お世話になっております。不動産流通システム【REDS】エージェント、宅建士の大石純也です。汗ばむことも多くなってきて、そろそろセミの鳴き声でも聞こえてきそうな季節になってきました。
先日、お客様をご案内している際にこんなご質問を受けました。
「ひとつの不動産屋さんで何件くらい見るのが普通ですか? 前に気になる物件の見学(内見)を依頼していた不動産会社さんがいたのですが、何回もお願いしてしまって申し訳なくなってしまい、今回、御社にお願いしました」
多数の物件見学依頼は気まずい?
このお客様はいろいろな物件見学をされて、私がご案内するまで10件以上その不動産会社さんで見学をされていました。営業マンの方とも仲良くなっていたそうですが、その反面気まずくなっていってしまったようです。
結論からお話ししますと、「何件でもご依頼くださいませ」。これは建前でもなんでもなく本音です。
物件見学となると、お客様も名前や電話番号などの個人情報をその不動産会社に伝えることになると思いますし、それを毎回お伝えするのもご面倒かと思います。さらに今回の例ですと、10件以上その営業マンと見に行っているということは、営業マンもお客様が求めている物件の条件や細かいニュアンスがわかっているはずです。
申し訳なくなっていく気持ちもわかるのですが、お客様にとっても同じ営業マンに頼んでいただいたほうが手間も少なく済みます。
もしかしたら住宅探しで最初にやるべきことは「信頼できる営業マンを探す」ことから始まるかもしれません。私も信頼できる営業マンとなれるよう精進いたします。
不動産会社の利益は仲介手数料だけ
不動産仲介会社の立場からのお話もさせていただきます。
仲介会社の利益は、ほぼ100%が「仲介手数料」になります。この仲介手数料は成功報酬、つまり契約いただいて決済(引き渡し)に至って初めて受け取らせていただくものです(契約後、お客様都合の解約は除く)。
つまり、いくら紹介しても案内しても、住宅ローンを通しても、契約いただいても、それだけでは我々としては1円の利益にもなりません。売買契約が成立し決済になり、仲介手数料をいただいて初めて利益を得ることができます。
案内の車や電車などの移動費、営業マンの人件費、細かく言うとお渡しする紙資料の経費などを考えるとむしろマイナスになってしまいます。
もちろんお客様にとっては関係のないお話かとは思いますが、もし「いい営業の人だけど何度も頼んで申し訳ないな」と思った際は、上記のことを思い出してみてください。
見学は何件くらいがいいの?
「同じ不動産屋さんに何回もお願いしてもいいのはわかったけど、住宅探しは何件くらい見るのが適切なの?」という疑問もあるかと思います。
まず、複数の物件を見学することで、自身の希望や要件に最も適した物件を見つけることができます。ひとつだけだと、その物件のみに目が行きがちで、他の選択肢を見逃してしまうかもしれません。複数の物件を見ることで、選択肢を広げ、自身の優先順位や重要な条件を明確にすることができます。
数としては、3〜5件程度の物件を見学することが一般的です。これは、適切な比較を行い、適切な選択をするために十分な数です。
これは経験則ですが、見すぎも要注意です。
いたずらに数を見すぎていくと、「この物件のここがよかった」「この物件はここがよかった」「じゃあこことここを合わせたものを探そう」となっていくと、まるで鵺(ぬえ)やペガサスのような存在しない物件を探すことになってしまいます。
そのうち物件を見ること自体が目的になってしまい、不動産批評家のようになってしまったお客様を何組かお見受けしたことがあります。
問題は無駄な見学をすること
ただ何度でも言いますが、何件でも見学はご依頼ください。
問題なのはいたずらに見ていくことです。
例えば自分の予算とはかけ離れた高額の物件を見に行くこと。高い物件はそれまで見てきたものよりいい条件のものがほとんどでしょう。そうすると、その高額物件のよかったところを自分たちの条件にしてしまい、自分の予算ではありもしない物件を探してしまうということになります。
一方、安すぎる物件も同じで、これは単純に時間の無駄になることが多いです。安いには必ず安い理由があります。そしてこれも経験則ですが、予算より大幅に安い物件を見に行っても、それで買うことは絶対と言い切っていいほどないです。
見学される物件は資料や周辺環境をネットで見て、調べられる範囲での条件はクリアしているものにしましょう。
最後に
物件を見学する際には、不動産市場や地域の動向を理解することが重要です。また、物件の内外を十分に調査し、購入に関連するすべての要因を考慮することが重要です。最終的な決定をする前に、じっくりと検討し、必要に応じて相談することをお勧めします。
さて、再三にはなりますが、見学は何件でもご依頼ください。ただし、いたずらに見に行くことはせず、しっかり下調べをした上で物件を精査して見に行きましょう。
理想の住宅に出合えることを祈っております。
不動産流通システム 大石
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