REDSエージェント、宅建士の島崎正輝です。
マンションと戸建てではどちらがいいのかを考えるとき、住み始めてからどれくらいの維持費がかかるかを気にされる方が多いと思います。戸建てとマンションの管理にはそれぞれどれくらいのランニングコストがかかるのかを検証してみます。
(写真はイメージです)
住宅にかかる維持費とは
住宅の「維持費」は、「固定資産税・都市計画税」や「室内の修繕費」などいろいろありますが、ここでは主に住宅の管理をするための維持費、そして住宅を快適な状態で維持していくための維持費についてご説明します。
維持費にはいろいろ種類がありますが、「固定資産税・都市計画税」や、「室内修繕」はマンションでも戸建てでもかかりますので、これは除外して、それ以外に差が出てくる維持費について検証します。
マンションの維持費は管理費と共益費、修繕積立金と駐車代
まず、マンションの維持費である「管理費」と「共益費」を考えてみます。これは、管理人の人件費、敷地内の清掃や植栽の剪定などをする方の人件費、さらに共用部の電気代など快適なサービスの維持負担代があります。
さらに、マンション全体を長期にわたって修繕していくための「修繕積立金」、さらに「駐輪場」「バイク置場」「駐車場」などの費用があります。
これは、マンションの大きさやグレードによって金額に差があります。今回はファミリータイプといわれる3LDK(75㎡前後)で検証します。これも同様に立地によってもある程度の違いはありますが、この規模でしたら、おおまかにいって以下のようになります。
- 管理費・共益費:1万~2万円(月額)
- 修繕積立金:1万~2万円(月額)
- 駐輪場:200~400円(月額)
- バイク置場:1,000円~2,000円(月額)
- 駐車場代:1万~3万円(月額)
マンションの場合、維持費の合計はおおよそ月額3万~7万円になります。これを1年間で累計しますと、36万円~84万円と高額になるので、毎月の住宅ローンの返済を考えると、結構な負担になります。さらに、修繕積立金に関しては築年数が古くなるにしたがって金額が増えていくのが一般的ですので、その点も留意する必要があります。
戸建ての維持費は一定額ではない
では、戸建ての維持費を検証します。マンションにあった「管理費・共益費」という名目の費用負担はありません。すべて自分で掃除、保守、点検を行います。その点で、「管理費・共益費」のみに関して言えば支出がないという点で戸建てにメリットがあります。
しかし、マンションの「管理費」に含まれている「セキュリティ管理」を自分自身で行わなくてはなりませんので、マンションと比較して全く費用負担がないということにはなりません。
「修繕積立金」はどうでしょうか。戸建てであっても築年数が古くなれば、修繕が必要となり、10~20年ごとに壁や屋根の修繕保守を自分でしなくてはいけません。最近の物価高、建築費高騰により、おおよそ100万円~200万円とされた修繕費用が現在では150万~250万円とされていますので、マンションの「修繕積立金」と累計しますと実際は大きな差はありません。
「駐輪場」「バイク置場」「駐車場代」に関しましては、戸建ての場合は敷地内に駐車場がある場合は発生しません。
「修繕積立金」という点で、戸建てもマンションも維持費はそれほど大きな差はなく、「管理費・共益費」や「駐輪場」「バイク置場」「駐車場代」という要素で考えると、戸建てのほうがランニングコストが安いということがわかります。
ただ、マンションの「管理費・共益費」というのは、快適で便利なサービスの対価ともいえます。実際にお住まいになるご家族構成や内容、ライフスタイルを考えて、戸建てとマンションのメリットとデメリットを充分に比較して、選択をすべきと考えます。
マンションの専用庭付き物件
庭付きの住居といえば戸建てに限定されるというイメージがありますが、実はマンションにも庭付きの物件があります。ガーデニングを楽しみたい人や庭で夏に子供用プールを利用したい方にとって、庭付きマンションは戸建ての代替手段として住み替えの候補になるのではないでしょうか。
専用庭付きマンションとは、プライベートな庭の専用使用権がついたマンションを指します。月額の「専用庭使用料」を支払うことでその住戸の所有者だけがその庭を使用することができます。
東京の庭付きマンションの場合は月額300~500円くらいと、それほど高額ではありません。構造はマンションによって違いがあり、かなり広いものから、「専用駐車場」が設置されているもの、「出入口」があるもの、植栽や芝生が植えられているもの、ウッドデッキが設置されているものなどいろいろあります。
専用庭付きマンションのメリット
では専用庭付き中古マンションにはどのようなメリットがあるのでしょうか?
・戸建てのように子供が庭遊びを楽しめる:子供が家の外で過ごす時間が増えて、自然や運動を好きになるきっかけとなるかもしれません。目が届く場所にあるので小さいお子様に対する親御さんの不安がありません。
・ガーデニングや家庭菜園を楽しめる:マンションで生活しながら野菜を育てたり、草花を植えたりする生活を楽しみたい人にはおすすめです。
・洗濯物をたくさん干せる:専用庭は十分な広さがあるため、バルコニーではちょっと干すのが難しい布団やシーツ、毛布、カーペットでも干すことが可能です。
専用庭に屋外専用の収納ボックスを置ける:マンションの規約によりますが、収納のスペースを確保する方もいるようです。スポーツ用品、アウトドア用品、工具セットなどの保管場所としてうまく利用するという方法もあります。
専用庭付き中古マンションのデメリット
専用庭には実はデメリットもあります。実際に住んでみないとわからない弱点を紹介します。
・空き巣被害の懸念:マンションの1階部分には「空き巣の被害に遭いやすいのでは」という不安を抱く方が多いと思います。実際は防犯カメラが設置されるなどセキュリティはどんどん向上しています。とはいえ高層階に比べれば不審者の侵入やいたずらを受ける可能性は避けられませんので、そのあたりが気になる方は物件の防犯対策を十分に確認しておきましょう。
・湿気が多い?:1階住戸は地面から湿気が侵入しやすいことを気にする方も多いと思います。最近は、地面と部屋の間に空間を設けて、湿気の侵入や底冷えを防止する「地下ピット」が設けられ、対策が取られていることが多いといえます。気になる方は玄関やキッチン、クローゼットなどに除湿機を設置するのも有効でしょう。
・落下物に注意:専用庭付きマンションの1階は、上階から洗濯物などが風で飛ばされて落ちてくるケースもあります。上階からの落下物には注意が必要です。
この情報がお役に立てましたら幸いです。
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