こんにちは。仲介手数料が必ず割引・最大無料の「不動産流通システム」、REDSエージェント、宅建士の戸村麻衣子です。
残暑厳しい折ですが、いかがお過ごしでしょうか。以前よりその傾向はありましたが、ここ数年の夏の暑さは「酷暑」と言って差し支えない暑さです。「地球温暖化」を超えた「地球沸騰化」という言葉も2023年に誕生しましたが、その言葉に深く頷いてしまいます。
徐々に亜熱帯化する日本。それに伴い増えてきたのが突発的なゲリラ豪雨や、強く長い雨。土砂災害も数多く起こるようになっています。
高低差のある土地に家を建築する場合は土砂災害などにも意識を向けなければなりません。土砂災害を防ぐ擁壁(ようへき)について本日はお話したいと思います。
(写真はイメージです)
擁壁とは?
擁壁(ようへき)は、土壌の安息角を超える大きな高低差を地面に設けたいときに、土壌の横圧に抗して斜面の崩壊を防ぐために設計・構築される壁状の構造物である。土留と称されることもあり、一般に土留は簡素で一時的な構造を、擁壁は本格的で長期的な構造を指す。
出典:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
少しわかりにくい説明ですが、道路よりも高い場所に建てられている家の下に、コンクリートブロックや石などを使った壁状の構造物を見ることがあると思います。それが擁壁(の一種)で、崖や斜面が崩れないように造られている壁のことを指しています。
高台や丘にある住宅地は、隣家との間に土の安息角(あんそくかく)を超える大きな高低差が生まれる場合があり、強固な鉄筋コンクリートやコンクリートブロックなどで支えなければ、土砂・建物の荷重や雨水の水圧で崩れてしまう危険性があります。
擁壁は、崖の崩落リスクを防止し建物を守る役割があるのです。
法律と擁壁が必要な場所について
擁壁に関しては1961年に制定された「宅地造成等規制法」が関わってきます。宅地造成等規制法とは、がけ崩れや土砂流出などの危険性がある地域の災害防止を目的として、盛土や切土に規制が設けられた法律です。
宅地造成工事規制区域内で条件に当てはまる工事を行う場合は、宅造法第8条に定められているとおり、造成する前に都道府県知事に許可を受ける必要があります。
具体的には、下記が「規制された宅地造成工事」に該当します。
- 高さ2m以上の崖の切土
- 高さ1m以上の崖の盛土
- 切土と盛土を同時に行うとき、合計した高さが2mを超える
- 切土と盛土を合わせた面積が500㎡以上
規制された宅地造成工事においては、擁壁の技術基準が定められています。詳細は国土交通省のサイトに掲示されている「宅地造成等規制法施行令第14条に基づく認定擁壁一覧表」をご確認ください。
また、各自治体において「がけ条例」が制定されています。たとえば、弊社の新宿営業所がある東京都新宿区では以下のような「がけ条例」についてまとめたプレゼン資料がございます。
・新宿区内でがけや擁壁に近接する土地で建築を計画している方へ
その土地ごと、また、建てる建築物ごとに、対応する擁壁が異なりますので、まずはお住まいの地区のホームページで確認し、実際に建築計画する際には建築場所の役所に必ず相談に行っていただくことをお勧めします。
擁壁の種類
擁壁は、形状や工法、材料によってさまざまな種類があります。ここでは、主に宅地に用いられる擁壁についてご紹介します。
RC擁壁(鉄筋コンクリート擁壁)
鉄筋コンクリートの擁壁のことです。立地条件や斜面の形状、崩落リスクのレベルによって、さまざまな形状の擁壁が造られます。現場で施工される「現場打ち」、あらかじめ工場で製造された「PC擁壁」、国土交通省の認定を受けた「CP型枠のコンクリートブロック型枠擁壁」などがあります。
無筋コンクリート造
鉄筋が入っていないコンクリートの擁壁です。
重力式と呼ばれるコンクリート造りでは、重い材料で構築することで圧力に対抗する擁壁を造っています。この構造の場合には、安全性の改善のため下部が前、上部が奥になるよう斜めの形状になるように造られます。
コンクリート造りの中では施工が最も容易とされていて、高さの低い擁壁を造る場合には経済的でもありますが、地盤が不安定な時には使用できないほか、高さが4m以上の擁壁を造る場合は通常よりも費用がかかります。
もたれ式と呼ばれるコンクリート造りでは、地山が安定している状態の際に、もたれるように擁壁をコンクリートで打って形成する手法をとります。この手法は鉄筋コンクリート造りで使用されることもありますが、基礎地盤が堅固でなければ造ることができず、また擁壁が自立していない状態で施工するため、施工中は注意しながらの作業が必要となります。
練積み造擁壁
大谷石・玉石・割石などの石や、コンクリートブロックを積み上げて造る擁壁です。目地にモルタルやセメントを充填して堅固に接合しているものを、「練積み」と呼びます。
間知(けんち)石や間知ブロックを組み合わせて設置された「間知石・間知ブロック擁壁」(高速道路を走っていると山の斜面などに間知ブロック擁壁を見ることができます)、軽石凝灰岩の一種である大谷石を積み上げて造られた「大谷(おおや)石積み擁壁」(昭和時代の建物にも多くみられるため、古い家の石垣などでよく見受けられます)などがあります。
次回も擁壁のお話を
少し長くなって参りましたので、ここまでを第一弾としたいと思います。
次回は擁壁にとって重要なこと、「建築基準法を満たしているかどうか」や、地盤調査の重要性などについてお話しできればと思います。
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