『不動産仲介トラブル事例集』から学ぶ、位置指定道路の落とし穴!! | 仲介手数料無料のREDS

皆様こんにちは。

首都圏1都3県(東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県)の不動産取引について、必ず「仲介手数料が無料」または「仲介手数料が割引」になることで注目の、不動産流通システム【REDS】のマイスターエージェント【宅建士】【宅建マイスター】の堀 茂勝(ほり しげかつ)です。

不動産の購入を検討するにあたっては、いろいろ「落とし穴」に気を付けなくてはなりません。そこで、宅建マイスター認定試験を実施している、公益社団法人不動産流通推進センターが発行している『不動産仲介トラブル事例集』に掲載された事例を参考に取り上げて、私なりに解説してみたいと思います。

不動産仲介トラブル事例集_表紙

今回は「位置指定道路」について、意外と気づかない「落とし穴」について取り上げてみようと思います。

位置指定道路

閑静な住宅街。整然とした街並み。なのに落とし穴!?

あなたは、下記の販売図面の土地を検討しているといたしましょう。

販売図面

一件、なにも落とし穴がありそうなようには見えないかもしれませんね。実際に現地を見てみると……。

現地写真

特に不審な点も見当たりませんね。

道路の幅員は、現在では本来は最低4m以上が必要ですが、「2項道路」といわれる幅員4mを欠けてしまっている道路(道路と見なすことにされた道)も、特に都内ではよく見かけます。でもここは、現地の写真を見ても、道路幅がチョッとゆったりしている道路ですね。販売図面を見ると道路幅は5.4mあるようです。

幅員が4mしかない道路にくらべて、5.4mあれば、車庫入れの苦手なママでも、車の出し入れは心配なさそうですね。

「位置指定道路」ってなに?

今回の販売図面には「位置指定道路」と記載されております。

一般の方にはなじみのない「位置指定道路」という言葉ですが、簡単にいいますと、個人が所有している私有地を「(建築基準法上の)道路」として行政が認定して「指定」した「私道」のことです。

実際によく見かける販売図面では、「42条1項5号」と記載してあるケースが多いと思います。たとえば世田谷区では、下記のページのような記載がされています。

世田谷区「建築基準法で定める道路について

<世田谷区HP「建築基準法で定める道路について」>

さて、上の現地写真を見て、これが一般によくいう「公道」なのか、それとも「(多くは私道の)位置指定道路」なのか、見分けがつきにくいかもしれませんね。さて、なにを見れば、「位置指定道路」かどうか、わかるのでしょうか。

「位置指定道路」の場所を探せ!

以前は、わざわざ役所に行って「建築基準法道路種別の図面を見せてください!」と言って見せてもらわないとわからなかったのですが、首都圏のほとんどの自治体では、インターネットのマップ情報によって、ご自宅で簡単に確認できるようになってきています。

たとえば世田谷区では、「せたがやi Map」で、簡単に確認ができるようになっています。

せたがやiMap「指定道路図」

<せたがやi Map テーマ:位置指定道路

上記のマップに薄オレンジ色に塗られている道路、「凡例」で「1項5号」と書かれているのが「位置指定道路」です。意外とアチコチにありますね。

『指定道路台帳』を見てみよう!!

この「位置指定道路」について詳しく知りたければ、役所に行って「指定道路台帳」を見せてもらって、写しをもらってくることができます。

さきほどの販売図面の道路について「指定道路台帳」が下記のようです。

指定道路台帳

ちなみに、この場所についての住宅地図を見ると、下記のようになっています。

住宅地図

整然とした街並みで、いかにも住みやすそうな土地にしか見えませんね。

この土地に、どんな落とし穴があるのでしょうか。

「ええっ、有効な敷地面積が減ってしまう?」……位置指定道路の落とし穴

今回の物件の落とし穴は、「販売図面」にも「指定道路台帳」にも「幅員5.4m」となっているのに、現地を測ってみると、現況の幅員は「約4.9m」しかなかったことです。

街並みが整然としているように見えましたし、ゆったりした道路のように見えましたが、しかし「位置指定」の許可を受けた図面よりも、現況の幅員が約50cm足りなかったのです。

今回のケースでは、足りなかった50cmの幅を、道路の両側がそれぞれ約25cm(0.25m)後退して道路幅を確保する必要があります。つまり販売図面の土地のうち前面道路から約0.25mの範囲は、建物を新築する際に建築確認を取得する際の「敷地面積」に含めることができないのです。

販売図面によると、道路に接道している距離は約14.0mと記載されています。

接道幅約14.0m×後退距離約0.25m=約3.5㎡!

なんと、有効面積が約1坪も減ってしまう事態です!!

びっくり

現地の写真を見ても、ゆったりした道路にしか見えませんでした。この道路幅が5.4mあるのか、約4.9mしかないのかは、ちょっと見ただけではわかりません。こんなことにならないように、現地を確認する際には、きちんと測ってみることが必要ですね。

 

【REDS】 宅建マイスター:堀 茂勝

<参考リンク・文献>

 

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