REDSエージェント、宅建士の島崎正輝です。
固定資産税とは、ご自身で所有している不動産(固定資産)に課される税金のことです。不動産を購入したり、親から相続したりなどで、土地や家屋、マンションなどを所有したばかり、またはこれから購入予定のある方のなかには「固定資産はいつ払うのか」「誰が支払うのか」と疑問に思う方も多いと思います。今回は、固定資産税を支払うべき納税義務者や支払う時期、特例措置について詳しく解説します。
固定資産税と都市計画税との違い
固定資産税が所有している不動産に課される税金であるのに対し、都市計画税とは、都市計画事業や土地区画整理事業の費用に充てるための税金となります。都市計画区域内にある土地・家屋・マンションなどを所有する人や法人に毎年課税されます。徴収された税金は主に公共事業に使われます。
都市計画税は「都市開発を目的」とした税金であるため、都市計画が進んでいない都市計画区域外などの不動産や山林などは非課税となることもあります。つまり、都市計画税を納める必要があるかどうかは、土地や建物やマンションがどの場所にあるかよって異なります。
固定資産税の税額は?
固定資産税の計算方法は以下のとおりです。
《固定資産税評価額(課税標準額)×1.4%(標準税率)》
「固定資産税評価額」とは、税額を決めるにあたっての基準となる価格のことで、毎年送付されてくる「納税通知書」に記載されています。標準税率は市区町によって異なりますので、該当する土地や建物やマンションがある各自治体のホームページなどで確認してください。
固定資産税を支払う人は誰?
固定資産税の納税義務者は、1月1日の時点で土地や建物やマンションを所有している人です。これは、固定資産税が確定する期日が1月1日であるためです。誰が支払うべきか迷うパターンとして、以下の2つが考えられます。
- 不動産相続
- 不動産売却
不動産の所有者が亡くなり、相続手続きが全て済んでいれば、不動産を相続した所有者が固定資産税を支払います。
もし相続手続きを終えていない場合は、故人が納めるべき固定資産税は、相続人が分担して支払う必要が出てきてしまいます。例えば1月1日以降に不動産の所有者が亡くなり、9月1日に相続登記が行われたケースでは、その年の納税義務は法定相続人全員にあります。翌年からは不動産を相続した相続人が新しい所有者となります。
固定資産税の納税義務者が「1月1日時点の所有者」となる関係で、その年の納付書は元売主宛に送られます。年の途中で不動産を売却したときは、売主と買主との約束で、分担割合を決めるのが通例です。その場合、固定資産税額を日割り清算して、引渡し前の分を売主が負担、引渡し後の分を買主が負担するのが通例です。
売主と買主の負担割合ですが、実は地域によって異なります。固都税(固定資産税と都市計画税)の清算起算日は1月1日と、4月1日の2種類があり、売買契約書に起算日を決めていないとトラブルになります。後になって売主と買主でもめないように、売買契約の際に必ず清算起算日を明記しておきましょう。
固定資産税の納付時期
固定資産税、都市計画税の納付通知書は、毎年4~6月ごろに送付されます。一括払いもありますが、年4回に分けて納める方法もあります。支払い期限や納付方法は自治体によってやや異なります。第1期の支払いは、通常4~6月です。
令和5(2023)年度の、代表的な自治体における年4回の支払い時期は以下のとおりです。
地域 | 第1期 | 第2期 | 第3期 | 第4期 |
---|---|---|---|---|
東京23区 | 6月 | 9月 | 12月 | 2月 |
横浜市 | 4月 | 7月 | 12月 | 2月 |
千葉市 | 4月 | 7月 | 12月 | 2月 |
さいたま市 | 5月 | 7月 | 1月 | 2月 |
固定資産税を滞納した場合、自治体は督促状を発行し、納付期限から20日以内に該当者に発送します。その後、督促状の発行から10日が経過すると、財産(給与・預貯金)が差し押さえられることになります。
また、固定資産税を滞納すると延滞金が発生します。延滞金の割合は自治体で異なりますが、納付期限の翌日から1か月までと、1か月を超えた日から延滞金の税率が変わります。また延滞金の額は、延納期間が長くなるにつれて高くなるため、できるだけ早めに納めることが大切です。
固定資産税の支払い方法
固定資産税は、主に以下の方法で支払えます。
- 現金払い
- 口座振替
- クレジットカード決済
- 電子マネー決済
- ペイジー決済
- スマートフォンアプリ決済
現金払いは、各市区町村役場や金融機関の窓口、コンビニエンスストアなどで納税します。口座振替は、窓口に足を運ぶ時間がない人におすすめの方法です。
クレジットカード決済や各種ネット決済は、自治体によっては対応していないこともあります。また、クレジットカード決済には手数料が発生します。電子マネーやスマートフォンアプリ決済についても、自治体によって対応の可否は異なります。独自のルールを設けていることもあるため、各自治体のホームページなどで確認しましょう。
ちなみに、納付期限を過ぎてしまった場合は、自治体によって支払い方法が限定されることもありますので、期限は必ず守るべきです。それでも万が一期限を過ぎてしまった場合は各自治体に確認してください。
固定資産税の特例措置
固定資産税には、特例措置というものが存在します。住宅用地と新築住宅、それぞれに対する特例措置について解説します。
住宅用地
住宅用地とは「居住用建物」が建っている敷地全体を指します。住宅用地は、面積によって2つの種類に分けられ、それぞれ固定資産税の軽減措置が適用されます。
土地の種類と、それに対する課税標準額は以下のとおりです。
土地の種類 | 課税標準額 |
---|---|
小規模住宅用地 (敷地面積200㎡以下) |
評価額の6分の1 |
一般住宅用地 (敷地面積200㎡超) |
評価額の3分の1 |
上記は、「居住用建物」が建っている土地にのみ適用されます。住居が取り壊されて更地になった場合や、居住用以外に利用される場合は適用外となります。
新築住宅
新築住宅には固定資産税の特例措置が適用されます。
この場合の特例措置は、住宅を新築した人の「初期費用の負担軽減」が目的で、良質な住宅を積極的に建設してもらう狙いがあります。適用期間は、新築戸建ては新築から3年間、新築マンションは新築から5年間です。いずれも建物部分の固定資産税が2分の1に減額されるというものです。
ただし「特例措置」を受けるには、居住部分の床面積が50㎡以上280㎡以下という免責要件を満たす必要があります。店舗併用の住宅の場合は、居住部分の床面積が全体の2分の1以上ないとこれが適用されません。
まとめ
ここまで、固定資産税における納税義務者の支払うタイミング、特例措置などについて説明しました。
固定資産税の納税義務は、1月1日時点での土地、建物、マンションの所有者にあります。不動産を相続したときや、1年の途中で不動産を売却し、所有者が変更になったときはどのように対応すべきか、それぞれの場合の納税義務者や負担割合について知っておくことが必要です。
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