皆様こんにちは。
首都圏1都3県(東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県)の不動産取引について、必ず「仲介手数料が無料」または「仲介手数料が割引」になることで注目の、不動産流通システム【REDS】のマイスターエージェント【宅建士】【宅建マイスター】の堀 茂勝(ほり しげかつ)です。
今回は、首都圏の中古マンションの販売動向について取り上げて、解説してみたいと思います。
成約件数も在庫件数もロングランで右肩上がり
「公益財団法人 東日本不動産流通機構」
「月例速報マーケットウォッチ2024年3月度サマリーレポート」より
「レインズ(REINS)」を運用している「公益財団法人 東日本不動産流通機構」の「月例速報マーケットウォッチ2024年3月度サマリーレポート」のデータを読み解いてみましょう。
成約件数は10カ月連続、在庫件数は26カ月連続増
レポートによると首都圏の中古マンションは成約件数が前年比で10カ月にわたって増加しており、3月の成約件数は3810件と、前年比プラス10.7%の2ケタ増となりました。
成約件数だけでなく販売中の物件数在庫件数も、前年比でなんと26カ月、2年超ものあいだ、連続で増加し続けています。
件数について、グラフでチェック!!
件数について、推移をグラフ化したものが下記になります。
「公益財団法人 東日本不動産流通機構」
「月例速報マーケットウォッチ2024年3月度サマリーレポート」より
まず、赤色の棒グラフが成約件数。ほぼ横ばいで推移しながら、今年に入り若干右肩上がりの傾向が見て取れます。赤色の折れ線グラフが成約前年同月比ですが、2023年の6月ごろから前年同月比プラスに転じてから直近でかなり右肩上がりを維持しているのが分かります。
次に、背景に薄い紺色に塗られたグラフが在庫件数。若干右肩上がりながらほぼ横ばいで推移しています。紺色の折れ線グラフが在庫前年同月比ですが、右肩下がりながらも、まだ前年同月比でプラスを維持しています。
㎡単価も成約価格も伸びている!
同じく、前出の「3月度サマリーレポート」より、価格についても見ていきましょう。
成約㎡単価が47か月(約4年弱)連続で上回っている!
レポートによると、成約㎡単価は前年比で2020年5月から47カ月連続で上昇しており、3月は8.7%上昇しています。
一方、成約価格は前年比で2020年6月から46カ月連続で上昇しており、3月は前年同月比8.6%上昇しました。
価格について、グラフでチェック!!
価格について、推移をグラフ化したものが下記になります。
「公益財団法人 東日本不動産流通機構」
「月例速報マーケットウォッチ2024年3月度サマリーレポート」より
赤色の棒グラフが成約㎡単価で、若干右肩上がりの傾向が見て取れます。赤色の折れ線グラフが成約前年同月比で、約2年間いずれも前年度プラス、しかも若干右肩上がりに推移しているのが分かります。
薄い紺色に塗られた棒グラフが在庫㎡単価ですが、若干右肩下がりで推移しております。紺色の折れ線グラフが在庫前年同月比ですが、こちらは約2年間右肩下がりを続けており、昨年9月ごろからマイナスに入り、その後さらに下げ続けているのが分かります。
首都圏エリアごとの件数・価格の傾向をチェック!!
首都圏それぞれのエリアについて、推移を表したのが下記になります。
「公益財団法人 東日本不動産流通機構」
「月例速報マーケットウォッチ2024年3月度サマリーレポート」より
例えば東京都区部(23区内)は昨年6月以降、成約件数も成約㎡単価も、ずっと黒色(プラス)で推移していますが、周辺の埼玉・千葉・神奈川では上下している様子がうかがえます。
コロナ禍で「リモートワーク」が増加し、その後に鎮静化して以降のオフィス環境の変化などにより、住居に対する考え方が多様化するなか、同じ首都圏でもエリアごとに傾向が若干異なっている様子が見て取れます。
とはいえ、東京都区部(23区内)は、いずれも「赤の上昇矢印↑」(件数+10%以上、㎡単価+3%以上)と、やはりコアエリアは上昇の傾向が強いようですね。
都心では中古価格の上昇が顕著に! 新築の最大3倍?
5月5日の日本経済新聞朝刊に、下記の記事が掲載されておりました。
日経新聞記事
(2024年5月5日朝刊)より
こちらは、「築10年程度の中古マンションの平均希望売り出し価格が、新築分譲時の価格の約3倍になった」(東京カンテイが近く公表)と報じる記事です。
わたくしも、日ごろ都心の中古マンションにお客様をご案内する際に、事前に分譲時価格を調べることがありますが、現在の販売価格が分譲時の数倍になっている物件に意外とよく出合うので、この報道は実感があります。
本来は、「モノ」は使えば劣化しますので、使用期間が長くなればなるほど売却価格は下がってしまうのが常識的な考え方です。しかし、こと「都心の不動産」の場合については、「建物」の評価減よりも「土地・場所」の評価上昇のほうが上回ってしまうために、「長く使ったものでも高く売れる」という現象が起こってしまうのでしょう。
下記の表によると、「新御茶ノ水」駅や、「六本木一丁目」駅の周辺では、約2.5倍超にもなっているようです。
日経新聞記事
(2024年5月5日朝刊)より
でも、このエリアの「新築マンション」の購入はあまりに競争率が高くて、まるで宝くじに当たるような確率。そこで、築浅中古マンションにも人気が集まっているのが実情のようです。
この傾向は、ますます高まっていくのかもしれませんね。
【REDS】 宅建マイスター:堀 茂勝
<参考文献>
公益財団法人 東日本不動産流通機構「月例マーケットウォッチ2024」
日経新聞記事「都心の中古マンション価格、新築時の最大3倍 円安で海外勢には割安感」(2024年5月5日朝刊)
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