REDSリフォーム、一級建築施工管理技士補の松本です。
今回は住宅に使用している木材や、加工方法などについてお話しします。
針葉樹と広葉樹が適材適所に
住宅に使用している木の種類は、針葉樹と広葉樹の大きく2種類に分けられます。針葉樹には、ヒノキ・スギ・マツ・ヒバなどがあり、広葉樹には、ケヤキ・クリ・ブナ・タモなどがあります。それぞれの木材には、硬さや耐水性で特徴があります。
住宅の柱、土台、梁などの構造材に使われる木材は、強度・耐久性・耐水性・耐蟻性などにすぐれたものが選ばれます。柱には、ヒノキ・スギ・ベイツガなどが最適です。土台には、ヒノキ・ヒバ・ベイヒバなどが最適です。梁には、集成材という強度が高い木材が使われることが多いです。
住宅に使用される主な木材を個別に解説
それぞれの木材の特徴と価格について、以下のようにまとめました。
ヒノキ
香りが良く、耐久性・耐水性・耐蟻性に優れています。色は淡黄色で、美しい木目が魅力的です。柱や土台などに使われます。価格はスギより高く、1㎥あたり約10万円です。
スギ
スギは強度が高く、加工しやすいのが特徴です。色は赤みがかっており、木目は粗く、柱や梁などに使われます。価格はヒノキより安く、1㎥あたり約5万円です。
ベイツガ
ベイツガは強度が高く、耐久性・耐水性・耐蟻性に優れています。色は淡黄色で、木目は細かく、柱や梁などに使われます。価格はヒノキと同じくらいで、1㎥あたり約10万円です。
ヒバ
ヒバは香りが良く、抗菌・防虫効果があります。色は赤みがかっており、美しい木目です。土台や柱などに使われます。価格はヒノキより高く、1㎥あたり約15万円です。
ベイヒバ
ベイヒバはヒバと同じく香りが良く、抗菌・防虫効果があります。色は淡黄色で、木目は細かいです。土台や柱などに使われます。価格はヒバより安く、1㎥あたり約10万円です。
集成材
集成材とは、小さな木材を接着して作られた木材で、強度が高く、反りや割れが少ないのが特徴です。色や木目は接着された木材によって異なります。梁や桁などに使われます。価格は使用される木材によって異なりますが、1㎥あたり約5万~20万円です。
木材の価格については、2021年から2022年にかけて、世界的な需要の増加や輸送コストの高騰などの影響で、大きく上昇する傾向にありました。アメリカや中国からの需要が特に高く、木材の輸入価格(合板)は2021年12月に前年同月比で68%上昇。木材・木製品の国内価格も、2022年3月に前年同月比で59%上昇しているのが現状です。
住宅に使用される木材の加工方法
住宅に使用される木材の加工方法には、木材切削、木材乾燥、木材接着、木材表面装飾などがあります。それぞれの方法について簡単に説明します。
木材切削
木材切削とは、丸太を製材するときや、木材を加工するときに使われる方法です。丸太を横に切って板状にしたり、板を直線や曲線に切ったり、斜めやコの字に切ったり、窓抜きや面取りなどの加工をしたりします。切削するときには、ノコギリやジグソーなどの工具を使います。
木材乾燥
木材の水分を減らして品質を向上させる方法です。木材は水分が多いと反りや割れが起こりやすくなります。木材干燥には、自然乾燥と人工乾燥があります。自然乾燥は、屋外や屋内で風通しのいい場所に置いて自然に水分を蒸発させる方法です。人工乾燥は、乾燥室や電気オーブンなどで温度や湿度を調節して水分を蒸発させる方法です。
木材接着
小さな木材を接着剤で貼り合わせて大きな木材にする方法です。集成材や合板などがこの方法で作られます。木材接着によって、強度や反り・割れの防止、形状やサイズの自由度などが向上します。
木材表面装飾
木材の表面に色や模様を付けたり、塗料やワックスなどで保護したりする方法です。木材表面装飾によって、見た目や耐久性・耐水性・耐汚染性などが向上します。
大工が行う木材加工
上記は、製材会社が工場などで加工していますが、住宅の木材加工については、大工が自ら行うことがあります。主に以下のようなことです。
木材の選定
住宅の用途や設計に合わせて、木材の種類やサイズ、品質、強度などを選びます。例えば、スギやヒノキなどの針葉樹、クリやサクラなどの広葉樹といった木材の種別、天然木や集成材、合板などの加工品からの選定を行います。
木材の切削
木材を必要な長さや角度に切ります。切削するときには、木目や節などの特徴を考慮し、ノコギリやジグソーなどの工具を使います。
木材の組み立て
切った木材を組み合わせて、住宅の骨組みを作ります。組み立てるときには、水平や垂直などの寸法や角度を測り、釘やボルトなどの金物や、接着剤やネジなどの接合材を使います。
木材の仕上げ
組み立てた木材に色や模様を付けたり、ワックスなどで保護したりします。仕上げるときには、木目や節などの特徴を生かし、ペンキやスプレーなどの塗装用具や、サンドペーパーやブラシなどの研磨用具を使います。
まとめ
以上が大まかな流れですが、実際には住宅の種類や工法によって異なります。
例えば、プレカット工法では、木材は工場であらかじめ機械で加工されており、現場ではほぼ組み立てるだけです。一方、手刻み工法では、現場で大工が一から木材を加工して組み立てます。プレカット工法は効率的で安価ですが、手刻み工法は伝統的でオリジナルです。
大工の木組手刻み工法は、大工が木材に墨付けをして大工道具(ノコギリ・カンナ・ノミなど)を使って加工していく工法で、神社仏閣の建築や補修を行う宮大工の間で受け継がれてきた伝統工法、曲がり梁や渡り顎などの特殊な仕口を作ることができます。
以上、住宅に使用する木材から価格、加工と簡単に説明させていただきました。
コメント