不動産流通システムREDSエージェント、宅建士の小室です。不動産を売買するときには登記が必要ですが、ひとくくりに登記といっても、物件の種別などによって、さまざまな種類があります。
今回は登記の種類についてお話しします。
不動産の登記とは何か
不動産の登記とは、土地・建物の所有者や権利などを登記簿に記載することをいいます。
申請方法は、インターネットを利用するオンライン申請と申請情報を記録した書面による申請がありますが、現在はオンライン申請が一般的です。私も登記記録を確認する際は、インターネットより「登記情報提供サービス」を利用します。
登記簿は、不動産の物理的現況を記録した「表題部」と、不動産に関する権利を記録する「権利部」から構成されています。権利部はさらに「甲区」と「乙区」に区分されます。
■表題部
土地は所在、地番、地目、地積などを記録
建物は所在、種類、構造、床面積などを記録
■権利部
所有権に関する登記事項を記録する「甲区」
ex)所有権の保存・移転登記、所有権移転の仮登記、所有権の仮差押えなど
所有権以外の権利に関する登記事項を記録する「乙区」
ex)抵当権、地上権、賃借権など
不動産売買でどのような登記が必要か?
登記にはさまざまな種類があります。それぞれ解説します。
表示登記
建物を新築した場合などに発生する登記手続きで、建物の登記記録の表題部を新しく作成する登記です。建物を新築し、完成したときに表示登記をおこないます。
「所在地番」や「家屋番号」「構造」「床面積」など、不動産を特定させるための内容が記されます。所有権の取得の日から1カ月以内に登記する必要があり、登記申請を怠った場合は10万円以下の過料に処せられます。一般的に土地家屋調査士がこの手続きを行います。
所有権保存登記
所有権の登記のない不動産に最初に行われる所有権の登記のことで、上記「表示登記」後に所有権に関する事項として所有者の氏名および住所など「誰が所有者」なのかが記載されます。
所有者の登記のない不動産にのみ行う登記ですので、最初の所有者しか行うことができません。
所有権移転登記
不動産の売買をしたときは、前所有者から新所有者へ所有権が移転します。このときに行われる登記を所有権移転登記といいます。
所有権移転登記は、権利が誰にあるのかを証明するために行い、新所有者は第三者に対して所有権を主張できる「対抗力」を持ちます。相続、贈与の際も所有権移転登記が必要となります。
建物滅失登記
登記のある建物が取り壊しなどによって滅失したときに、申請する登記のことで、必ず申請しなければならない義務があります。建物が滅失してから1カ月以内に申請しないと、10万円以下の過料に処されることがあります。
抵当権設定登記
住宅ローンなどの融資を利用した際、建物と土地に担保権を設定することをいいます。債権者(金融機関)は、債務者(買主)が融資の返済が滞り、返済が困難であると判断したときは、所定の手続きのうえ、建物と土地を競売にかけることができます。
抵当権抹消登記
上記抵当権の効力を失わせる登記で、住宅ローンなどを完済した際に行います。売買において、売買代金で住宅ローンを完済する際は、所有権移転登記と併せて、この抵当権抹消登記を行うことが一般的です。
その他、売却の際に「住所変更登記』が必要な場合があります。不動産を売却する場合、登記の申請に印鑑証明書の提出が必要となりますが、印鑑証明書の住所と登記簿の住所が一致していないと登記申請は却下されます。住所だけでなく、結婚等で姓が変わった場合も『氏名変更登記』をしなければならないケースもあります。
登記をしたら登録免許税が必要
また、登記をおこなった際に税金を納める必要がありますが、この税金を「登録免許税」といいます。
登録免許税の計算は「税額=課税標準×税率」となります。登記の種類と登録免許税の税率は下記のとおりです。
・所有権移転登記(土地) 評価額×2.0%
・住宅用家屋所有権保存登記(新築建物) 評価額×0.4%
・住宅用家屋所有権移転登記(中古建物) 評価額×2.0%
・抵当権設定登記(住宅ローン借り入れ) 借入額(債権額)×0.4%
この税率は本則税率といいますが、住宅を購入するときは軽減措置が受けられ、税率が引き下げられる場合があります。
土地
土地の所有権移転登記は、軽減措置の適用期限が2026年3月31日まで3年延長され、登記をすれば2.0%から1.5%に0.5%引き下げとなります。
建物
・新築建物の所有権保存登記は、0.4%から0.15%に引き下げ
・中古建物の所有権移転登記は、2.0%から0.3%に引き下げ
となりますが、軽減措置は2024年3月31日までとなります。
まとめ
不動産の売買を行った際の代表的な登記について説明しました。所有者より手続きをおこなうことによって、費用を圧縮することができる登記もあります。相続など複雑な手続きが必要な場合もありますので、不動産ご売却・ご購入の際はご相談いただければと思います。
ご不明な点などお気軽にご相談ください。
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