南海トラフ地震で注目! 大地震のたびに強化されてきた耐震基準の変遷について | 仲介手数料無料のREDS

こんにちは。不動産売買の仲介手数料が【無料・割引】の【REDS】宅建士・宅建マイスターの小野田浩(おのだ ひろし)です。

2024年8月8日(木)夕方に発生した日向灘を震源とするマグニチュード7.1の地震を受け、気象庁は同日午後7時15分、次の巨大地震に注意を呼びかける「南海トラフ地震臨時情報」(巨大地震注意)を発表しました。

気象庁は南海トラフ地震の想定震源域では大規模地震が発生する可能性がふだんと比べて相対的に高まっているとして、政府や自治体からの情報に応じた防災対応を取るよう呼びかけています。

また、総務省消防庁は沖縄から関東にかけての自治体に通知を出し、地域住民に対して、今後1週間程度は普段より後発地震が発生する可能性が高まっていることを迅速に伝えるとともに、避難態勢の準備などを呼びかけるよう求めました。

日本は、世界的に見ても「地震大国」です。地球上の大地震の20%が日本で起きているともいわれているそうです。ここ数十年でも、阪神・淡路大震災や東日本大震災など、大きな地震が発生し、多くの被害が出ています。

地震による被害を防ぐためには、建物の「耐震性」が重要になります。「耐震基準」とは、建築物や土木構造物が地震の揺れに耐えられるように、その強度や構造を定めた基準のことです。今回は、建築基準法の改正に伴う「耐震基準」の変遷について解説します。

耐震基準

(写真はイメージです)

耐震基準とは

耐震基準とは、これから建てようとしている建築物や土木構造物が地震の揺れに耐えられるように、その強度や構造について、国が法令(建築基準法や建築基準法施行令など)により「最低限クリアすべき」と規定した基準のことです。

建築基準法の歴史は大地震の歴史そのものと言っても過言ではなく、大地震で甚大な被害を受けるたびに法令が見直され、建物の強度をより高めるように改正されてきました。大地震を経験するたびに建物の被害状況などを検証して法律の改正を繰り返しているため、「生きた法律」とも呼ばれています。

これまでの歴史の中で最も大きかった改正は、1981(昭和56)年6月1日にありました。この1981年の建築基準法の改正はとても大きな意味を持っていて、この改正以前を「旧耐震基準」と呼び、改正後を「新耐震基準」と呼んでいます。

「新耐震基準」では、建物の構造や規模、用途などによって、耐震性能の基準が細かく定められました。たとえば、住宅の耐震基準は「震度6強の地震で倒壊しないこと」とされています。

耐震基準の変遷

耐震基準はどのような変遷をたどってきたのでしょうか。

関東大震災を経て耐震基準が盛り込まれる

日本では、建築基準法の基となる市街地建設物法が1920年に施行されましたが、この時点では耐震基準については全く触れられていませんでした。

その後、1923年の関東大震災を経て1924年に市街地建築物法が大幅に改正され、初めて耐震基準が盛り込まれました。1950年には市街地建築物法が廃止されるとともに建築基準法が制定され、当時は主流だった木造住宅における壁量規定が定められ、1959年の改正ではより強化されました。

北海道十勝沖地震を経て1971年の耐震基準引き上げ

1968年に発生した「北海道十勝沖地震」がきっかけとなった、1971年の建築基準法の改正では、RC(鉄筋コンクリート)造の建物に対する耐震基準が引き上げられました。

この地震は、住宅の倒壊による被害が多く、実際に600棟以上の全壊、1万5000棟以上の建物の一部が損壊する被害がありました。

こうした被害を受け、柱の強度についての改正が主たる内容となっています。また、この改正で木造住宅の基礎部分にコンクリートやRC(鉄筋コンクリート)を使用することが盛り込まれました。

宮城県沖地震を経て1981年に新耐震基準

1981年の建築基準法施行令の改正では建物の耐震基準が大幅に見直されました。これは1978年に発生し、甚大な被害を出した「宮城県沖地震」がきっかけでした。

内容としては、一次設計と二次設計の概念が導入されました。一次設計とは許容応力度計算を実施し、日常的な力による建物構造の影響度で、二次設計とは保有水平耐力計算を実施し、地震などによる大きな力で倒壊しないことを計算するもので、それぞれの構造、建物に対して、この数値基準を設けました。

特にこの1981年の建築基準法の改正での新耐震基準は非常に大きな変化で、1981年5月以前の基準で設計された建物を「旧耐震基準」、1981年以降に設計された建物が「新耐震基準」とされています。

旧耐震基準では「震度5」の揺れで倒壊しないこと、新耐震基準では「震度6~7」の大きな地震でも全壊しないことを基準として設計されています。

実際に、2011年に発生した「東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)」では、1981年以降の「新耐震基準」で建設された建物の地震による直接的被害は少ない状況でした。

新耐震基準の改正によって、不動産・建築業界では「旧耐震基準」や「新耐震基準」という表現で区別されるようになり、新たに住宅を購入する際の耐震基準に準じた建物かどうか見分ける基準となっています。

阪神淡路大震災を経て建築基準法と建築基準法施行令改正

1995年に発生した阪神淡路大震災は未曾有の被害をもたらし、実際にビルが倒壊したり、高速道路の柱脚が倒壊し道路が横倒しになったりする被害がありました。

この阪神淡路大震災をきっかけに、耐震基準はさらに見直されることになり、1995年と2000年に建築基準法と建築基準法施行令が改正されています。

大きな変化は、地盤や建物基礎に関する内容と、梁など建物の構造をつなぐ部分の強化が主たる内容となっています。

 

本日はここまで。

では、また。

 

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