REDSエージェント、宅建士・宅建マイスターの金谷昭夫です。
不動産のいわゆる「2025年問題」とは、日本において2025年に不動産市場や不動産に関連する社会問題が一挙に表面化する懸念を指す言葉です。特に注目される点を解説します。
【不動産の2025年問題】1.高齢化社会の進行
日本は急速に高齢化が進んでおり、2025年には団塊の世代が75歳以上の高齢者となります。これにより、高齢者向けの住宅需要が増加し、逆に一般的な住宅の需要は減少する可能性があります。
都市部と地方で不動産価格の格差が広がる可能性も懸念されます。都市部では高齢者向けの住宅需要が増え、地価や住宅価格の上昇が続く可能性があります。一方で、地方では人口減少に伴う空き家の増加により、不動産価格が下落する可能性があります。
【不動産の2025年問題】2.空き家問題の深刻化
すでに社会問題となっている空き家問題がさらに深刻化すると予想されます。人口減少や都市部への人口集中により、地方の住宅はますます空き家となる一方で、都市部でも、高齢者が亡くなったり介護施設に移ったりすることにより、空き家が増加することが想定されます。
空き家となった家の処分についても円滑に行われる施策が必要となってきます。
【不動産の2025年問題】3.相続による所有者の変動
高齢者の増加に伴い、相続による不動産の所有者の変動が頻繁に起こります。相続問題が複雑化することで、不動産の管理が困難になり、結果として市場に出回る物件の質や価格に影響が出る可能性があります。不動産相続の増加に伴う問題点は多岐にわたります。以下に主な問題点を挙げます。
相続税の負担
不動産の評価額が上昇していると、相続税の負担が重くなることがあります。これにより、相続人が税金を支払うために不動産を売却せざるを得ない状況に陥ることがあります。
不動産の共有
複数の相続人がいる場合、不動産が共有状態になることが一般的です。売却や管理には共有者全員の同意が必要となるため、意思決定が難しくなることがあります。また、共有者間で処分方法や利用方法について意見が一致しない場合、不動産の財産分与が円滑に行われない可能性があります。
すぐに処分方法が決まらない場合には、維持管理の責任や固定資産税、都市計画税等の税負担、建物の維持管理などに、経済的負担や労力を費やす必要があります。
市場への供給過多
相続による売却が増えることで、不動産市場に物件が供給過多となる可能性があります。これにより、地域によっては不動産価格が下がるなどの影響が出る場合があります。
法律・手続きの煩雑さ
不動産相続には多くの法律や手続きが関与し、それが煩雑であるため、相続が完了するまでに時間がかかることがあります。相続人が不動産に関する専門知識を持っていない場合、適切な手続きが行えない可能性もあります。
親族間のトラブル
相続は家族間のトラブルを引き起こすことが少なくありません。相続財産の分割方法の意見の不一致が生じ、相続人間で意見が対立することがあります。
過疎地域の問題
地方や過疎地域での不動産相続の場合、特有の問題が発生します。地方では不動産の買い手が少なく、売却が難しい場合があります。過疎地域では不動産の価値が低下し、相続財産としての価値が薄れることがあります。
地価の変動
不動産市場の変化に伴い、地価の変動が予想されます。都市部では依然として地価の高騰が続く一方で、地方の不動産価値は低下する可能性があります。これにより、資産価値の格差が広がることが懸念されています。
【不動産の2025年問題】4.新しい居住形態の需要
高齢化社会に対応するため、シニア向けのサービス付き高齢者向け住宅やバリアフリー住宅など、新しい居住形態への需要が高まります。建築物の内容のみならず、医療・介護サポートのための体制も整わなければなりません。また、社会的交流の促進のため、高齢者同士が交流できる共用スペースやレクリエーション施設を設置することも重要です。
最後に
国土交通省が進める「都市再生特別措置法に基づく立地適正化計画」に基づき、高齢者や子育て世代にとって安心できる健康で快適な生活環境を実現し、財政面および経済面において持続可能な都市経営を可能とするために、医療・福祉施設、商業施設や住居がまとまって立地し、高齢者をはじめとする多くの住民が、公共交通によりこれらの生活利便施設にアクセスできる街づくり、すなわち福祉や交通なども含めて都市全体の構造を見直した「コンパクト・プラス・ネットワーク」が推進されています。
2025年問題は、人口動態の変化や社会経済の変動により、不動産市場に大きな影響を与えると予想されます。これに対応するためには、政府や企業、個人が連携して新しい需要に応じた不動産の供給や、空き家対策などの施策を進めることが求められます。
不動産の売買においても、それぞれの不動産会社が個別の事案にも的確に対応し、問題点を解決していくことが求められます。
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