こんにちは。株式会社不動産流通システムREDSエージェント、宅建士の佐藤と申します。不動産仲介の営業に携わり、30年以上になります。今回は、土地や一戸建ての売買で、土地についての「仮測量図」についてご説明します。
売主様が、土地や一戸建ての売却を検討されるときに、相談する仲介業者から仮測量を勧められる場合があります。「測量は売却が決まってからでいいのではないか」と思われるかもしれませんが、不動産の実際の面積(有効宅地面積)が分からない、あるいは境界標があるのか分からないと、買主様が購入の決心ができず、なかなか売れないという事態に陥りますので、仲介業者とよくお打ち合わせの上、仮測量をされることをおすすめします。
仮測量とは
仮測量は隣接土地所有者と境界の確認を行なわないで、現状の境界標や境界線と推測される工作物(ブロック塀や建物角など)を基に、土地家屋調査士や測量士が測量することです。道路や水路の管理者(自治体)や隣地所有者との立ち会いは行わないため、仮測量では境界確認書は交わしません。従って、境界線については未確定の状態です。この点は、土地境界確定測量と異なります。
土地・戸建て(特に古いもの)の売買は、実際の面積が重要ですので、登記簿の面積は登記された年が古いと当時の測量精度が低く、実際の面積とは大きく異なることがあります。土地・戸建ての売り出しにあたっては、まずは仮測量を行い、およその面積や状況を把握することが大切であり、売主様にとって後悔しない土地売却のためにも仮測量は必要と言えます。
すべての土地・戸建について仮測量が必要というわけではありませんが、仮測量をおすすめするケース、仮測量の中身などを説明します。
仮測量が有意義な理由
仮測量をすると、売り出しにあたり、また売買契約をする前に現地の情報を把握できて、契約をスムーズに進めることができます。
売買価格の想定ができる実際の面積が分かると購入希望の方は決断が早くでき、間口や奥行寸法が分かると建築設計プランを作成できます。
このほか、越境の有無(可能性)が分かれば、事前購入希望の方に説明できるのでトラブルを回避することができ、対処方法も検討できます(覚書取得)。
そもそも、再建築が可能か確認できる(敷延の間口・奥行、位置指定道路や2項道路が届いているか、敷地と道路の間に水路や他人地が存在しないかなど)ことも理由に挙げられます。
仮測量をおすすめするケース
仮測量をおすすめするのは以下の9つのケースです。
1.境界標が見つからない
2.測量図がない
3.測量図があっても古い
4.土地の面積が広い
5.土地の価格が高い
6.敷地延長の土地で、間口、奥行が分からない:間口が2メートル未満や2メートル以上でも奥行が長いと、再建築が難しい場合があります
7.道路(水路)の幅員がはっきりしない:4メートル以上あるのに、お隣は後退している場合など
8.道路幅員が4メートル未満の場合:セットバックの面積=有効宅地面積が分からない
9.道路の突き当たりの土地の場合:建築基準法上の道路に接道しているかの確認、再建築が難しい場合もあります。
※隣地所有者立ち会いによる「確定測量図」、または隣地所有者立ち会いによる「測量図」がある場合は、仮測量をしなくても問題ない場合もありますので、不動産仲介業者にご相談ください。
仮測量の中身
一般的に、仮測量では次の項目について、土地家屋調査士、測量士が確認、計測します。
・境界標の有無の確認
・間口奥行寸法
・現況面積の算出
・セットバックの面積と有効宅地面積の算出
・越境の有無(可能性)の確認
・敷地内高低差
・道路(水路)幅員・官民境界の想定ライン
・位置指定道路・42条2項道路の接道状況(接道しているか)の確認
・用途境と用途ごとの面積
・仮測量図の作成
お持ちなら提供していただきたい資料(古くても問題ありません)
○測量図(名称、種類を問わず)
○境界確認書(名称を問わず)
※覚書(越境に関するもの)
まとめ
ここまで「仮測量図」という名称で説明してきましたが、そもそも仮測量図の名称が定まっていません。
例:仮図、仮測量図、現況測量図、現況平面図、現況実測図
すべての隣地所有者等の立ち会いにより、隣地所有者から承認されて初めて境界・面積の確定した「確定測量図」になります。
仮測量は隣接地所有者と境界の確認は行いませんので、仮測量図で示された境界の位置は、隣接地所有者が認識している境界とは異なる場合があります。あくまで、仮の図面のため、正式な図面ではありません。売買契約を結ぶことになったら、売買契約書に測量に関して、買主様との取決めを盛り込むことになります。
土地、一戸建てのご売却をご検討の際には、まずは弊社【REDS】のエージェントにご相談ください。安心・安全なご売却をサポートいたします。
株式会社不動産流通システム 佐藤亮介
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