こんにちは。仲介手数料が必ず割引・最大無料の「不動産流通システム」、REDSエージェント、宅建士の戸村麻衣子です。
2024年に入って私たち不動産エージェントを悩ませているもの。
それは「省エネ性能」です。
なぜ、「省エネ性能」が私たちを悩ませるのか? それは、住宅ローン減税に大きく関わってくる内容だから、です。
つまり、これから住宅を購入しようとするみなさまにも大きく関わってくる内容となります。今回は住宅ローン減税に関わる部分を中心に「省エネ性能」について、2回にわたってお話いたします。
日本は建築物分野での温暖化対策が急務
独NGO「ジャーマンウオッチ」が公表した各国・地域の気候変動対策を順位付けした報告書「気候変動パフォーマンスインデックス」において64カ国・地域を評価した結果、日本は58位で、5段階評価で最低のグループ(54位以下)でした。
1~3位は「該当なし」で、最高(4位)はデンマーク、最下位(67位)はサウジアラビアということでした(毎日新聞の2023年12月8日の記事より)。
上記はいちNGOのランキングではありますが、COP28で日本が4回連続「化石賞」を受賞しているのを見てもわかるように、地球温暖化対策が世界で叫ばれる中で日本は後塵を拝しています。
2050年カーボンニュートラル、2030年度温室効果ガス46%排出削減(2013年度比)の実現に向け、2021年10月、地球温暖化対策等の削減目標を強化することが決定されました。これを受けて、日本のエネルギー消費量の約3割を占める建築物分野における取り組みが急務となっています。
建築物のエネルギー消費性能の向上を図るため、建築物省エネ法(建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律)を制定・改正し、建築物のエネルギー消費性能基準への適合義務などの措置が講じられました。
住宅の省エネルギー化とは
各所での取り組みが必要とされていますが、私たちにとって最も身近である住宅(家)のエネルギー消費性能基準への適合義務(=温暖化対策)とは、「住宅の省エネルギー化」です。
「住宅の省エネルギー化」とは具体的に何を指すのでしょうか。
住宅で重要なエネルギー要素は暖冷房エネルギーです。暖冷房エネルギーを少なくすることで省エネルギーが実現できます。暖冷房エネルギーを少なくするには住宅の断熱性能を高めることが必要です。断熱性能等を高めた省エネ住宅にすることで「住宅の省エネルギー化」が実現できます。そのため、2024年から重要な要素となるのが住宅の「省エネ性能」なのです。
2024年4月に始まる「省エネ性能表示制度」とは
上記の取り組みを実行するために、「建築物省エネ法に基づく建築物の販売・賃貸時の省エネ性能表示制度」(「省エネ性能表示制度」)が2024年4月に始まります。
「建築物省エネ法に基づく建築物の販売・賃貸時の省エネ性能表示制度」(「省エネ性能表示制度」)とは、販売・賃貸事業者が建築物の省エネ性能を広告等に表示することで、消費者等が建築物を購入・賃借する際に、省エネ性能の把握や比較ができるようにする制度です。
住まいやオフィスなどの買い手・借り手の省エネ性能への関心を高めることで、省エネ性能が高い住宅・建築物の供給が促進される市場づくりを目的としています。2024年4月以降、事業者は新築建築物の販売・賃貸の広告などにおいて、省エネ性能の表示ラベルを表示することが必要となります。
省エネ性能ラベル(出典:国土交通省「住宅性能ラベル」広告用チラシより抜粋)
ただ、これは私たちが居住用に使用するすべての建築物に表示義務があるわけではなく、2024年4月以降に建築確認を受けた新築物件が対象となります。それ以前の既存建築物についても表示は推奨されますが、表示しない場合でも勧告などの対象とはなりません。
どちらにしてもこの「省エネ性能ラベル」で規定以上(規定については次回説明いたします)の表示がされていれば、安心して購入できる「目安」となることは間違いなさそうです。
住宅ローン減税を受けるにも「省エネ性能」が必須に
住宅ローン減税を受けるにも、2024年1月以降に建築確認を受けた新築住宅の場合は「省エネ性能」が必要となります。
「建築確認」とは、建築物を建てる際に「法令に沿った、こういう建築を建てますよ」と申請し、それが検査機関で確認されることをいいます。つまり、2024年1月以前に「建築確認」を受けている場合、「省エネ性能」は不要です。つまり住宅ローン減税を受けるのに、中古住宅に「省エネ性能」は不要、となります(2024年1月現在)。
一方、新築住宅は戸建てに限れば、建築確認がおりればすぐに着工されるものがほとんどですので、2024年半ば以降は、ほぼすべての新築住宅(戸建て)が「省エネ性能」必須の物件になると思われます。
ここで一点、注意が必要です。住宅ローン減税の場合、2024年1月以降に建築確認を受けたものが対象ですが、先に説明した「省エネ性能表示制度」では2024年4月以降の建築確認を受けたものが対象です。その点をご注意ください。
まとめ
大きな目安としては2024年に居住用物件を購入する場合、
・(2023年12月31日までに建築確認を受けた)既存住宅(中古住宅)は「省エネ性能」がなくても住宅ローン減税を受けられる
・2024年1月以降に建築確認を受けたもの(新築住宅)は「省エネ性能」がないと住宅ローン減税を受けられない
という、以上の2点が言えます。ただ、受けられる減税額は違いますのでご注意ください。
~令和6年度税制改正における住宅関係税制のご案内~
(別紙1)令和6年度住宅税制改正概要
新築住宅(主に戸建て)をご検討されている方は、「省エネ性能」にも注目して、物件選びをしてみてください。次回は、住宅ローン減税を受けられる「省エネ性能」とは何か、またそれを示すもの(申請に必要な証明書)は何かをご説明いたします。
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