マンションの大規模修繕工事、費用が足りなくなったらどうする? | 仲介手数料無料のREDS

こんにちは、不動産流通システム、REDSエージェント、宅建士の小室です。今回は、マンションの大規模修繕工事について、お話しいたします。

マンション修繕工事

マンションの大規模修繕とは

マンションの大規模修繕とは、経年によって劣化し傷んだ建物や設備の性能や機能を回復させるための大規模な修繕工事を指します。普段は実施するのが難しい大がかりな建物本体を維持するための修繕や、共用部分の改修工事のことです。必要に応じて、性能や機能をグレードアップさせる改修工事も含まれます。

マンションごとに周期は異なりますが、おおよそ12年周期で行われるのが一般的とされています。

大規模修繕工事の費用

大規模修繕工事の1戸あたりの工事金額は、75万~120万円です。おおよそ100万円前後と考えるといいでしょう。

総戸数が100戸のマンションで考えると、大規模修繕にかかる費用は約1億円となり、非常に大きなお金が必要なことが分かります。最近では資材などの高騰によって、大規模修繕工事の費用も上昇しているため、この金額ではすまないかもしれません。

大規模修繕工事の費用が足りないときの4つの方法

計画している大規模修繕工事の予算が、修繕積立金をオーバーしていた場合、一般にどうすることになるのでしょうか。以下の4つの方法が考えられます。

  1. 一時金の徴収
  2. 不足額を借り入れ
  3. 修繕積立金の値上げ
  4. 大規模修繕工事の延期

一時金の徴収

一つ目は修繕積立金の不足分を「一時金」としてマンションの区分所有者から徴収する方法で、総会決議が必要となります。

金額によっては、各区分所有者に大きな負担を強いることになるため、反対多数で否決される可能性もあります。私の担当していたマンションも、販売期間中に100万円を超える一時金の総会決議がありましたが、金額が大きく否決となりました。

不足額を借り入れ

二つ目は金融機関から借り入れし、工事に必要な費用を支払う方法です。多額の費用を調達することが可能ですが、利息が発生するデメリットもあります。

また、管理組合で返済する必要がありますので、修繕積立金を値上げするなどして対応する必要があります。

修繕積立金の値上げ

三つ目は修繕積立金の値上げです。

国土交通省のガイドラインによると、専有面積あたりの修繕積立金の平均は、建物が20階未満の場合で月額252円~335円/㎡、20階以上の高層マンションでは338円/㎡です。また、マンションの規模や階数にもよりますが、おおよそ1㎡あたり200円が適正額とされています。

現状、積み上がっている現金では足りない場合、将来的な負担を最小限にするためにも、早い段階で長期的な修繕内容を見据えて、適正額の範囲内での値上げを検討するべく総会で話しあうことが望ましく、これがいちばん合理的な方法だと思います。

大規模修繕工事の延期

四つ目は大規模修繕工事の延期です。

多くの場合、大規模修繕は12年周期で行うものとして長期修繕計画が作成されますが、12年という期間は目安にすぎず、建築や設備の劣化の状況によって異なります。高耐久タイプの材料を使用することにより、修繕周期を延ばすことも可能です。

マンションで大規模修繕が必要となる周期は、周辺環境や使用されている材料によって異なるため、一律で修繕期間を決めるものではなく、周期を16~18年に設定し直すこともひとつの方法でしょう。

大規模修繕工事の5つの工事内容

大規模修繕工事の内容は主に以下の5項目です。

  1. 仮設工事
  2. 下地補修
  3. シーリング工事
  4. 塗装工事
  5. 防水工事

仮設工事

仮設工事には、直接仮設工事と共通仮設工事があります。

共通仮設工事では、事務所や作業員の休憩所、資材置き場、仮設トイレなどを設置します。仮設の施設の電気や水道、事務所内で利用するインターネット環境も整えます。

直接仮設工事では、大規模修繕工事に必要な足場の設置を行い、建物の周りに足場を建て、その周囲をメッシュシートで覆います。また、落下を防ぐ防護柵、侵入防止用フェンス、そのほか各種養生なども設置し、安全・防犯対策を講じます。

下地補修

下地補修は、コンクリートの躯体部分に発生したひび割れなどの劣化部分を補修する工事で、天井や壁、床など建物の各部位を目視や打診により調査し、調査結果に従って補修を行います。主な補修方法としては、ポリマーセメントペーストやエポキシ樹脂をひび割れ部分に充填する工法があります。

シーリング工事

シーリング工事は、サッシ周りや外壁、タイルの目地などに使用されているシーリング材を新たに打ち直す工事です。シーリングは防水性を高めて雨漏りを防ぎますが、劣化すると硬くなり、防水性や気密性が失われますので、10~15年が打ち直す時期といわれています。

塗装工事

塗装工事には、主に外壁塗装工事と鉄部塗装工事の2種類があります。

外壁塗装工事は、既存の塗膜がそのまま使用できる場合は、上から塗料を重ねます。劣化がみられる場合は、一度、塗膜をはがして塗り直します。

鉄部塗装工事は、玄関扉や階段、エレベーター扉など鉄製の部分やパーツを塗り直す工事です。さびや塗膜の剥がれのほか表面に生じた傷をサンドペーパーなどで除去し、下処理をした鉄部にさび止め、中塗り、上塗りと塗装を重ね保護力を高めます。

防水工事

建物の劣化が進行するのを抑えるためには、雨などの水分がコンクリート内部へ侵入するのを防止することが重要です。

防水工事では、屋上や外階段、バルコニーなど風雨にさらされる部分の防水処理を行います。改修方法は、不具合のある部分を補修しつつ、既存の防水層の上に新しく防水層を施工する方法と、既存の防水層を全面的に撤去して新しく防水層を施工する方法があります。

まとめ

以上、大規模修繕工事について述べてきました。大規模修繕工事の内容もマンション購入の判断材料のひとつですので、ぜひマンションを検討の際は、大規模修繕工事の実施状況も注目していただくとよろしいかと思います。

 

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