皆様こんにちは。
首都圏の一都三県(東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県)で不動産仲介手数料「無料」「割引」で注目されております、不動産流通システム【REDS】のエージェント、宅建士の堀 茂勝(ほり しげかつ)です。
さて今回は、住宅ローンの「固定金利」「変動金利」の選択についての連載シリーズの第4回(最終回)です。
シミュレーションでバブルを起こしてみて、比較してみます。
今回初めてこのブログをご覧になる方は、下記からご連頂けますと、理解しやすいかもしれません。
連載1:2022年8月31日公開のブログ「金利が急上昇するかも? 変動より固定がいい?」
連載2:2022年9月12日公開のブログ「今後金利は急上昇する? 「固定金利」がいいの?「変動」は怖いの?」
連載3:2022年9月28日公開のブログ「固定金利と変動金利、トントンになる状況を知れば怖くない?」
スタートは、変動金利型0.475%、超長期固定金利型1.99%。その後バブル金利上昇!
今回のシミュレーショングラフは、下記です。
上記の事例では、固定金利を選択すると、最初から35年後まで、ずっと金利は1.99%、月々165,374円を支払っていくことになります。
それに対して変動金利を選ぶと、当初は0.475%、月々129,241円でスタートします。
当初は、固定金利に比べて月々約3.6万円弱の差額を貯蓄できますので、それが100万円に貯まるごと、5回にわたって繰り上げ返済ができております。
借入額残高(薄緑色)は、急激に減っていきました。
さてバブルシミュレーションですから、金利はバブル前の時期のように、右肩上がりで徐々に急上昇していきまして、約15年後にはピークの「金利が約9%」にまで到達させてみました。
金利が急上昇したままの頂点で横ばいになる事は、それでも景気が維持できていない限りありえませんので、やはりバブルの時のように右肩下がりに急降下させてみました。
とはいえ、現在と同様の0.数%の超低金利がすぐにまた来るとも言えませんので、バブル後の金利は、固定金利と同程度の2%ぐらいで推移したことにしてみました。
このバブルで、変動と固定が支払総額トントンなのです。
グラフをよく見て下さい。変動金利は、計算上の金利は刻々と変わりますが、返済金額の変更は5年に1度しかありません。(※注意1)
約15年後(180か月)、バブル金利の頂点に近くなった3回目の返済額見直しのあたりで、やっと固定金利の月々返済額を上回りましたが、それでも青天井に高くなっているわけではなく、前回支払額の1.25倍(※注意1)までの制限もあり、月々179,863円。固定金利の返済金額プラス1.45万円程度で収まっております。
バブルピークの期間は、返済額で利息が返済しきれていないけれど・・・。
実はこのあたりの期間は、返済金額以上の利息(ピンク色の部分)が発生しており、返済の繰り延べが発生してしまっております。
それでも、返済金額はとんでもなく上がっているわけではなく、最大返済金額の時で月々約20.2万円、固定金利の返済額プラス約3.7万円程度。
当初マイナス約3.6万円であったことを考えると、この程度はしょうがないといった印象です。
バブルが過ぎれば、ガンガン元金返済が進んでいる!
その後の金利バブル崩壊後では、低金利に向かう事で、逆に返済金額のうち利息の占める割合は少なるなり、元金返済がガンガンかなり進みます。
その後、それでも今の変動金利の約0.5%よりも約4倍も多い、約2%の金利を、10年間つづけたと仮定したシミュレーションで、やっと固定金利とトントンになりました。
さてみなさんは、どっち!を選びますか?
今回のバブルのシミュレーションで表現した事態。
・これよりさらに厳しい金利の状態が起こる場合には「固定金利」がオトクで、
・それ以下であれば「変動金利」がオトクです。
みなさんは、どっちを選びますか?
銀行は絶対損しないように、固定金利を決めている!
このシミュレーションをはじめておこなった十数年前から、わたくしがこれを見て
「日本の銀行(金融機関)は、日本人の好きな「固定金利の住宅ローン」を売れば、バブルの再現より大きな事態が再現しない限り、得するように金利設定しているのだなぁ。」
とつくづく思っていました。
金利が上がっても(下がっても)返済金額が一切変わらない「固定金利の住宅ローン」というのは、
万が一とんでもなく金利が上がって、そのまま上がったままになった場合にも、返済総額が変わらないように、月々約3.6万円×12カ月×35年の掛け捨てで、保険に入っているようなものだということです。
ただし、その掛け捨て保険は総支払額が約1500万円になるという事。
やっぱり銀行は抜け目がありません。ほぼほとんどの場合には儲かるように、考え抜かれていますね。
たまに、TVやネットで「ファイナンシャルプランナー」を名乗っている方々が出てきて、
きちんと収支を比較したシミュレーションもせずに、安易に「これから金利が上がりそうだから、固定金利が安心ですよ!」なんて説明をしていらっしゃる方々を見かけます。
日本人、特に公務員や従来型の上場企業勤務のサラリーマンは、リスクがない「固定金利」が好きだと言われますので、こう言っておけば好評だと思っているのです。
しかし、「固定金利」にはリスクがないのではなく、金利が上がらなかった場合に「払わなくてもよいオカネ」を先取りされているマイナスを確実に背負っているのです。
ある意味、これも確実性の高い「リスク」といってもいいのかもしれません。無駄金をつかわせていることになりかねませんから。
せめて、このようなシミュレーションを、自分で実施してみたうえで、事実をしっかり伝えてくれる「ファイナンシャルプランナー」が、もう少したくさん出てきてほしいものです。
(※注意1:ほとんどの主要銀行の変動金利住宅ローンはこの安全対策がなされておりますが、商品によってはこの安全対策がない住宅ローンがありますのでご注意ください。)
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