アスベスト(石綿)含有建材・レベル3について解説 | 仲介手数料無料のREDS

皆様こんにちは、【REDS】不動産流通システム、一級建築施工管理技士補、建築物アスベスト含有建材調査者の木須陽子です。前回のブログではLEVEL2のアスベストのお話をさせていただきました。今回はアスベスト(レベル3)についてお話ししたいと思います。

解体工事

おさらい・アスベストのレベルの違いとは?

アスベストを使用している製品には、アスベスト吹付け材(レベル1)、アスベスト含有建材(レベル2)、アスベスト含有建材(レベル3)の3種類があります。

アスベスト吹付け材(レベル1)とアスベスト含有建材(レベル2)は、飛散性の製品です。一方、アスベスト含有建材(レベル3)は、非飛散性の製品です。

アスベストのレベルの違いとは、飛散の危険性に合わせた作業レベルのことで、アスベストを含む住宅を解体する際、アスベストが飛散すると作業員や近隣住民の健康に影響が出る恐れがあります。この健康被害を防ぐために、アスベストのレベルが定められているのです。

レベル3のアスベスト

アスベスト含有建材(レベル3)は、セメント、けい酸質原料などを主原料とし、成形した建材(アスベスト成形板)です。耐火性、耐久性などに優れており、内装材、外装材、屋根材などとして、広く使用されています。

アスベスト成形板は非飛散性の建材であるため、通常の使用状態では、アスベストが飛散する可能性は極めて低いといえます。しかし、建築物の増改築や解体時には、成形板の破断や粉砕などにより、アスベストが飛散する可能性があるため、慎重な取り扱いが必要になります。

スレート波板、住宅屋根用化粧スレート

波型スレートとは、その名のとおり波型の形状をしたスレート屋根です。戸建住宅のスレート屋根(平板スレート)と同じセメントでできており、主に鉄骨造の建物で用いられ、工場や倉庫の屋根材や外壁材としても使用されています。

戸建て住宅の場合、一般に母屋の上に垂木(たるき)、その上に野地板(のじいた)があり、野地板の上にルーフィング、屋根仕上げ材と続きます。一方、母屋に直接張り付ける波型スレートの屋根は野地板もルーフィングもありません。戸建て住宅のほうが屋根の構造は複雑で、実は工場や倉庫の屋根は思っている以上にとてもシンプルな構造です。

アスベストが含まれている波型スレートの耐用年数は30~40年程度です。高度経済成長期に建築された工場や倉庫の屋根は、そのほとんどが波型スレートです。波型スレートにアスベストが含まれているかどうかは、建物の築年数から判断できます。

1931~2004年に製造された波型スレートにはアスベストが含まれています。屋根の強度を高める補強材として、2004年以前はアスベストが用いられていました。現在はアスベストに代わり、繊維を用いてセメントを強化させています。その頃に建築された波型スレートの建物はとても多く、現在、改修が迫られています。

スレート波板

▲スレート波板

住宅屋根用化粧スレート

▲住宅屋根用化粧スレート

押出成形セメント板

押出成形セメント板とは、セメント、けい酸質原料、および繊維質原料を主原料とし、中空を有する板状に押出成形した製品です。軽量で施工性もよく、耐久性、耐火性に優れており、鉄骨造の外壁、間仕切り壁などに使用されています。アスベスト含有の押出成形セメント板は、2004年に製造終了しました。

押出成形セメント板

▲押出成形セメント板

けい酸カルシウム板第1種(軒天)

けい酸カルシウム板第1種とは、けい酸質原料、石灰質原料、補強繊維を主原料とし、成形した製品で、ケイカル板の略称で呼ばれます。軽量で加工性、断熱性に優れており、一般的な建築物の天井、壁、軒天井、耐火間仕切り壁などに使用されています。アスベスト含有のけい酸カルシウム板第1種は、2004年に製造終了しました。

窯業系サイディング(外壁)

窯業系(ようぎょうけい)サイディングとは、セメント質原料、繊維質原料を主原料とし、板状に成形した製品です。防火性、耐火性、耐震性、耐久性に優れており、住宅などの外壁に使用されています。アスベスト含有の窯業系サイディングは、2004年に製造終了しました。

けい酸カルシウム板第1種(軒天)と窯業系サイディング(外壁)

▲けい酸カルシウム板第1種(軒天)と窯業系サイディング(外壁)

ロックウール吸音天井板

ロックウール吸音天井板とは、ロックウールを主原料とし、結合材、混和材を用いて成形した製品です。岩綿吸音板と記載されていることもあります。吸音性、断熱性に優れた不燃材であり、一般的な建築物の天井、軒天井に使用されています。アスベスト含有のロックウール吸音天井板は、1987年に製造終了しました。

ロックウール吸音天井板

▲ロックウール吸音天井板

ビニル床タイル

ビニル床タイルとは、塩化ビニル樹脂を主原料にして、充填材などを配合して成形した正方形の製品で、Pタイルの通称で呼ばれることもあります。耐水性、耐摩耗性、耐久性に優れており、事務室、商業施設、公共施設などの床に使用されています。住宅では、台所や洗面所の床に使用されています。アスベスト含有のビニル床タイルは、1987年に製造終了しました。

ビニル床タイル

▲ビニル床タイル

化粧せっこうボード

せっこうボードとは、せっこうを芯として両面および側面をボード用原紙で被覆し、板状に成形した製品で、せっこうボードの表面を化粧加工したものが化粧せっこうボードです。防火・耐火性、断熱性、遮音性、寸法安定性を持ち、一般的な建築物の天井、壁に使用されています。アスベスト含有のせっこうボードは、1986年(昭和61年)に製造終了しました。

▲化粧せっこうボード

まとめ

レベル3は外装材や内装材など身近なものにも含まれていることが多いのですが、リフォーム工事の際に注意したいのは、アスベストの規制は段階的に行われており、アスベスト含有なしの記載があっても年代によっては含まれている可能性があるということです。次回は年代別における含有率のお話をしたいと思います。

 

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