皆様お世話になっております。不動産流通システム【REDS】のエージェント、宅建士の大石です。
冬も本格的になってきて、寒さが堪えますね。寒がりな私にとっては辛い季節です。
さて、先日サブリース契約している投資物件を売却したいというご相談がありました。他のエージェントに話を聞いても、サブリース物件を抱えて困っている方は少なくないように思えます。『正直不動産』でも取り上げられている内容ですが、今回は改めてサブリース契約での内容を解説していこうと思います。
(写真はイメージです)
サブリース契約とは?
そもそもサブリース契約とは、不動産オーナーが所有する物件を不動産業者(サブリース会社)が一括して借り上げ、その後、サブリース会社が第三者(入居者)に転貸する仕組みです。この契約形態は「一括借り上げ」や「マスターリース」とも呼ばれます。
オーナー様からすると「家賃保証があるし、管理もしてくれるから安心安全!」とメリットを感じられる方もいらっしゃいますが、当然そんなおいしい話ではありません。
サブリースの主要なリスク
サブリースには大きく以下の2つのリスクがあります。
●賃料の減額リスク:契約時に「賃料保証」とされていても、契約書に「一定期間後の見直し」や「市場環境に応じて減額可能」といった条項が含まれていることが多く、結果として収益が減少する可能性があります。
●保証の不確実性:サブリース業者が倒産した場合、家賃保証は無効になるため、オーナーは賃料収入を失うリスクがあります。
サブリース契約物件の売却は難しい
さらに何かしらの事情によりサブリースで貸し出している物件を売りに出そうとしても(当社ではこのタイミングでご相談いただくことがほとんどなのですが)、結論から言いますと「サブリース契約中の投資物件は非常に売れにくい」のが現実です。
サブリース契約で貸し出しているということは、サブリース業者に賃料の何%かをマージンで支払っているため、単純に見入りが少なくなります。物件を購入する不動産投資家はインカムゲイン(家賃収入)、キャピタルゲイン(売却時にいくら儲かるか)などを総合的に考えて購入しますが、収益性の低いサブリース物件を敬遠します。
サブリース契約をしてしまっていると利回りが低下してしまい、インカムゲインが少なくなることがほとんど。利回りは年間収入÷購入金額から算出するので、年間収入がサブリース契約で下がってしまうということは必然的に購入金額を抑えないと利回りがよくなりません。つまりは安く売り出さないと買い手がつかないということになります。
サブリース契約の解約は困難
じゃあ、そんな契約なら解約すればいいじゃないかと思うかもしれませんが、サブリース契約には「借地借家法」が適用されるため解約もなかなか難しいのが現実です。
借地借家法は宅建試験でも出てきて、そこそこ複雑な分野ではあるのですが、簡単に言うと「立場の弱い借主を守りましょう」という法律です。皆様も賃貸を借りている間、この借地借家法に守られています。
サブリース業者は「借主」つまりは借地借家法の立場に守られる立場なのです。「貸主」であるオーナー様からは【正当事由】がないと解約することができません。それでも解約したい場合は違約金が発生してしまいます。一概には言えませんが、家賃6カ月分などが多い印象です。
正当事由として認められる可能性があるケース
正当事由が認められることはかなりまれですが、例としては下記のようなものがあります。
- 貸主の家族が緊急に住む必要がある
- 建物の老朽化による建て替えが必要になった
- 借主が賃料を長期間滞納している
正当事由は裁判所が総合的に判断します。その際、以下のポイントが重要になります。
- 借主の生活への影響:借主が物件を利用している期間、年齢、家族構成など。
- 貸主の必要性の具体性:貸主が主張する事情がどれだけ切実か。
- 補償の適切性:補償内容が合理的で、借主が受け入れやすいかどうか。
正当事由が認められるかどうかは、貸主と借主の双方の事情を考慮し、補償を含めた総合的な判断に基づきます。不動産の契約やトラブルを避けるために、契約内容を明確にし、専門家(弁護士や不動産コンサルタント)に相談することをおすすめします。
最後に
さて、いかがでしたでしょうか?
聞いたことはあっても意外とどんなものかは知られていないサブリース契約。個人的な意見としては「なぜプロである不動産業者が守られる立場にいるのか」と常々思います。
本来弱い立場である人を守るはずの法律が、プロである不動産業者を守り、個人のオーナー様を苦しめているという現状。いつかはこの矛盾が解消され、オーナー様方がいい選択としてサブリース契約が確立できることを祈っております。
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