みなさま、こんにちは。不動産流通システムのエージェント、宅建士の大石です。最近初めてお話しするお客様から必ずと言っていいほど聞かれる質問があります。
「不動産価格は今後どうなっていきますか?」
マイナス金利の解除や、東京都知事選、アメリカ大統領選挙など金利に影響しそうなニュースもたくさんありますが、先に結論を言います。
「分かりません!」
もし分かるのなら私は今ごろ先行投資をしてお金持ちになっているでしょう。と、言ってしまったら身もふたもないので、もう少し深掘りしていきます。
不動産価格が近年、上昇した5つの原因
まず、なぜ不動産価格がここ数年で上昇したのか、考えられる主な原因を5つ挙げます。
原因1:低金利政策
多くの国で長期間にわたり低金利政策が続いており、住宅ローン金利が低い状況が続いています。国内でも低金利の影響は大きく、住宅購入がより手軽になり、需要が高まりました。
原因2:住宅需要の増加
特に都市部や人口密集地域では人口の増加や生活スタイルの変化により、住宅需要が増加しました。
特に若年層や核家族化が進んだことで、住宅市場の需要が高まったといえます。最近では、コロナウイルスによるテレワークの普及で、部屋数が必要になり、「賃貸で広いところへ引っ越すくらいなら買ってしまおう」という需要が増えたことも影響していると思われます。
原因3:投資対象としての需要
不動産が投資対象として安定した収益を期待できると認識され、個人や法人の投資が増加しました。
特に景気の不安定感がある中で、不動産は安定した資産価値が期待され、需要が高まりました。さらに昨今は円安が進み、海外投資家が日本の不動産を買いやすくなっていることも背景にあります。
原因4:供給の制約
特に都市部では土地が希少で開発に制約があるため、新規供給が追いつかない状況が長く続いています。これにより需給バランスが崩れ、価格が上昇しやすい状況が生まれました。
日本人の購入需要や海外投資家による需要が増えても、日本の土地が大きくなるわけではないので需要に対して供給が足りていない状況です。
原因5:景気の回復
不動産市場は一般的に経済全体の動向に大きく影響されます。国内の景気が回復すると企業の業績が改善し、雇用が増加するため、国民の住宅購入力は向上しました。
そこにウッドショックという木材不足が起きたり、ロシアとウクライナの戦争による影響で資材の供給が少なくなったりというのも重なり、不動産価格の上昇を起こしています。
首都圏の不動産価格は下がらない
さて、実際に今後の不動産価格の推移に関しては正直、当社のエージェントの間でも、不動産業界でも、金融機関によっても意見はまちまちです。
恐らく違わないのが、金利が上がると不動産価格は下がるということです。金利が上がると、もちろん住宅ローンも投資ローンも上がります。そうなると割高感を感じてしまい、不動産本体の価格が落ちます。
ただしその下落が一時的なものになるか、継続的なものになるかが重要なのですが、先行き不透明といった状況です。
ここからは私個人の意見を述べさせていただきます。
私は「首都圏においては、価格は上がる、少なくとも下がることはない」と思っております。
根拠としては、東京の不動産地価は世界的にはまだ安いといわれているからです。日本不動産研究所が5月に発表した世界の大都市の不動産価格を比較する「国際不動産価格賃料指数」(2023年4月)では、東京(港区元麻布)のマンション価格を100とした場合、順位は以下のとおりです。
- 香港 242.7
- ロンドン 181.7
- 上海 155.8
- 台北 156.9
- ニューヨーク 132.1
- シンガポール 129.8
- 北京 124.2
- シドニー 109.6
- 東京 100.0
東京はシドニーに次ぐ9位で、主要都市と比較すると、まだまだ割安であることがわかります。ロンドンやニューヨークのみならず、アジアの香港、シンガポールと比較しても不動産価格、賃料のいずれも低いため、割安であるといえるでしょう。
海外投資家の目には、日本は、政治・経済・社会的にもアジアの中では最も安定した国であり、再開発の続く東京の不動産は、最も安全で成長が期待できる投資対象として映っていることでしょう。
不動産価格が下がるときに起こっていること
一般に不動産価格が下がっているとしたら、世の中ではどんなことが起こっているのでしょうか。下記に主な要因を5つ挙げます。
要因1:経済の低迷や不況の深化
経済が低迷し、失業率が上昇すると、不動産に対する需要が減少し、価格が下落する可能性があります。特に、不動産購入に関わる大きな財政的リスクを背負う家計は、経済不安時に買い控える傾向があります。
要因2:金利の断続的な上昇
住宅ローンの金利が急上昇すると、住宅購入のコストが上昇し、需要が減少することが考えられます。これにより、価格競争が緩和され、不動産価格が下落することがあります。
要因3:供給過剰
不動産の供給が過剰になると、価格競争が起こり下落する可能性があります。特に開発が急速で供給が追いつかない場合、空室率の増加や価格の圧力がかかることがあります。
要因4:法制度の変更
不動産に関連する法的な規制や税制の変更が行われると、購入意欲が低下し、不動産取引が活発でなくなることがあります。例えば、不動産に関する税の引き上げや、投資物件への規制強化などが該当します。
要因5:人口減少や地域の衰退
特定の地域で人口減少や経済の衰退が進むと、不動産の需要が低下し、価格が下落することがあります。これにより、地域全体の不動産市場が弱まることが考えられます。
人口に関しては統計で東京都を含め全国的に減少していくという予想です。東京都は2025年の約1400万人をピークに2060年には1200万人を切るといわれています。ただし、人口が減るとはいえ、少なくとも23区内に関しては海外投資家の下支えがあるので、今後急速な円高になっていかない限りは下がらないのではと思っています。
まとめ
今後、不動産価格が上がるか下がるかに関しては、各業界・各個人によっても意見が分かれており不透明です。
世界的にみると東京はまだまだ地価が安く、個人的な意見としては下がらないと予想しますが、下落の要因が複数重なってくると下がる可能性はあります。
しかし、こんな不透明状態であっても、不動産の売買取引自体は数多く行われております。不安な部分もあるかと思いますが、いつでもご相談を承りますので、不動産の購入・売却のご相談は仲介手数料が割引、最大無料になる【REDS】まで!
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