菅野です。
この会社で10年ほどブログを書かせていただいておりますが、今週よりエージェントブログの内容が少しずつ変わってまいります。
これからも充実した内容の記事を提供できるよう頑張ってまいりますので、引き続きご期待くださいますよう、よろしくお願いいたします。
さて、今回のお題ですが、「なぜ足立区と葛飾区の区界(くざかい)はうねうねしているのか」という件についてです。
まず、区界(くざかい)について見てみる
これは、足立区の南東部分が葛飾区に陸地で接しているところの境界です。
これ、実感として分かる方は足立区の綾瀬駅や亀有駅最寄りの地域にお住まいの方くらいかもしれません。
綾瀬駅の北と南を境に足立区綾瀬と葛飾区小菅に分かれている、というわけではなく実は、足立区綾瀬1丁目と2丁目がJR常磐線の線路から南に出張っている感じです。
また、そこから東の亀有駅方面に進むと一転、常磐線の線路から北側に境界が出ていきます。
葛飾区西亀有2丁目の一部が北に出張ってきて、いったん足立区東和1丁目に線路まで押し戻されたかと思ったら、葛飾区西亀有4丁目がグワーッと線路の北に出っ張り、亀有5丁目が亀有駅の北側を覆いつくし、環七通りを超えてさらに東に行くと今度は足立区中川が線路の南側まで出っ張ってくるという感じです。
実際の区界の様子をGoogleストリートビューで見てみます。
足立区綾瀬1丁目と葛飾区小菅4丁目の境目、綾瀬川通りの交差点です。南東側に小川があります。
綾瀬駅に近いところの、足立区綾瀬2丁目と葛飾区小菅4丁目の境目です。駐輪場があります。
少し古いものを見るとよくわかるんですが、もともと長々と法務局辺りまで駐輪場があって、昔は水路だったんじゃないかと予想できます。
こちらは2014年5月のストリートビューです。駐輪場に「綾瀬袋橋」の文字があります。
まあ、ここまでくると勘の良い方はお分かりかと思いますが、この区界は昔、川が流れていたんですね。
川の名前は「古隅田川」といいます。その名の通り、昔の隅田川がここをながれていたそうです。
この古隅田川を境に、武蔵国足立郡と下総国葛飾郡が分かれていて、それが現在の区界になっているのだそうです。
もともとは国境だったということですが、今その区界を歩いてみると、全く境目って感じがしません。
地質図を見てみると
ただ、地質図をみると一目瞭然です。
出典はこちら
この薄青のところは地質が「旧河道埋積堆積物」となっていて、昔は川でした!ってのが、はっきりとわかります。
これがほぼそのまま区界になっているのがお分かりでしょうか。
ちなみにその周りの黄色いところは「自然堤防堆積物」となっています。
旧河道は災害危険性に注意
まあこれだけですと、昔の川が区界だったんだな、で終わっちゃいますが、最後に注意喚起です。
こちらはNHKの災害列島という特集サイトです。
地図はいまも悪夢を知っている 浸水地域の地形に「旧河道」- NHK
以下引用です。
旧河道とは、読んで字のごとく、かつて川が流れていた地形のことです。周囲より低いため、水が集まりやすいのが特徴だといいます。さらに今は道路に舗装されたり住宅が建ったりして、ほとんどわからないというのです。
地形のリスクについて興味を持って調べていくと、冒頭の記事が研究者の間では有名だったことを知り、何度も目にすることになりました。
小森さんが多摩川の下流沿いで広い範囲に浸水被害が確認された川崎市や東京 世田谷区など15の地域を調査した結果、13の地域で旧河道が含まれていたことがわかりました。
ということは、この区界は水害に遭いやすい場所の可能性があるということです。
先ほどの産総研のサイトを見ていただきたいのですが、もともと足立区・葛飾区は昔、海や湖沼に面した湿地帯で、縄文時代までさかのぼると海の下でした。
地質も低湿地帯に属します。その中でも旧河道はさらに低く水が集まりやすい状態になっているというのです。
この旧河道は、以前はハザードマップには記載されていませんでしたが、法改正後の最新の足立区ハザードマップには、区内でも特に低い場所を「早期立退き避難の検討が必要な区域」として記載があります。
(斜線のしましまのところが「早期立退き避難の検討が必要な区域」です。)
この区界近くにお住まいの方、転居予定の方は、大型台風やゲリラ豪雨などの大雨時には速やかに避難するなどの心構えを持っていただいたほうがよろしいかと思います。
(確認していませんが、先日の大雨は大丈夫だったのでしょうか?)
最後に
締めとして、不動産、特に土地や戸建てを購入検討する際には、こういった地質なんかも注意していただくと、不意の災害時にダメージコントロールができるのかな、と思います。
REDSのエージェントは宅建マイスターや公認不動産コンサルティングマスターなどの資格をもち、こういった部分のリスクにも対応できますので、不動産を購入する際はぜひREDSへご相談ください。
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