路を路地状部分と思い込み」について、意外と気づかない「落とし穴」について取り上げてみようと思います。

2項道路

(画像はイメージです)

きれいな四角の整形型の土地。なのに落とし穴!?

あなたは、下記の販売図面の土地を検討しているとしましょう。

資料1_物件紹介

前面道路はやや狭く、セットバックが必要ですが、きれいな整形地であり、一見、なにも落とし穴がありそうには見えないかもしれませんね。

しかし、これを見てこの土地を購入したお客様から、「この土地の横の通路は『2項道路』だったために、建築の対象にできる有効な土地面積が10㎡も減少する土地だったゾ! いったいどうなっているんだ!!」と怒鳴り込んでくる事態になってしまったという、悲しい事例です。

怒る男性

住宅地図を見てみますと……。

資料2_住宅地図

この土地の南西側のお宅との間には、奥のお宅につながる通路状の記載があるのがわかります。

この旗竿敷地の通路は単なる「敷地の一部」? それとも「道路」?

公図はどうなっているのか、確認してみましょう。

資料3_公図

公図を見ますと、対象地「247-7」の南西側の通路は、「247-6」の敷地と「247-5」の敷地が、それぞれ旗竿状の敷地として存在しています。

このような旗竿状の敷地を「敷地延長地」などとも呼びます。

わたくしが担当させていただきました「敷地延長地」のなかにも、今回取り上げている事例と非常によく似た、2宅の旗竿敷地の通路が隣接している物件が、「東京都練馬区」でしたので、ご参考までに写真を掲載いたします。

敷地延長例2

敷地延長例1

このように、奥の住宅の通路になっている部分について、単なる「敷地」の一部を通路として使っているものなのか、それとも建築基準法に定められた「道路」とされているのかによって、その通路の両側の土地に建物を建てる場合に影響が及ぶことになってしまうのです。

『不動産仲介トラブル事例集』に掲載されています詳細情報によりますと、

「現地にて一見すると敷地延長地と誤認しやすい形状の南西側の隣地について、公図上(資料③参照)でも単独所有の旗竿地の形状であったことから、路地状敷地と思い込み…」

というように、仲介担当者の思い込みにより調査をしなかったことで、悲劇を生んでしまいました。

思い込みにより、調査不足が生んだ悲劇!!

この土地の売買についておこなわれた重要事項説明では、下記のように記載されていました。

資料4_重要事項説明書

上記のように、「北西側」の道路のみが「接道の状況」に記載しております。「敷地と道路との関係図」を見てみますと……。

資料4-2_敷地と道路との関係図

上記のように北西側の通路は「隣地通路」とのみ記載されております。

「建築基準法道路種別」を確認していれば防げた悲劇!!

今回の事例では、調査を怠っておりましたが、本来おこなうべき調査として、「建築基準法道路種別」の確認があります。

前掲した敷地延長の写真の、わたくしが担当させていただきました物件は、「東京都練馬区」の物件でしたので、こちらの物件について「建築基準法道路種別」の確認をしてみましょう。

これを調べるのに、市役所や区役所などに出向いて調査しないと確認できないことがまだまだありますが、「練馬区」では、Webサイトの、練馬の地図「地図情報ねりまっぷ|建築基準法による道路等(試験公開)」で、ご自宅で簡単に確認できます。

建築基準法道路種別の例

「地図情報ねりまっぷ|建築基準法による道路等(試験公開)」

上記の中央部の赤丸で囲った部分が、わたくしが担当した「敷地延長」の土地の通路部分ですが、色が塗ってありません。しかし、その左上に青丸で囲った通路は、赤い線で塗られています。

道路に塗られた色について凡例を見てみましょう。

基準法道路種別_凡例

上記の中央部の赤丸で囲った部分は白色の線です。「◎道路種別」の凡例を見ますと、「表示なし」に該当します。つまり単なる「敷地延長」の土地の通路部分であり、「道路」として取り扱っていません。

しかし、その左上に青丸で囲った通路は、赤色の線で塗られています。「◎道路種別」の凡例を見ますと、「法第412条第2項の道路(私道)」となっており、道路に該当していることがわかります。

「道路」として取り扱っていない通路であれば、セットバックは必要ありません。

しかし「道路」であれば、もしも幅員(道路の幅)が4m未満である場合には、そこに隣接した土地に新たに建物を建てる場合には、道路幅を4m確保できるよう、原則としては「セットバック」が必要であり、敷地の一部のセットバック部分は、建築対象の土地としては利用できません。

今回の事例では、「セットバック」が必要であったことが判明し、建築の対象にできる有効な土地面積が10㎡も減少する土地であったとのことなのです。

まとめ

お隣の敷地の通路に隣接している土地を購入する場合には、このような「落とし穴」がございます。

「建築基準法道路種別」のチェックは基本的な調査ですので、今回のような見落としをする宅建士はかなり希少であると思われますが、最近はWebで、ご自身でも簡単に調べることができる自治体が増えております。

ぜひご自身でもチェックしてみることをお勧めいたします。

家族の幸せのための「不動産の購入」ですから、このようなストレスで不幸にならないように、気をつけましょう!

 

【REDS】 宅建マイスター:堀 茂勝

<参考リンク・文献>

 

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