皆様こんにちは。REDS不動産流通システムの渡部です。
この度下記の物件の取引が成立しました。
【物件種別】新築戸建住宅
【所在地】小平市某所
【土地】約30坪
【建物】約30坪
【間取】3SLDK
※売主様側に専任業者様が入っている関係で仲介手数料は無料にはなりませんでしたが、50万円以上の割引となりました。
こちらの買主様は昨年取引した物件の売主様で「お買替え」でした。
お買替えの場合、事前に資金計画を立てて綿密な「計画」のもとに販売活動を開始します。
通常は売り出すにあたって事前にお買替えの希望を把握し、それに沿って動くことになります。
今回は転居先は賃貸住宅の予定でした。
弊社は賃貸の仲介は行っておりませんので、売却活動の流れに応じて転居先を探すように売主様に説明し販売をスタートしました。
物件は弊社の合理的な販売方法が実った形で早期に成約。
転居先も目星を付けているということでスムーズに進んでいました。ところがある日。。。
所有している車と1,000㏄を超える大型バイクを停められないことが分かり、急遽購入(お買替え)に切り替えたいという相談がありました。
売却の契約ではすでに引渡しの時期は決まっています。
急いで買替え先の物件を探すことになりました。毎週複数の物件をご案内させていただきました。
しかしローン審査が難航し、良い物件が見つかっても売主側と交渉が進まず物件を押えることができません。。。
お買替えの場合、特に住宅ローンの残債が残っている物件を売却して購入する場合、「自宅は一つ」という原則から、「2つの住宅ローンを(一時的にでも)同時に組む」ということは非常にハードルが高くなります。
返済比率に余裕がある場合等、個別に対応してくれる銀行もありますが、大半の場合で「売却条件」=「売却物件のローン残債を購入物件の融資時までに完済し、抵当権を抹消すること」という条件が付きます。
既存の住宅ローンの返済には買主様からいただく売却代金が用いられます。
つまり売却の「決済=引渡し」を購入の決済までに行う必要が生じます。
引渡しは、建物が利用ができる物件の場合は「鍵を買主に渡すこと」で行いますが、鍵を渡すためには引越しを終えなければならず、引っ越すためには購入物件の鍵を先にもらわないといけません(短期で一時的に賃貸に入る方法もありますが負担が大きいです)。
こうしたことから、お買替えの場合に利用されるのが【引渡猶予】です。
契約内容にもよりますが覚書を交わして特約で定める場合もありますし、契約書で引渡時期を「売買代金全額受領日から7日以内」などと取り決めることもあります。
いったん売却の決済をして代金を受領し住宅ローンを完済し抵当権を抹消しますが、鍵の引渡を1週間程度猶予してもらい、猶予期間中に購入物件の決済を行い鍵の引き渡しを受けて、新居に引越しを行います。転居完了後、売却物件の鍵を買主様に引き渡して取引完了となります。
買主様からするとお金を払って登記名義も自分に変更(申請)したにもかかわらず鍵の引渡しが受けられず引越しができません。
その点で不利な面がありますが、実際上、住宅ローンが残っている物件を売却してお買替えをされる方は非常に多いためとてもよく利用されています。販売図面(物件のチラシ)の備考欄等に「お買替えのため引渡猶予あり」などと記載があるものはこうした条件を指しています。私自身も売主側でも買主側でも数え切れないほど取り扱っております(なおこれまで一度もトラブルはありません)。
「引渡猶予」は、原則として募集図面にその意向を記載し、売却の契約時に取り決めておく必要がありますが、今回は契約後に事情が変更したため利用することができませんでした。
こうした場合は自宅の残債を残したまま購入のローンが取り組める銀行を利用する必要があります。
そしてこれがなかなか厳しく、対応してくれる銀行数が少ないため選択肢が限られます。
住宅金融支援機構の「フラット35」のように買替えに強い商品もありますが、事前審査の精度が低い/審査に時間がかかるという別の問題もあります。
中古物件も検討しましたが、物件に軽微な問題がありその銀行の融資条件に合わないということもありました。
他の銀行にはこの程度の問題に対応してくれるところもあるのですが、2つの住宅ローンを組むことを認めてくれずその物件は断念。。。
気に入った物件を2つほど競合する他のお客様に奪われるなど失意と苦労を重ねて、何とか辿り着いたのが今回の物件でした。
探し始めた当初は時間的に厳しいと思っていましたが、売主の建売業者様の理解と寛大な提案があり、何とか合意に至ることができました。
今回の契約は難易度の高さではここ数年でも屈指のものがありましたが、何とか無事に成約に至り担当者として大変安堵しました。
売却のスタート時に万が一賃貸が決まらない場合のことも提案しておくべきだったか、と大いに反省した次第です。
引渡猶予は計画的に、綿密な打ち合わせのもとに利用しましょう!
当初から取り決めておけば購入の融資の選択肢も拡がります。
なお引渡猶予がついた物件を購入する側から注意点として、一部の金融機関(ネット銀行)は引渡猶予が付された物件の場合原則として融資ができません。こうした制限も生じますので諸々ご相談いただけると幸いです。
今回はお買替え時に主に利用される引渡猶予について、実例をもとにニュアンスをご紹介させていただきました。
今後も実際の取引の例から不動産売買の注意点や制度のご説明ができればと思います。
よろしくお願いいたします。
渡部
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