REDSエージェント、宅建士の成田です。不動産用語で「道路付け」という言葉があります。道路付けとは、敷地のどの方角に道路が接しているかを表すもので「接道条件」とも呼ばれます。道路付けは、建物の日当たりやプライバシー、外観デザインなどに影響する重要な要素です。
建築基準法では敷地が幅員4m以上の公道に2m以上接していなければ、建物を建てることはできません。これを「接道義務」といいます。接道義務がなぜあるかというと、たとえば火事が起きた際、消防車や救急車が自由に往来することができないと、消火活動や救助活動が遅れてしまうからです。ここでは、接道義務のほか、敷地と道路の関連性について詳しく解説します。
公道と私道の違い
道路は大きく分けると、公道と私道の2種類あります。公道とは国や地方公共団体(都道府県や市町村など)が指定・建設・管理する道路のこと。これに対して私道とは、個人または団体(企業など)が所有している土地を道路として使用している道のことを指します。それぞれ解説します。
●公道(公共道路)
・公道は一般の人々や車両が自由に通行できる道路や街路
・一般に自治体や政府が管理し、舗装、清掃、交通規制などの運営に責任を持っている
・一般的に地図やナビゲーションアプリに表示され、住所の一部として使用される
・不動産や住宅が公道に面している場合、通行に制約はほとんどない
●私道(私有道路)
・一般の公衆が自由に通行できない、特定の不動産所有者またはグループによって所有・管理される
・一般的に不動産所有者や住民によって使用され、舗装、清掃、維持管理などの責任は通常所有者や住民にある
・地図やナビゲーションアプリに表示されないことが多いため、場所を見つけるのが難しいことがある
・不動産が私道に面している場合、私道の使用や維持に関する契約や共同体規則が存在することがある
・私道に面している不動産を購入する際には、私道の状態や使用条件を確認することが非常に重要
私道の維持にかかる費用やルール、私道を共有する他の不動産所有者との関係について十分に了解することが、将来のトラブルを避けるために必要です。また、不動産の価値や利便性も、私道の状態やアクセスに影響を受けることがあるため、とても注意が必要です。
一見すると公道に見える道路でも法的には私道であったり、隣家の敷地の一部であったり複数の所有者がいたりするので、道路に関しては確実な情報を得るようにしましょう。接道しているのが私道であっても、家を建てられる場合があります。
前面道路の幅員が4m未満の場合は、その道路の中心線より2m後退したところを道路境界線とみなすことで、建築が可能となります。これを「セットバック(道路後退)」といい、その道路沿いに並ぶ家々が建て替えを行う際、道路の中心からそれぞれ2mずつ敷地を後退させていけば、最終的に幅員4mの道路ができるようになります(道路向かいが川や崖などの場合は条件が変わります)。
私道にまつわるトラブル例
道路は数名で保有しているのか、埋設管は誰が管理しているのかなど、しっかりとした調査が必要です。私道の持主から「掘削承諾書」「通行承諾書」を取得しておかないと後で揉める原因にもなり、私道持分のない中古戸建ての購入検討で住宅ローンを組む場合も銀行から求められることが多いのも現状です。
この承諾書は永久に継承できるようしておくようにしたほうがいいでしょう。道路の持主の相続が発生して世代が変わってもこの承諾書が通用するようにしておくことが大事になります。
以前、2m接道している道路が私道の中古戸建てのお客様がいました。売却を考えて初めて道路が私道ということを知ったそうです。購入時にもきちんとした説明を受けていなかったとか。私道で持分なし。お隣の家が兄弟で私道を所有しており、その兄弟が離れていたので、承諾書の取得にかなりの時間を要しました。
全く持分がないので、次に買う方の住宅ローンが組めない可能性が高く、資産価値が落ちてしまいかねません。それほどこの「掘削承諾書」「通行承諾書」はとても重要だということになります。簡単に署名押印してくれればいいのですが、なかなか簡単に判を押してくれる所有者は少ないのが現状です。数名いて、所有者がどこにいるのかわからない、相続が発生していて相続登記もしておらず所有者不明、なんていうことも本当にあったりするのです。
それこそ、いらない金銭を求められるなど悪質化する場合もあります。ニュースでも取り上げられたことがあるように、道路にさまざまな私物を置いて、道を通らせないように嫌がらせをされるといったこともありました。
できれば経験したくない苦労をしないよう、中古戸建てを購入検討される際は、建物の古さなどよりも必ず道路付けをしっかりと調べましょう。
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