皆様こんにちは。REDSエージェント、宅建士の成田育子です。毎日毎日猛暑が続いており、この業界、仕事のご案内はとても大変な時期でもあります。
今回は私が戸建てをご案内する際にいつも言っている「前面道路(建築物の敷地に2m以上接する建築基準法で認定された道路)がとても大事」というお話です。
住宅地の中にある建物の中には、前面が私道にのみ面しているという物件があります。こうした物件を購入した場合、私道を利用する際にさまざまな制約や管理負担が発生しますので、私道沿いにある住宅を購入する際には私道負担の内容についてじっくり検討する必要があります。
また、売却する際には、買主が購入後に利用しやすい状況を把握し用意しておくことが必要です。今回は私道に関する制約や、売却・購入時の注意点について記載していきます。
(写真はイメージです)
私道と公道の主な違い
まず公道とは、国や自治体が所有している誰でも通行できる道路です。
これに対し「私道」とは、個人や団体などが所有している道路であり、その道に面している土地を利用するために造られた道のことです。具体例としては、住宅地の中にあり、住民が通路として利用する道路や工場内にある道路などが挙げられます。
私道は個人の所有地であり、原則として土地所有者の許可がなければ利用できません。ただし、建築基準法の道路とみなされている私道は、所有者でなくても自由に通行可能であり、所有者でも道の変更や廃止が制限されます。
他人の住宅が私道沿いに建てられていて、そこに住む人が通行する権利を認められている場合、私道を廃止する際には、私道沿いに建てた家の所有者に承諾を得なければなりません。
購入する物件の私道持ち分がない場合は私道所有者の「掘削通行承諾書」の取得が必要になります。この「掘削通行承諾書」がない場合は住宅ローンが組めない場合もあります。
公道では道路交通法が適用されており、スピード違反やシートベルト未着用などは違反として取り締まられますが、私道では同法の適用は受けません。
建築基準法では、第42条第1項第5号道路(位置指定道路)や「第42条第2項道路(みなし道路)」などの私道も「道路」として扱われ、公道と呼ばれるケースがあります。
建築基準法では建物を建てる際には、接道義務を満たす必要があり、敷地が道路に2m以上接していることが要件となります。
私道と公道の見分け方
私道や公道については、通常は購入売却にかかわる不動産担当者が役所で調べ、お客様に報告することですが、知識としてお役に立てればと思います。
私道と公道を見分けるには、以下3つの方法が挙げられます。
- 公図で確認する
- 登記事項証明書で確認する
- 役所の道路管理課で確認する
私道は、登記事項証明書で確認することも可能です。法務局で対象エリアの公図を閲覧し、私道部分の可能性が高い地番を調べてから、道路部分の登記事項証明書を取得し所有者名の有無を確認することで公道か私道かを調べられます。登記事項証明書の記載事項には所有権などの権利に関する内容もあるため、共有私道の持ち分や所有者の確認も可能です。
不動産の所在地を管轄する市区町村役所の道路管理課では、調査対象となる道路が公道か私道かを教えてくれます。役所で確認する際は、地図を持参すると確認しやすいでしょう。調べたい土地の「地番」を伝えると、周辺道路が私道・公道のどちらであるかを確かめられます。市区町村が管理する道路法上の認定道路については、インターネットの地図情報システムで確認できる自治体もあります。
前面道路の思い出
私はこの仕事をして、初めて自宅の前が「公道」だと知りました。一見してどちらなのかを見極めることは困難です。
私がこの業界に入っていきなりOJTに任された仕事は、売却依頼を受けたお客様の自宅の前面道路が私道で、掘削通行承諾書がない物件でした。「掘削通行??」と全くわからない私に、とにかく私道所有者2名の署名捺印をもらうことだったのです。
物件の隣の所有者とその所有者の兄弟が前面道路の所有者でした。実際売却依頼を受けたお客様は道路が私道か公道かもわかっておらず、昭和時代は掘削承諾書などがなくても住宅ローンが下りていたのですね。
この承諾書を取るのに3か月。こちらを取得するには売主様の協力も必須になります。持ち主の兄弟の方は地方の、離れたところに住んでおり、何度も通い、ようやく署名押印をいただけたのを今でも鮮明に覚えています。最初は不審がられましたが、最後は野菜をたくさんいただくまでになりました。
この業界に入ってすぐに道路付けの大事さというのを目の当たりにしたのもあり、道路に関しましては徹底して調査をしております。
最後に
本日も道路付けがわかりづらい物件の相談を受けており、夏休みですが区役所に調査に行ってきました。何気に毎日通っている道路。皆様のご自宅はいかがでしょうか?
今回の記事では道路の種別などはあえて、抑えました。まずは「公道」なのか「私道」なのか。戸建てにお住まいのお客様、戸建て土地を購入検討のお客様はこちらの道路だけでも知っておくことを参考にしていただければと思います。
皆様からのお問い合わせお待ちしております。
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