こんにちは、不動産流通システム【REDS】エージェント・宅建士の小室武稔です。
今回は固定資産税や都市計画税などの税額にかかわる固定資産税評価額について、お話しさせていただきます。
固定資産税評価額によって金額が決まる税の種類
固定資産税評価額は、土地や家屋などをそれぞれどう評価するかを定めた「固定資産評価基準」に基づいて、各市町村が個別に決める評価額のことをいいます。
不動産を所有すると、「固定資産税」が発生し、土地や家屋などの固定資産を対象に毎年納付することになります。
固定資産税は毎年1月1日現在に所有権を登記している人に対して課税され、第1期の納付時期の前に納税通知書が届きます。都内23区ですとおおむね6月に届き、私の住む横浜では4月に届きました。固定資産税の標準税額は、原則「固定資産税評価額×1.4%」で計算されます。
また、都市計画法による市街化区域内に不動産を所有する人に課税される「都市計画税」や、家や土地を取得したときに1回限り課税される「不動産取得税」や登記にかかわる「登録免許税」も、固定資産税評価額をもとに計算されます。
固定資産税評価額の決まり方
では、このような税金の計算のもとになる「固定資産税評価額」は、どのように決められるのでしょうか。
土地であれば、土地の時価(公示地価)の約70%が固定資産税評価額の目安といわれますが、そのほかに土地がどんな場所にあるか、面積や形状、どのような道路に接しているかなどによって、評価額は異なります。
建物の場合は、「再建築価格×経年減点補正率」で求めます。この再建築価格は新築時の建設費のことで、経年減点補正率は経年劣化などで価値が減るので、それに応じて減額する率のことです。
新築の場合、建築費の約60%が評価額といわれています。
なお、固定資産税評価額は3年に一度評価が見直されるため、見直しのタイミングで固定資産税が変動する可能性があります。
実勢価格と比較すると
固定資産税評価額が固定資産税を計算するための基準であるのに対し、実勢価格は実際に取引された価格のことをいいます。
実勢価格は土地の価値を判断するうえで最も客観的な指標となり、売買契約書などで確認することができます。また、実勢価格は、不動産市場の動向や不動産の個別的な要因のほかに売主・買主の事情なども反映されるため、どの程度の価格になるかは一概にはいえませんが、一つの目安として、地価公示価格の1.1~1.2倍程度といわれています。
土地の固定資産税評価額は、地価公示価格の70%程度が目安であり、地価公示価格や実勢価格よりも低く算定されます。
上記の内容から計算すると
●土地の固定資産税評価額の目安:地価公示価格×70%=(実勢価格÷1.1~1.2)×70%
となります。
固定資産税評価額を確認する方法
固定資産税評価額を確認する方法として、主に以下の3つがあります。
固定資産税課税証明書の確認
固定資産税課税証明書は不動産の「固定資産評価額」が記載された書類で、年に一度、不動産の所有者宛てに送られる「固定資産税納税通知書」に記載のある明細のことです。この明細を見ることで、固定資産税評価額が確認できます。
固定資産評価額は毎年4月1日の新年度から適用され、翌年3月31日までの1年間の不動産の固定資産税上の不動産評価額が記載されています。
固定資産税評価証明書の取得
固定資産税評価証明書は自分の所有する不動産を管轄する各自治体によって発行されています。
役所で取得する場合は運転免許証など本人確認書類の提示が必要となります。また、所有者以外の人が取得する場合には、委任状を必要とします。
固定資産課税台帳の閲覧・縦覧
固定資産税評価証明書を取得しなくても、固定資産課税台帳の閲覧によって固定資産税評価額を確認することもできます。
土地や家屋のある市区町村の税務課窓口などで本人確認書類の提示によって閲覧が可能です。
新築住宅にかかる固定資産税の減額制度
良質な住宅の建設を促進し、居住水準の向上および良質な住宅ストックの形成を図るため、新築住宅にかかる固定資産税は3年間(マンションなどの準耐火構造、および耐火構造住宅の場合は5年間)、2分の1に減額されます。
■減額される住宅の要件
住宅の種類 | 床面積 |
---|---|
専用住宅 | 50㎡以上280㎡以下 (戸建て以外の貸家住宅は40㎡以上280㎡以下) |
併用住宅 (居住部分の割合が2分の1以上) |
居住部分の床面積が50㎡以上280㎡以下 |
■減額される範囲
床面積 | 減額範囲 |
---|---|
120㎡以下の場合 | 2分の1 |
120㎡を超え280㎡以下の場合 | 120㎡相当分について2分の1 (120㎡を超える部分は減額なし) |
■減額される期間
住宅 | 減額期間 |
---|---|
3階建て以上の準耐火構造および耐火構造住宅 | 新築後5年間 |
一般の住宅(上記以外) | 新築後3年間 |
適用期限は令和8(2026)年3月31日までの新築となります。
まとめ
固定資産税評価額を把握しておくことによって、中古住宅の売買価格の目安にもなります。固定資産税評価額や公示価格、近隣の実勢価格などを調べることによって、購入検討物件の割安、割高を判断する指標にもなりますので、ご参考にしていただければ幸いです。
ご不明な点などございましたら、ぜひREDS小室までご相談ください。
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