REDSエージェント、宅建士・宅建マイスターの坂爪です。不動産売買とは切っても切れない関係にあるのが「登記」「不動産登記」です。私が司法書士業界の出身であることは自己紹介欄に記載しておりますが、今回はこの登記とは一体何なのか?というお話です。
不動産の登記にも「表題登記」「甲区(所有権に関する登記)」「乙区(所有権以外の登記)」と種類がありますが、今回は皆様にとって最も重要な「甲区(所有権に関する登記)」について説明していきたいと思います。
不動産登記とはなにか
皆様が街で見かける2階建てアパート。(1)それぞれの部屋を借りている賃借人がいて(2)アパートのオーナーがいる。この想像はつくでしょう。
次は、普通の一戸建て。一軒家の玄関には【坂爪】の表札があります。この場合、多くの方は「ここは坂爪さんの家」⇒所有者は坂爪、と勝手に思うのでしょうが、実態は貸家なのかもしれません。
更にマンションです。たくさんの部屋があって、1住戸を買って自分で住んでいる人もいるでしょうが、借りている人もいるかもしれません。さらには、一棟丸ごとオーナーがいて全部屋が賃貸なのかもしれません。
つまり、不動産は外観からは所有者は特定できないわけです。しかしながら不動産は極めて高価な財産です。どこかでキチンと誰が持ち主なのか管理しましょう!(税金も取らなきゃいけないし)ということで、「法務局」という役所に「登記記録(登記簿)」を編綴して誰のものなのか分かるようにしたのが不動産登記です。
登記が持つ4つの力
急に専門的になりますが、不動産登記には、「対抗力」「権利推定力」「形式確定力」「公示力」の4つの効力があって、1つの効力「公信力」がありません。ひとつひとつ解説していきましょう。
登記の「対抗力」
この対抗力は民法177条によって登記に付与された「力」です。
民法第177条
不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法(平成16年法律第123号)その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。
※物件=所有権・地上権・永小作権等
簡単に言うと不動産を買ったときに「この物件は自分が買った!!」と当事者以外の第三者に示す力です。例えばAさんが家をBさんに売りました、Bさんは登記をすることでCさんやDさんに「これは自分が買った家だ!!」と言えるわけです。
Aさんは当事者ですので、登記がなくても契約の権利義務が履行されていれば権利を主張できますので、登記の対抗要件の問題ではありません。
登記の「推定力」
これは比較的簡単で、登記記録(登記簿)に【所有者 坂爪】と登記されていれば、「坂爪が持ち主だろうな」と推測されるという「力」です。難しく言うと、登記記録(登記簿)にその登記がされているということは、そのとおりの権利が発生(消滅・移転)しているだろうと推定されることになります。
しかしながら後から出てくる「公信力」とも関連しますが、あくまでも推測されるというだけにとどまります。登記に推定力が発生する根拠については、前述の対抗力のように明確な規定がある訳ではありません。民法188条が根拠という説もあるようですが見解は分かれています。
登記の「形式的確定力」
例えば、実際の所有者はAさんなのに、間違えて登記記録(登記簿)には所有者Bさんと登記されてしまっている場合、この家をAさんがCさんに売ったとします。
Bさんが「自分の家ではないよ」と認めている場合でも、Bさんの名前の登記を無視してAさんからCさんへ所有権の名義を移転する(登記する)ことはできないという「力」です。一度登記がされてしまうと、その登記が有効か無効かにかかわらず、その登記を無視して後の登記手続きをすることができない「力」のことをいいます。
つまり、無効な登記がなされている場合、その無効な登記の抹消をしなければ本当の権利者は自らの権利の登記をすることができません。無効な登記を抹消するには当事者が任意で抹消登記申請に協力するか、裁判で決着をつける必要がありますので、自分が知らないうちに書き換えられたり消されたりすることはありません。
登記の「公示力」
登記の公示する「力」とは、導入部分で述べたとおり登記記録(登記簿)を編綴して公開(公示)することで、その不動産が誰のものなのか分かるようにしたことです。
登記記録の内容を写した登記事項証明書(登記簿)は「誰でも」「どの物件」でも取得することができます。我が家の登記事項証明書も誰でも取ることができまして【坂爪の持ち家だ】と確認できる訳です。
以上4つが登記に有る「力」ですが、分かりにくいのは次の登記にない「力」です。
登記の「公信力」
「公信力がない」とは、登記記録に記載されている内容を公(国や政府)には保証しないということになります。
つまり【登記記録に所有者A】と書かれていたので、それを信じてAから物件を買ってお金を払ったところ、【本当の所有者はB】であった場合。登記記録の記載を信じてAから買っても保護されません。
このように例示すると恐ろしいですが、実際には相手が悪意を持ってだまそうとしない限り、このような状況は起こりにくいのが実態です。しかし法律上は登記に「公信力なし」となっております。
まとめ
分かりやすく「4つのある」と「1つのない」をつなげて考えますと、こういうことになります。
「不動産を買ったら、自分の名前に登記を書き換えないと周りの人に対抗できないから登記をしてくださいね【対抗力】、そうすると、一般的にはあなたの不動産ということになりますよ【推定力】。そのことは誰でも登記事項証明書を取れば確認ができます【公示力】。
ただし、あなたの前の所有者さんが本当の所有者で、あなたが「真」の所有者であるところまでは保証しません。なぜなら登記官があなた方の取引や過去の権利の移転について、1から確認したわけではないので【公信力】。でも安心してください、だからといって貴方の知らないうちに勝手に登記が書き換えられることはありません【形式的確定力】」
以上、今回は不動産売買の核心である名義(所有権)に関する登記について説明しました。REDSのエージェントはさまざまなキャリアを持ったプロフェッショナル集団です。お気軽にご相談ください。
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