都心では高値傾向の不動産相場。経済の先行き不透明の中、今後、業界はどうなるのか | 仲介手数料無料のREDS

REDSエージェント、宅建士・宅建マイスターの川口です。昨今下がる、下がると言われ続けている不動産相場ですが、特に都心部の23区などでは上昇傾向か、現状維持となっていて高騰ベースが続いています。

不動産業界は、日本の経済において重要な役割を果たしているのは言うまでもありません。2021年における市場規模は、不動産業・物品賃貸業全体でみると49兆円を超え、三井不動産や三菱地所、飯田グループホールディングスといった大企業がトップシェアを争っています。また、既存の不動産を取り扱う管理業や賃貸業などは、安定的に成長を続けています。

しかし、少子高齢化や人口減少などの国内問題、新型コロナウイルス感染症の流行などがあり、今後の成長には不透明感がつきまとう中、今後の不動産業界はどうなるのか、過去を振り返りながら考えてみましょう。

不動産相場

過去30年間で2度の危機

不動産業界は、過去30年の間に2度の大きな危機を経験しています。皆様もご承知のとおり(私も2度経験しております)それは、1990年の平成バブル崩壊と2008年のリーマンショックです。

平成バブル崩壊は、1990年代初頭に日本で起こった経済危機のことを指します。この危機は、1980年代後半に日本で起こったバブル景気の崩壊によって引き起こされました。バブル景気とは、株式や不動産を中心にした資産の過度な高騰と経済拡大の期間を指します。

内閣府の景気基準日付では、1991年3月から1993年10月までが景気後退期とされています。この期間は、第1次平成不況や複合不況とも呼ばれます。

バブル崩壊という現象は、単に景気循環における景気後退という面だけでなく、急激な信用収縮、土地や株の高値を維持してきた投機意欲の急激な減退、そして政策の錯誤が絡んでおり、1980年代後半には地価は異常な伸びを見せました。公示価格では北海道、東北、四国、九州など、1993年ごろまで地価が高騰していた地方都市もありました。しかし平成バブル崩壊より引き起こされたことで日本は最大の経済危機となり、この危機は不動産業界に深刻な影響を与えました。

バブル崩壊は、なぜ起きたか

特に当時の大蔵省から金融機関に対して行われた行政指導に「総量規制」というものがありました。この政策は、行き過ぎた不動産価格の高騰を沈静化させることを目的として、行政が個人でも法人に対しても、不動産契約を行う前に売主と買主とで価格の同意があったとしても行政は価格の調整を行いました。

これにより不動産売買の売主買主の思惑が外れ、売買契約が不履行になるケースが全国で多々見受けられました。このため予想をはるかに超えた急激な景気後退の打撃を日本経済にもたらし、いわゆるバブル崩壊の一因とされるほどの影響をもたらしました。この政策は、結果的に失敗に終わりました。

また都心部の不動産相場の下落は目に余るものがあり「土地神話」をも崩壊させました。土地神話とは、バブル崩壊前までは土地が永遠に価値を持ち続けるという考え方のことを指します。この考え方は、日本の不動産市場において長年にわたって支配的でしたが、このバブル崩壊により、その神話は崩れ去りました。

土地神話は、土地が不変の価値を持つという信念に基づいており、土地を購入することが安定した投資であるとされていました。しかし、実際には土地価格は変動するものであり、その価値は時代や経済状況によって変化します。現在では、土地神話は過去のものとされ、不動産投資においては慎重な判断が求められるようになっています。

リーマンショックの日本への影響

ビジネス

次にリーマンショックは、2008年9月15日に米国の大手投資銀行であるリーマン・ブラザーズが経営破綻したことが引き金となり、世界金融危機および世界同時不況が発生した事象です。この危機は、住宅市場の悪化によるサブプライム住宅ローン危機がきっかけとなりました。

リーマン・ブラザーズは、1990年代以降の住宅バブルの波に乗ってサブプライムローンの積極的証券化を推し進めた結果、アメリカ五大投資銀行グループの第4位にまで上り詰めました。しかし、サブプライム住宅ローン危機による損失拡大により、2008年9月15日に経営破綻しました。この破綻劇は負債総額約6,000億ドル(約64兆円)という米国史上最大の企業倒産であり、世界連鎖的な信用収縮による金融危機を招くことに繋がりました。

日本でも、日経平均株価が大暴落を起こし、同年9月12日(金曜日)の終値は1万2,214円だったのが、10月28日には一時は6,000円台(6,994.90円)まで下落し、1982(昭和57年)年10月以来、26年ぶりの安値を記録しました。その結果、派遣切りや雇い止めが発生し、年末年始に年越し派遣村ができたほどです。

また法人に対しても金融機関から借入金の即時返済を求められ、いわゆる貸し剥がしも中小企業の倒産件数に拍車をかけたことは言うまでもありません。

不動産は底堅さと弱さが共存

一方で、現在は冒頭に申し上げましたように不動産市場の底堅さという点においては、特に都心部23区では上昇傾向か高値現状維持もうかがえます。しかし、都心賃貸の空室率は顕著に上昇傾向にあり、家賃の大幅値下げも見受けられます。

このように現在の日本の不動産市場は底堅さと弱さが入り交じるような姿をみせています。今後も変化し続けることが予想され、なお一層の注意が必要と思われます。

 

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