REDSエージェント、宅建士の藤ノ木裕です。今回はアスベスト調査義務化とその重要性についてお話ができればと思います。
令和4年4月1日から、建築物の解体・改修工事を行う施工業者は、大気汚染防止法に基づき当該工事における石綿含有建材の有無を事前調査し、その結果を都道府県に報告することが義務づけられました。
アスベストは、かつて建物や工業施設の建材に使用されていた繊維状の鉱物です。その耐久性と耐火性から、過去には多くの建物で使用されていました。しかし、アスベストは健康に有害であり、呼吸器系の疾患や肺がんなどを引き起こす可能性があります。
アスベスト調査はなぜ必要なのか
アスベスト調査はなぜ必要なのか、主な理由は以下のとおりです。
●健康リスクの評価について:アスベストが含まれている建材を特定し、適切な対策を講じることで、住民や作業者の健康リスクを最小限に抑えることができます。
●法的要件について:多くの国や地域でアスベスト調査が法的に義務付けられています。建物のオーナーや管理者は、法令を遵守するために調査を実施する必要があります。
●建物の改修と解体計画について:アスベストの有無を知ることで、建物の改修や解体計画を立てる際に適切な対応ができます。
世界で進むアスベスト調査義務化
アスベスト調査は、建物の安全性と住民の健康を守るために欠かせないもので、近年、多くの国でアスベスト調査の義務化が進展しています。建物の壁、天井、床、配管などの部位にアスベスト使用の有無が確認されるようになりました。
調査結果は公開され、住民や作業員に対して情報提供が行われています。建物のオーナーや管理者は、法的要件を遵守し、進んでアスベスト調査を実施するようにしましょう。
アスベスト調査の具体的な手順
アスベスト調査の具体的な手順を説明します。以下は、アスベスト調査の基本的な流れです。
1.書面調査
- 事前調査の第1段階は書面による調査です。
- 設計図書や過去の調査記録などから情報を入手し、石綿の使用の有無に関連する情報を読み取ります。
- 現地での目視調査を効率的に実施できるよう準備します。
2.現地での目視調査
- 現地で建物内を詳細に調査します。
- 各建材について判断し、石綿あり、石綿なし、不明のカテゴリに分類します。
3.試料採取
- 石綿を含んでいる可能性がある建材から試料を採取します。
- 試料は後で分析されます。
4.分析調査
- 試料を分析し、対象となる建材にアスベストが含まれているかどうかを分析します。
- 分析結果は報告書に記載されます。
5.調査報告書作成・提出
- 調査結果をまとめた報告書を作成し、発注者に提出します。
アスベスト除去での注意点
アスベスト除去工事には注意が必要です。以下にアスベスト除去での注意点を詳しく説明します。
1.専門業者に依頼する
- アスベスト除去工事は必ず専門の業者に依頼しましょう。
- 業者は適切な装備と知識を持っており、安全に作業を進めます。
2.工事現場の対策
- アスベストの繊維が飛散しないように工事現場を適切に隔離しましょう。
- 防塵マスクや保護衣を着用して作業を行います。
3.アスベストの種類を理解する
- アスベストは6つの種類に分類されます。日本では主にクリソタイル、クロシドライト、アモサイトが使用されていました。
- 種類ごとに適切な処理方法を理解しておきましょう。
4.含有の可能性のある建物を調査する
- アスベストは古い建物に含まれている可能性が高いです。
- 内装材、床材、外装材、屋根材などを調査し、アスベストの有無を確認しましょう。
5.法的要件を遵守する
- アスベスト除去工事は法的に厳格に管理されています。
- 報告書の提出や助成金の利用など、法的要件を守りましょう。
アスベスト除去にかかる費用とは
アスベスト除去の費用は、建物の規模やアスベストの含有量、工事のレベルによって異なります。以下は、アスベスト除去費用の相場と分類ごとの詳細です。
1.レベル1(発じん性が著しく高い)
発じん性とは粉じんの発生のしやすさを指しており、飛散性と同様の意味です。
- アスベスト含有吹き付け材や断熱材などが含まれます。
- 費用相場:1.5万~8万円/㎡
2.レベル2(発じん性が高い)
- アスベスト含有保温材や耐火被覆材が該当します。
- 費用相場:1万~5万円/㎡
3.レベル3(発じん性が比較的低い)
- その他のアスベスト含有建材、例えば屋根材や外壁材が含まれます。
- 費用相場:0.3万円/㎡
アスベスト除去工事には、事前調査や仮設工事、廃棄物処理などの費用も含まれます。具体的な費用は、建物の延床面積やアスベストの種類によって異なりますので、専門業者に見積もりを依頼することをおすすめします。
以上、アスベストについて記載いたしました。
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