マンションの大規模修繕工事とは? 修繕積立金のほかに一時金を徴収される理由 | 仲介手数料無料のREDS

REDSエージェント、宅建士の有馬春志です。マンションの大規模修繕とは、マンションの性能を維持し、老朽化を防止するために、計画的に行われる修繕のことです。具体的には、鉄部塗装工事・外壁塗装工事・屋上防水工事・給水管工事・排水管工事などの各種の修繕工事を指しています。

今回はマンションの大規模修繕について解説します。

大規模修繕

マンションに大規模修繕が必要な2つの理由

大規模修繕が必要な理由のひとつは、建物や設備の経年劣化を防ぐためです。購入時は新築のマンションでも年数が経過すれば、しだいに汚れたり傷んだりすることは避けられません。たとえば、外壁や屋根は紫外線や風雨にさらされるため、乾燥によるひび割れやタイルのはがれなどが発生します。こうした劣化部分を定期的にメンテナンスしてマンションの機能を維持することが、大規模修繕の大きな目的です。

大規模修繕が必要なもうひとつの理由は、マンションの建物の資産価値を維持するためです。経年劣化を放置して雨漏りや設備故障によって生活に支障をきたしたり、見た目やイメージが悪くなったりして、住宅としての暮らしやすさが損なわれたマンションは、その価値も下がり、将来、売却や賃貸として貸し出すとき、価格や家賃を下げざるを得なくなってしまいます。

このようなことを防ぐためにも、大規模修繕は非常に大切な意味を持っているのです。

おおむね15年の長期修繕計画

これらの修繕工事を適切に行うためには、分譲マンションの管理組合が「長期修繕計画」を作成し、修繕積立金を積み立て、大規模修繕を実施することが不可欠です。

長期修繕計画は、一般的に10年から30年程度の期間を対象として、マンションの各箇所に関する鉄部等塗装工事・外壁塗装工事・屋上防水工事・給水管工事・排水管工事などの各種の大規模修繕をどの時期に、どの程度の費用で実施するかを予定するものです。

1999(平成11)年度の建設省(現・国土交通省)の「マンション総合調査」によると、これらの大規模修繕のうち、マンションの新築後5~6年で多く実施されているのが鉄部等塗装工事、9~10年では外壁塗装工事と屋上防水工事、15年後が給水管工事・排水管工事です。マンションの建築・設備の仕様によってこれらの時期は大きく変化します。

収支計画と一時金

長期修繕計画ではこうした大規模修繕の実施時期を定めるだけでなく、その費用についても収支計画を定めるのが望ましいとされています。

大規模修繕の費用は原則として「修繕積立金」をとり崩すことでまかなわれます。また、マンションの管理規約により駐車場収入などの剰余金が「修繕積立金」に組み入れられる場合もあります。

しかし、これらの収入だけでは大規模修繕の費用をまかなうのに十分ではないケースが非常に多いので、各大規模修繕の実施時期において、費用の不足分を各戸から一時金として徴収することも計画に組み込んでおく必要があります。

大規模修繕工事の手順

大規模修繕にあたっては、まずマンションの「建物調査」を行います。建物調査を行うのは、大規模修繕専門のコンサルタント会社や建設会社、マンションの施工会社などです。

建物調査で行うのは、建物や共用設備の劣化状態や改修・更新の必要な箇所についての現状確認です。修繕や更新が必要な箇所の特定、その最適な修繕方法の提案、提案に基づくおおよその予算(見積もり)を、報告書や提案書という形で依頼する業者に提出してもらいます。場合によっては、修繕や更新の必要な箇所の特定や修繕方法の提案のみを依頼するケースもあります。

建物調査で建物の状態を把握したら、次は大規模修繕の方針と計画をマンションの大規模修繕委員会で決定します。通常、大規模修繕計画が策定されている場合はその計画をもとに、提出された建物調査結果や提案書やおおよその見積もりを参考にして、修繕や更新の対象となる箇所の工事内容や予算を話し合っていきます。

大規模修繕の基本的な方針と計画が決定したら、正式な見積もりを依頼します。複数の会社から見積もりを提出してもらい、再度施工箇所の詳細、施工方法や施工期間、費用などを比較するのが一般的です。

提案された見積もりをもとに工事会社を決定する際は、提案された修繕内容と見積もり金額を精査して、1社ないし2社の候補を選定して、マンションの区分所有者全体の総意を決定するための管理組合総会を再度開催します。議決に必要な賛成者数は、大規模修繕の程度によって異なります。通常、共用部分の軽微な変更の場合は過半数、重大な変更の場合は4分の3以上の賛成が必要です。

大規模修繕工事の契約締結後、大規模修繕工事が実施されます。工事にかかる期間の目安は、マンションの規模によって大きく変わり、50戸程度のまでの小規模マンションで2~3カ月、それ以上の中規模マンションでは5~6カ月程度です。大規模なマンションや修繕内容が多岐にわたる場合は、全体が完了するまでの工期が1年に及ぶ場合もあります。

 

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