こんにちは、REDSエージェント、宅建士の大西進(おおにしすすむ)です。私のブログをご覧いただきありがとうございます。
10月初旬、日本の長期金利が大きく上昇し、一時10年ぶりの高水準となりました。理由としてはアメリカでの長期金利の上昇を受け、その影響で日本でも長期金利上昇の圧力が強まったからだと思われます。食費だけでなく光熱費、ガソリン代など日常生活すべてにかかわるあらゆる物の値上がりも続く状況で、変動金利型住宅ローンを契約されて、毎月の住宅ローンのご返済をしていらっしゃる方の中には、今後の返済について不安を感じている方もいらっしゃるかもしれません。
こういったタイミングで再度理解しておきたい、変動金利型住宅ローンのポイントを解説いたします。
5年経過後の返済額上限は従前の125%まで(125%ルール)
元利均等方式の変動金利の住宅ローンは後述するいわゆる「5年ルール」により、たとえ金利が上昇しても5年間の返済額は変わらず、6年目にその時点の適用金利によって返済額が見直されます。このとき、その時点での適用金利がどれだけ高くなっていても、返済額の上限は125%までに抑えられる仕組みです。これを「125%ルール」と言います。
従前の毎月返済額が10万円だった場合、6年目の見直しの際の上限は月12万5000円。適用金利が大きく上がった場合でも家計への影響を抑えるための仕組みです。とはいえ、返済額がそれまでの25%増に抑えられるにしても家計への影響は必ずしも軽くはないのではないでしょうか。
例えば、月10万円の返済額であれば返済額が2万5,000円増えることになりますから、場合によっては教育費やその他の生活費などに影響が出る可能性もあると考えられます。対応するためには、変動金利で返済額が低いからといって目一杯の返済にするのではなく、あらかじめ家計にゆとりをもっておくことも大切です。
適用金利が変わっても毎月返済額は5年間固定(5年ルール)
元利均等方式の変動金利で借りた場合、半年ごとの金利見直しにより適用金利が上がったとしても、5年間は毎月の返済額は変わりません。これは、金利が上がっても家計への影響が抑えられることを目的に設けられた仕組みで、「5年ルール」と呼ばれています。
金利には短期金利と長期金利の2種類ありますが、基本的に変動金利型住宅ローンは短期金利に連動した金利が適用されています。具体的には、日銀が発表する「短期プライムレート(通称:短プラ)」を指標とするものが多いですが、その他の市場金利を指標とするものもあります。短期金利は、長期金利と比較してめったに動かないという特徴がありますが、動く局面も確かにあります。
一般的に変動金利型住宅ローンの金利見直しは半年ごとです。仮に半年ごとに金利が変動し、返済額も都度増減すればどうなるでしょうか。おそらく金融機関の事務手続き負担は増大し、家計は混乱することでしょう。そこで、金利変動時にも返済額の変動頻度が増えすぎないよう、導入されているのがこの「5年ルール」です。
5年ルールにより返済額は変わらなくても、元利割合は見直されている
5年ルールにより返済額は5年間変わらないものの、適用金利が変われば、返済額に占める元金と利息の割合は変わります(返済は利息が優先されます)。
例えば、毎月の返済額の合計が10万円で、元金返済額9万5000円、利息が5000円だったとします。適用金利が上がって支払利息が増えると、月10万円の返済額は変わらなくても、内訳が「元金9万円+利息1万円」などと変わる可能性があります。返済額の内訳について通知などはないため、借りている本人は気づいていないこともあります。
急激な金利上昇が続くと未払利息が発生する可能性も
変動金利で急激な金利上昇が続いた場合、「5年ルール」や「125%ルール」が裏目に出て、返済額に占める元金と利息の割合が逆転して返済額がほぼ利息、となってしまうこともあり得ます。
最も悪いケースとして、返済額がすべて利息になってしまうこと。さらには、返済額では返しきれない利息が発生すると、「未払利息」として払いきれない利息分、翌月以降の返済に繰り延べされることがあります。多くの場合、最終回の返済日に、未払利息分は残りの元金とともに全額を一括で返済しなくてはなりません。このことも心に留めておかなくてはなりません。
一部の金融機関では、「5年ルール」や「125%ルール」がなく、適用金利が上がればその時点で返済額がアップするタイプの変動金利を扱っているところもありますので、ご自身の住宅ローン商品をどのタイプか理解しておくことも大切です。
まとめ
住宅購入時に以上のような説明を、金融機関や取引にかかわった不動産業者から受けていらっしゃると思いますが、購入当時は住宅を購入することに精一杯で、うろ覚えの方も多いかもしれません。
変動金利を利用している場合、半年に一度と年末に残高証明が金融機関からの通知(圧着はがきやメールなど)が届いていると思います。住宅ローンのことばかり考えて生活するわけにはいきませんが、半年か年に一度程度で住宅ローンの内容を見直してみるのもよいかもしれません。ご一読いただきありがとうございました。
購入前に住宅ローンについて詳しく知りたい方は、お気軽に大西までご相談ください。
AFP 2級ファイナンシャルプランナー
住宅ローンアドバイザー
REDSエージェント 大西 進
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