こんにちは。REDSリフォームの髙石彩也子です。ブログをご覧いただきありがとうございます。
前回は、リフォームを推し進める理由について書いてみましたので、今回はリフォームをする上での制約について書いてみたいと思います。
リフォームって簡単なようで、新築するより難易度が高いと思っているのですが……私だけでしょうか?
天井の高さに注意! マンションの床には直床と二重床
マンションの床には、「直床」と「二重床」があります。
直床
直床はコンクリートスラブの上に、均し(ならし)モルタル(レベラーとも呼ばれます)を施し、接着剤をつけてフローリングを張るというもの。
直床用のフローリング材は床材メーカーさんで取り扱っており、フローリングの裏面にふかふかした緩衝材が貼ってあるものが直床用(直貼用)です。階高があまりないマンション、特に築古物件に多い工法です。
二重床
二重床は、コンクリートスラブ上に支持脚を設置し、その上に下地材やフローリングを張ったものです。置床工法とも呼ばれます。
床下に空間があるため、この中に水廻りの配管を通すことができ、床の高さをフラットに仕上げることができます。水廻りとPS(パイプスペース)位置が離れすぎてしまうと、排水勾配(※後述)が取れずに床が上がってしまうこともあるのでご注意ください。
二重床は支持脚分の高さが床下にあるため、床全体がコンクリートスラブから約120mm上がります。お部屋が「直床」で天井高さが2350mmの場合、「二重床」に変更してしまうと天井の高さが2230mmへと低くなってしまうので注意が必要です。
床暖房がある場合
床暖房がある場合は、下地材とフローリング材の間に床暖房パネルが敷設されます。床の張り替えを希望された際に、リフォーム会社から床暖房の取り替えをご提案されるのは、床材にパネルが貼りついていてはがすことができないためです。
もし、今の床暖房をそのまま使用されたい場合は、既存のフローリングの上に、新しいフローリング材を上貼する方法もあります。上貼できるフローリングは厚み1.5mmからご用意できますので、ご検討の際にはご相談くださいませ。
水廻り設備の床高さ
お部屋内のコンクリートスラブには、段差があるものとないものがあります。洗面所・浴室やトイレに入るときに床に段差がある場合は、コンクリートスラブに段差がありません。水廻り設備の配管を下に配置し、お部屋をバリアフリー化する目的でスラブ段差はつくられています。
ユニットバスの場合、箱型の下に据え付けのための脚がついています。
【ユニットバスの展開図】
【ユニットバスの納め方イメージ】
元々の構造でスラブ段差がある場合は、浴室や洗面室がこの段差内におさめられているので、リフォームで交換をすることも、多少の位置変更も容易なほうかと思います。
この段差内でおさまらない場合、例えばユニットバスのサイズを大きくしたなどで脚が外に出てしまうなどしたときは、ユニットバスだけ足元に段差が出てきてしまうことになります。
【排水の経路例】
※例のため、実際のルートとは異なります。
洗面、ユニットバス、洗濯機防水パンからの排水は、3つまとめて雑排水用竪管につながります。トイレは、汚水用の配管につなげられます。
PS(パイプスペース)内の竪管(縦管のこと)は、各階につなげられている共用部分となっているため、位置変更やリフォーム時に壊すことはできません。また、竪管の各専有部への横枝管(専有部内の配管)のつなぎ高さが決まっているため、設備の位置などを変更した場合にはその高さを目指して配管をつなぎこむ必要があります。
そして、配管には排水をするための勾配をつけなければいけません。
勾配は、
・キッチン、洗面化粧台、ユニットバス、防水パン(配管径=50A):1/50以上
・トイレ(配管径=75A or 100A):1/100以上
です。
(1/50は1mで2cm、1/100は1mで1cm配管の高さが上がります)
つまり、決まっている出口高さに配管がつなぎこめないと、どこかで調整をする必要が出てくる=床の高さが上がってしまう、ということなのです。
間取り変更、トイレは要注意!
間取り変更で最もトラブルが出やすい所がトイレです。トイレは汚水の配管につなげなければならないことと、床の高さを変えてしまうと逆勾配になり排水ができなくなるといったトラブルが起こることがあります。
例えば、「トイレの段差をなくしてほしい」といったお話をたびたびいただきます。竪管への出口高さが図のようにコンクリートスラブより高い位置にある場合は、床を下げてしまうと下の図のように、出口が上側になってしまい、逆勾配となってしまいます。
また、トイレ位置を変更するときも同様に、つなぎこめる竪管が汚水管のみのため、遠くなればなるほど配管も長くなり、排水勾配のための高さが増え、居室全体の床の高さも上がってきてしまいます。
天井には、キッチンや浴室からのダクト(換気)用の配管が入っていますので、場合によっては床の高さを上げてしまうことで必要な居室空間が確保できないことも懸念されます。
トイレ向きを逆にするだけでも配管の長さが変わってしまうため、リフォームをする中でも最も気を使う設備なのです。
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ここまでお読みいただきありがとうございました。
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