皆様こんにちは、【REDS】不動産流通システム、一休建築施工管理技士補の木須陽子です。先日、一般建築物アスベスト含有建材調査者の試験に合格し、資格を取得しました!
リフォームや解体工事の需要が増える一方、アスベスト問題が深刻さを増しています。法改正により2023年10月以降、解体・改修工事の際には専門の有資格者による調査報告が義務化されます。アスベスト事前調査を行うには、アスベストに関する知識と、建築物の調査に精通した専門家に依頼しなければならなくなりました。
今回、改めてアスベストに関して、とりわけ危険度の高いものについて話をしようと思います。
建築物アスベスト含有建材調査者の資格を取りました!
建築物アスベスト含有建材調査者の講習は、厚生労働省・国土交通省・環境省告示第1号に基づき、精度の高い石綿調査を行い、その調査結果を飛散防止のために有効活用することを目的として、石綿の関連疾患とリスク、建築物の構造・建材等に関する知識を学びます。
先日、11時間に及ぶ講習を受け、最後のテストに合格し、建築物アスベスト含有建材調査者として無事資格が付与されました。
アスベストの危険レベル
前回のブログで石綿の事前調査結果の報告が義務化にあたり、人体に及ぼす影響のお話をさせていただきました。今回はどんなものにアスベストが含まれ、危険レベルがどのように分類されているのか解説します。
日本では70~90年代にかけてアスベストが大量に輸入されていました。輸入されたアスベストの9割以上が建築分野で使用されており、当時建てられた建物にはアスベストが含まれている可能性があります。
そのため建設業労働災害防止協会による石綿含有建材別作業レベル区分しました。アスベストを使用している製品には、アスベスト吹付け材(レベル1)、アスベスト含有建材(レベル2)、アスベスト含有建材(レベル3)の3種類があります。
アスベスト吹付け材(レベル1)とアスベスト含有建材(レベル2)は、飛散性の製品です。アスベスト含有建材(レベル3)は、非飛散性の製品です
レベルは、アスベストはレベル1が最も危険なレベルとなります。レベルの違いとは、飛散の危険性に合わせた作業レベルのことで、アスベストを含む住宅を解体する際、アスベストが飛散すると作業員や近隣住民の健康に影響が出る恐れがあります。この健康被害を防ぐために、アスベストのレベルが定められているのです。
レベル1のアスベスト
今回はレベル1のアスベストについて解説します。レベル1はどこにあるのでしょうか。
吹付けアスベスト(クリソタイル)
アスベストとセメント系の結合材に水を加えて混合し、吹付け機を用いて吹付け施工したものです。昭和30~50年にかけて耐火被覆用、防音・断熱用として、主に耐火建築物や準耐火建築物に使用されていました。
昭和51年以後はアスベストの含有量が低いものを使用するようになっていますが、製品により含有量や混合されていた期間は異なります。製品として多く使用されているとともに、有害性が高いとされています。外見上は白みのある繊維状の塊で、針などで容易に貫入します。
吹付けアスベスト(クロシドライト)
外見上は青みのある繊維状の塊で、針などで容易に貫入します。
吹付けアスベスト(アモサイト)
外見上は茶色がかった繊維状の塊で、針などで容易に貫入します。
吹付けロックウール
ロックウール粒状綿を主原料とし、セメントを硬化材として、専用の吹付け機を用いて鉄骨などの下地に吹き付けます。一定の被覆層をつくる有機物を含まない現場施工の不燃製品です。
吹付けロックウール(乾式と半乾式)
湿式石綿含有吹付け材
湿式吹付けは材料と水を混ぜた材料を吹き付ける施工方法で、石綿を含有する湿式吹付けロックウールは約20年間(1970~1989年頃)実施されました。
現在実施されているロックウール吹付けは湿式ではなく、半乾式(半湿式ともいう)の吹き付け施工です。石綿含有湿式吹付けロックウール(以後、湿式吹付け)のか密度は0.4~0.7程度で、石綿含有乾式/半乾式吹付けロックウールのか密度(0.3~0.35)より重く、固く、外観も異なり、湿式吹付けの表面は痘痕状の凹凸があるモルタルのようにも見えます。
吹付けバーミキュライト
「吹付けひる石」と呼ばれているもの(ひる石・バーミキュライト)をアスベストと混合し、機械で噴出させ天井などに付着させたもので、断熱性、吸音性に優れています。表面は平坦ではなく、骨材と骨材の間に小さなすき間が見受けられ、少し力を入れてさわると弾力が感じられる場合があります。
吹付けパーライト
アスベスト含有のパーライト吹付けとは、パーライトをアスベストと混合し、吹き付け機で吹き付けたものです。防火、断熱、吸音などの目的で使用されました。
真珠岩や黒曜石を焼いて仕上げた軽量の骨材で、火成岩のうち、天然ガラス質の真珠岩、黒曜石を加熱すると、含有された水分が発泡してパーライトとなります。白色粒状で軽石状、多孔質であることから、土壌改良剤などとしても用いられています。
まとめ・最も危険なレベル1のアスベスト含有建材はどこにあるか
レベル1は、飛散性が高いアスベストです。他のアスベスト製品と比べて、特に繊維の露出が多く、単一ではもろいのが特徴です。そのため粉塵が比較的に飛散しやすく、少しの外部の力で破損してしまいます。
主な使用箇所は以下のとおりです。
(1)建築基準法の耐火建築物(3階建て以上の鉄筋構造の建築物、床面積の合計が200㎡以上の鉄筋構造の建築物など)などの梁(はり)や柱など。昭和38~50年初頭までの建築物に多く、特に柱やエレベータ周りでは昭和63年頃まで使用されている場合があります。
(2)ビルの機械室、ボイラー室の天井、壁またはビル以外の建築物(体育館、講堂、温泉の建物、工場、学校など)の天井、壁に、石綿とセメントの合剤を吹き付けて所定の被膜を形成させ、吸音、結露防止(断熱用)として使われていました。昭和31~50年初頭までの建築物に多いです。
【写真】
一般社団法人
建築物石綿含有建材調査者協会 (ASA)
次回はレベル2のアスベスト含有建材についてお話します。
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