震災で不動産が損害を受けた際に公的支援を得るのに必要な「罹災証明書」について解説 | 仲介手数料無料のREDS

REDSの宅建士・宅建マイスターの川口吉彦です。

新年元旦に襲った「能登半島地震」の甚大な被害が毎日報道で伝えられています。能登半島地震によりお亡くなりになられた方々にお悔やみ申しあげますとともに、被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また被災者の救済と被災地の復興支援のため尽力されている方々に深く敬意を表します。

被災地では相次ぐ余震と寒さの中、不安が募る状況が続いておられますが、皆様の安全と一日も早い復興を祈願してやみません。今回は、災害による不動産の損害を証明する「罹災証明書」について解説します。

罹災証明書

罹災証明書とは

災害による不動産の損害については、罹災証明書が重要な役割を果たします。罹災証明書とは、自然災害による被害に遭った家屋の被害の程度を証明する書類で、市役所に交付してもらう必要があります。具体的には、以下のような内容が含まれます。

1.罹災証明書の定義と目的 

罹災証明書は、各市区町村(以下「自治体」といいます)が、災害の被害に遭われた方(以下「罹災者」といいます)の申請によって、お住まいの家屋の被害状況の調査を行い、その被害状況に応じて「全壊」「大規模半壊」「中規模半壊」「半壊」「準半壊」「一部損壊」を認定し、これを証明するものです。

罹災者が各種支援を受けるために必要となることが多いので、罹災者はできるだけ早く申請をした方がよいでしょう。

2.罹災証明書の発行により受けられる支援 

罹災証明書を自治体に発行してもらうことで、具体的にどのような支援を受けられるのでしょうか。自治体によって異なるので、詳細は各自治体に問い合わせるのがよいですが、一般的には以下のとおりです。

・公的支援:被害のあった家屋や土地の固定資産税や国民健康保険料が、一時的に減免または猶予される可能性があります。被災者生活再建支援金や義援金の支給も受けられます。公的書類の手数料が無料になります。仮設住宅や公営住宅への入居が優先的に認められます。災害復興住宅融資が受けられます。

・民間支援:金融機関が、有利な条件で融資を行ってくれる場合があります。私立学校などの授業料減免の可能性があります。災害保険の保険金を受給することができます。

3.罹災証明書の発行手続き 

罹災証明書を発行してもらうためには、以下の手続きが必要です。

・罹災証明書の発行を自治体に申請:罹災証明書の発行申請は、各自治体にて、当該家屋の所有者または居住者が行いますが、委任状があれば第三者でも代理で申請することができます。

・自治体の調査員が現場の被害状況を認定:この調査は国が定めた調査方法によって、各自治体から委嘱を受けた調査員が行います。

・自治体が罹災証明書を発行:一般的には「全壊」「大規模半壊」「中規模半壊」「半壊」「準半壊」「一部損壊」という区分に分けられて罹災の程度が認定されます。

4.罹災証明書と類似の証明書

・罹災届出証明書:罹災証明書はすぐに発行されるわけではありません。最低でも調査から1週間、場合によっては1カ月以上かかることもあります。急を要する場合もあるでしょう。そのようなときのために、罹災届出証明書というものがあります。

・被災証明書:また、家屋だけでなく、家財などにも損失があったことを証明しなければならない場合があるかもしれません。そのような時は被災証明書というものがあるとよいです。

また、災害(震災、風水害、火災等)によって所得税が軽減免除される制度もあります。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/saigai/8004.htm

具体的には、以下の条件を満たす場合に所得税が軽減または免除されるようです。

(1)災害によって受けた住宅や家財の損害金額(保険金などにより補てんされる金額を除く)がその時価の2分の1以上であること。
(2)災害にあった年の所得金額の合計額が1,000万円以下であること。
(3)その災害による損失額について雑損控除の適用を受けないこと。

所得金額に応じて、所得税の軽減または免除の額が決まります。具体的には、所得金額が500万円以下の方は所得税の全額が免除され、所得金額が500万円を超え750万円以下の方は所得税額の2分の1が、所得金額が750万円を超え1,000万円以下の方は所得税額の4分の1が軽減されます。

この軽減免除に代えて雑損控除の適用を受けることも可能です(雑損控除とは、災害や盗難、横領などによって資産に損害を受けた場合に適用される所得控除です)。具体的には、以下の条件を満たす場合に所得税が軽減されます。

(1)災害や盗難、横領などによって、生活に通常必要な資産に損害を受けたこと。
(2)損害を受けた資産が、納税者自身または納税者と生計を一にする配偶者やその他の親族(その年の総所得金額が48万円以下)が所有していること。
(3)損害を受けた資産が、棚卸資産もしくは事業用固定資産または「生活に通常必要でない資産」のいずれにも該当しないこと。

まとめ

以上が災害による不動産と罹災証明書等についての基本的な情報です。

災害は予期せぬものですので、事前に罹災証明書について少しお調べしてご説明させていただきました。各々が理解しておくことは大切と思います。

 

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