REDSエージェント、宅建士の由里拓也です。
先月から、大手銀行やネット銀行は、固定型の住宅ローン金利を引き上げました。そこで今回は、金利上昇の場合に備えて、解説させていただきます。
変動金利型住宅ローンのリスクに備える3つの方法
変動金利型の住宅ローンを選択される場合、下記のようなご不安があるかと思います。
- 新規借り入れや借り換えの場合、変動金利型は住宅ローンの返済額は相対的に少ないが、金利が上昇すると、返済額が大きくなる恐れがある。
- 一般的に、金利が上昇するときは借り入れ期間の長い金利から上昇するため、金利上昇が始まってから、変動金利型から固定金利型に変更しても遅くなる。
- 将来の金利上昇を予測するのは難しい。
このような問題点や将来の不安について事前に備える3つの方法をご紹介します。
- 「変動金利型」または「組み合わせ商品(ミックスローン、固定期間選択型)」を選択する。
⇒全期間固定金利型よりも、月々の返済額が低く、ローン残高も早く減るメリットがあります。 - 固定金利型を契約した気持ちで、(少なくとも)返済額の差額分を預貯金で積み立てる。
- 金利上昇した際に、積み立てた預貯金を繰り上げ返済に充てる。
⇒さらに、繰り上げ返済を後ろ倒しにして住宅ローン減税のメリットも享受する。
住宅ローンの「借り換え」の効果
変動金利型の住宅ローンの金利変動リスクへの対応策として借り換えが考えられますが、一般的に、借り換えが経済的に効果をもつ場合は、優遇金利幅が十分拡大する局面です。つまり、基本的には金利低下局面で、固定金利型から固定金利型への借り換え、変動金利型から固定金利型に借り換え、または組み合わせ商品に借り換え、固定金利型から変動金利型に借り換える場合です。
逆に、金利上昇局面でもうまくいく方法として、変動金利型から変動金利型への借り換えで、期間選択型で借りられた方は特に、固定金利型期間が終了すると固定金利幅(優遇金利幅)が縮小することから、優遇の終了した後の金利を選択するよりも、この時点における変動金利型へ移行するケースが多いと考えられます。今借りている変動金利型の水準が十分高いのであれば、有効な戦略になりうる可能性と考えられます。
ただし、借り換えに必要な手数料を含め総返済額が少なくなるか検討することが重要です。借り換えの場合、通常事務手数料として2.2%の手数料や(金融機関によって異なる)、ほかにも抵当権設定などに必要な各種手数料がかかります。これらを考慮しても効果的で有効なのか考える必要があります。また、住宅ローン残高も返済期間も十分残っているのであれば、借り換えが有効になることも考えられます。
将来の金利上昇には繰り上げ返済が効果的
昨今の住宅ローンの適用金利が低い水準で推移しているなかで、日本銀行の金融政策の一部修正もあって、変動金利型と固定金利型の金利差が拡大しています。このため住宅ローン利用者は、金利のより低い変動金利型の住宅ローンを選択する傾向が高くなっています。
変動金利型か固定金利型かの選択は、利用者のリスク許容度に応じて選択すべきで、リスク許容度が低いほど、利用者は資金余力の拡大など、戦略的な備えと家計の見直しが重要となります。
仮に、将来の金利上昇に備えるには、借り換えよりも、繰り上げ返済で対応する方が効果的と考えられます。一般的に金利上昇局面では、変動金利型から固定金利型への借り換えは経済的な効果は難しくなります。
住宅ローンをあくまでも住宅取得という目的を達成するための手段としてとらえ、安心して家族と自分の家に住むという目的のためには、金利変動があっても最低限の住宅ローンのリスク管理が求められることを認識することが重要です。
変動金利型住宅ローンの「5年ルール」と「125%ルール」の適用除外の場合
注意しなければいけないのが、昨今、変動金利型住宅ローンについて多くの金融機関が取り扱っている「5年ルール」と「125%ルール」を融資条件の規約内容から外し、その代わりに金利水準を下げるなど、ほかのサービス水準をよくするということで対応する金融機関が出てきた点です。
一般に変動金利型で5年ルールとは「金利が上昇しても、5年間は毎月の返済額が変わらない」というものです。125%ルールとは「変動金利型で金利が上昇しても、6年目以降は元の返済額の125%までしか増えない」というものです。
これらのメリットは、変動金利型で借り入れ後に金利が上昇しても、返済中の家計の収支については大きく変動せず、また、ゆっくりと家計の見直しを進めることができるというものです。
一方で、変動金利型のデメリットは、仮に金利が上昇し利息の支払いが増加しても、未払いの利息も含めて住宅ローンを完済する義務は免れないことです。また、未払いの利息が増える可能性もあり、結果的に総返済額が大きくなることも注意事項かと思います。
昨今、これらのルールを撤廃する代わりに、見栄えのいいかたちで商品を提供する銀行も増えています。商品説明書の中身をしっかり確認し、このようなルールの有無を確認することが大切かと思います。
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