REDSエージェント、宅建士の菊池弘之です。今回は不動産(マンション・戸建て・土地)売却におけるポイントをご紹介します。この記事をご覧いただき、少しでもいい条件での売却につながればと願います。
根拠を持った価格査定をする不動産会社を選ぶ
いわゆる「不動産価格一括査定サイト」を利用する人がいます。登録して個人情報を入力することで複数の不動産会社が無料で査定をしてくれるというサイトで、「すまいValue」や「イエウール」などいくつも運営されています。こうした不動産価格一括査定サイトは、私はおすすめしません。
一括査定サイトでは、いちばん高い査定価格をつけた会社をほとんどの人が選んでしまいます。このため、お客様の気を引きたいがあまり、査定価格を不自然に高いレベルで提示する不動産会社が後を絶たないからです。
現在では、市場に出回る物件の99%が不動産ポータルサイトに掲載されており、購入を希望するお客様も不自然に高い査定価格にだまされることはほとんどありません。
査定価格はあくまで不動産会社が「売れると予想する価格」であり、不動産会社が「売れることを保証する価格」でも「売れない場合に買い取る価格」でもありません。高い査定価格を理由に不動産会社を選んでも、実際には、売れなくて売却期間が長くなり、値下げを繰り返すということになりかねないのです。
そうすると無駄に管理費や固定資産税の支払いもあり、販売期間の長期化による住宅ローンの支払いもあります(もちろん銀行の金利も含まれています)。
売却価格を変更するタイミングとしては、お客様の販売スケジュールにもよりますが、「内見が全く入らないか、入っても土日に1、2回程度」になったときでしょう。こうなったときに売却価格の変更を検討しましょう。勢いのある物件、売出価格が適正だと、土日で合計3回以上の内見がコンスタントに入るものです。こうなると、成約も近いといえます。
信頼できる会社に「専任媒介契約」で売却依頼するのがおすすめ
媒介契約には一般媒介契約、専任媒介契約、専属専任媒介契約の3種類があります。専任媒介契約と専属専任媒介契約は、依頼できる不動産会社は1社のみという意味ではほとんど同じです。売却する不動産に適した媒介形態を選ばないと、売却までの時間が長くかかったり、価格の値下げを余儀なくされたりした場合に後悔することになります。
売主から見ると、不動産会社1社に売却を依頼する専任媒介契約や専属専任媒介契約よりも、たくさんの不動産会社に依頼できる一般媒介契約のほうが、売却のチャンスが増えるように感じるでしょう。不動産会社どうしに競争原理が働いて、より懸命に買い手を探してくれそうだと思うかもしれません。
しかし不動産会社にとっては、一般媒介契約だと販売活動が消極的になることがあります。不動産会社がせっかく努力し、売主にも助言をし、販売経費を使って販売活動をしても、他の不動産会社が契約を決めてしまえば、一銭の利益にもならないからです。
このため、ほとんどの不動産会社では、サービスや広告費をかけるのは専任媒介契約の物件に限定されています。一方で、専任もしくは専属専任契約は、買主さえ見つかれば必ず仲介手数料を不動産会社は売主からもらえますので優先度は高くなります。
不動産会社の担当者の知識は十分か
大手の不動産会社であっても、実際には特定の担当者と付き合うことになり、担当者の能力や意欲にも左右されることになります。
売却物件や不動産市況について細かい知識が十分にあるか、人ごとではなく自分ごととして売主様のことを考えてくれているか、買主様から質問があった時にしっかり対応してもらえそうか、打ち合わせの際に細かいところまで質問してみるといいでしょう。また「宅地建物取引士」の資格を持っているかも、その判断材料になるでしょう。
室内が汚れている場合はハウスクリーニング
築年数にかかわらず、売却物件は印象を高めたほうが有利になります。そこまでピカピカにする必要はありませんが、内見客を迎える前には掃き掃除や拭き掃除をしておきましょう。
ご自身で行うのが難しい場合はハウスクリーニング業者を入れることもおすすめです。内覧の際に印象が左右されるのは、玄関と水廻りのトイレ、キッチン、お風呂、洗面台、リビングの窓です。
準備しておくといい書類
事前に以下の書類を用意していただくことで、担当者としては紹介しやすくなります。
マンション
●直近の管理組合の総会議事録
●長期修繕計画書
●マンション購入時のパンフレット
上記は基本的には不動産会社が管理会社などに請求できない書類になりますので、もしお持ちであれば事前に準備していただけると売り出しの際もスムーズです。
戸建て・土地
●購入時の測量図、間取図
●私道が含まれる物件の場合は、私道の通行掘削に関する覚書
土地・戸建てを売却する際の注意点
マンションと違い、土地・戸建てについては個別性が高いので、より慎重に調査をする必要があります。具体的には以下の項目などがあります。
●私道の持分があるのか。私道承諾の覚書が必要か。
●隣地との境界で越境はないか(あった場合は将来是正の覚書の取り交わしなどを行います)。
●地中埋設物が出てきた後の対応はどうするか。
●用途地域について、しっかりした説明ができるか。
●土砂災害特別警戒区域に存する物件の場合、そのエリアはどこまでかしっかり調べられるか。
まとめ
担当者のスキルを測る方法としては、訪問査定で担当者と会った際に、「物件のリスク」を聞くのがいいでしょう。物件のリスクについてしっかり把握し、契約・引渡し後に何かあった場合でもしっかり対処できることがスキルだと思います。
大事な不動産の売却を行うにあたり、今回ご紹介させていただいた点などを参考にしていただけますと嬉しく思います。
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