皆様こんにちは、【REDS】不動産流通システム、REDSリフォーム、宅建士・1級建築施工管理技士補・リフォームスタイリスト1級の木須陽子です。
前回は石綿調査と耐火建築物としなければならない建物についてお話ししました。今回は耐火建築物としなければならない建物についての解説の続きです。
耐火建築物としなければならない建築物
②延床面積3000㎡超の建築物は耐火構造としなければならない、規模による規制
高さ・軒高 (注1) |
階数 | 延べ面積 (注1) |
|
---|---|---|---|
3,000㎡以下 | 3,000㎡超 | ||
高さ13m超 または 軒高9m超 |
4階以上 | 耐火構造 | 耐火構造 |
3階建て (注2) |
1時間準耐火構造 | ||
2階建て (注2) |
1時間準耐火構造 または 30分の加熱に耐える措置など |
||
1階建て (注2) |
|||
高さ13m以下 かつ 軒高9m以下 |
- | その他 |
(注1)主要構造部(床、屋根および階段を除く)のうち自重又は積載荷重(建築基準法第86条第2項ただし書の規定によって特定行政庁が指定する雪区域における建築物の主要構造部にあっては、自重または積載荷重)を支える部分の全部または一部に木材、ブラスチックその他の可燃材料を用いたものに限る。
(注2)現在の規定では、高さ16m超、軒高規制なし。
(注3)建築基準法施行令第129条の2の3第1項で定める技術的基準に適合する建築物(倉庫および自動車車庫を除く)。
③防火地域や準防火地域(以下「防火地域等」)の規模による規制
注)市街地における火災の危険を防ぐために、地方公共団体が都市計画において防火地域等を定めている。種築物の所在地と建築時期から、これらの地域を特定できる。各自治体はホームページで現況の都市計画図を公開している。なお、防火地域などの一定規模の建築物に対する規制については、条件に該当すれば、一戸建て住宅にも適用される
耐火建築物等としなければならない防火地域または準防火地域の建築物
階数 | 防火地域内の制限 (注1) |
準防火地域内の制限 | |||
---|---|---|---|---|---|
延べ床面積 | 延べ床面積 | ||||
100㎡以下 | 100㎡超 | 500㎡以下 | 500㎡超 1,500㎡以下 |
1,500㎡超 | |
4階建て 以上 |
耐火建築物 | 耐火建築物 | 耐火建築物 | 耐火建築物 | 耐火建築物 |
3階建て | 一定の防火措置 (注2) |
準耐火建築物 | |||
2階建て | 準耐火建築物 | その他 | |||
1階建て |
(注1)以下はこの表の限りではない。
1.延べ面積が50m以内の平家建ての附属建築物で、外壁および軒裏が防火構造のもの
2.卸売市場の上家または機械製作工場で主要構造部が不燃材料で造られたもの、その他これらに類する構造でこれらと同等以上に火災の発生のおそれの少ない用途に供するもの
3.高さ2mを超える門または塀で、不燃材料で造り、または覆われたもの
4.高さ2m以下の門または塀
(注2)外壁の開口部の構造及び面積、主要構造部の防火の措置その他の事項について防火上必要な政令で定める技術的基準(建築基準法施行令第 136条の2)に適合する建築物。
<参考>準防火地域内にある木造建築物など(建築基準法第23条で規定するもの)は、その外壁および軒裏で延焼のおそれのある部分を防火構造とし、これに附属する高さ2mを超える門または塀で当該門または塀が建築物の1階である場合に延焼のおそれのある部分に該当する部分を不燃材料で造り、または、おおわなければならない。
国土交通省が示している耐火建築物の概要
準耐火構造や準耐火建築物は1993(平成5)年に創設された耐火性能で、それ以前には簡易耐火建築物という定義が存在しました。
■耐火建築物(法第2条第九号の二)
主要構造部(壁、柱、床、はり、屋根、階段)を耐火構造とすること。
通常の火災が終了するまでの間、建築物の倒壊及び延焼を防止するために必要な構造とすること。
○耐火構造:耐火性能を有する構造
・告示で定められた例示仕様
・試験等により性能を確認した上で、国土交通大臣の認定を受けたもの
○耐火性能:1~3時間の加熱に対する非損傷性、遮熱性、遮炎性が確保されていること。
■準耐火建築物(法第2条第九号の三)
主要構造部(壁、柱、床、はり、屋根、階段)を準耐火構造とすること。
通常の火災による延焼を抑制するために必要な構造とすること。
○準耐火構造(1993年に創設):準耐火性能を有する構造
・告示で定められた例示仕様
・試験等により性能を確認した上で、国土交通大臣の認定を受けたもの
○準耐火性能:加熱開始後 45~60分間の加熱中の非損傷性、遮熱性、炎性が確保されていること。
注1)耐火建築物・準耐火建築物ともに、外壁の延焼のおそれのある部分の開口部には防火設備が必要。
注2)準耐火建築物は、主要構造部の耐火被覆は不要だが、防火区画を構成する鉄部には耐火被覆が必要。
④要求される耐火性能
要求される耐火性能は、最上階から数えた階数によって異なります。
耐火性能は、「1時間耐火」などと表現されます。「1時間耐火」とは、1時間の火事でも構造耐力上支障のある変形、溶融、破壊その他の損傷を生じない性能をいう。つまり、「1時間耐火」よりも「2時間耐火」の方がより高い耐火性能を示す。同じ吹付け石綿であれば、「1時間耐火」よりも「2時間耐火」の方が、吹付け層が厚いということです。
階別要耐火性能
建物の部分 | |||||||||
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壁 | 柱 | 床 | はり | 屋根 | |||||
間仕切り壁 | 外壁 | ||||||||
耐力壁 | 非耐力壁 | ||||||||
延焼の恐れのある部分 | 延焼の恐れのある部分 以外の部分 |
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建築物の階 | 最上階及び 最上階から数えた階数が 2以上4以下 |
1時間 | 1時間 | 1時間 | 30分 | 1時間 | 1時間 | 1時間 | 30分 |
最上階及び 最上階から数えた階数が 5以上14以下 |
2時間 | 2時間 | 1時間 | 30分 | 2時間 | 2時間 | 2時間 | 30分 | |
最上階及び 最上階から数えた階数が 15以下 |
2時間 | 2時間 | 1時間 | 30分 | 2時間 | 2時間 | 2時間 | 30分 |
1.この図において、建築基準法施行令第2条第1項第8号の規定により階数に算入されない屋上部分がる建物の部分の最上階は、当該屋上部分の直下階とする。
2.前号の屋上部分については、この図中最上階の部分の時間と同一の時間によるものとする。
3.この図における階数の算定については、地階の部分の階数は、すべて算入するものとする。
4.最上階から数えて、4階の床は1時間耐火、5階のはりは2時間耐火となる。
出典:国土交通省大臣官房官庁営繕部 官庁施設における木造耐火建築物の整備方針
次回は耐火構造の続きと耐火被覆に関してお話しします。
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