REDSエージェント、宅建士の大西進です。
ペアローンに関し、今年になって特に注目されているものに、ペアローン向けの新たな仕組みの団信(以下、ペアローン団信)があります。ペアローンを利用する際には各自が団信に加入しますが、契約者の死亡時などに完済されるのは本人の債務のみのため、遺された配偶者は自分のローンを払い続ける必要がありました。
新登場のペアローン団信の場合は、上のイメージ図が示すように配偶者の債務も一緒に免除する仕組みになっているため関心が集まっています(※夫婦いずれかががんと診断された場合にも残債を免除したり、50%分を免除したりなどの特約もある)。
(写真はイメージです)
今後増えていく「ペアローン団信」
この仕組みは「収入合算」の「連帯債務」で利用されていた夫婦連生団信と同様のものですが、「ペアローン」でも使えるようにした点が大きな話題を呼んでいます。
2024年6月現在、PayPay銀行がカーディフ生命・カーディフ損保と組んで提供を始めており、下の表に示すように複数の保険会社で導入されることが見込まれています。保険会社主導で導入されているため、今後は取扱い金融機関が増えていく様相です。
ペアローン団信では上乗せ金利の確認を
ペアローン団信は、確かに高額な借入時のリスクを抑えられる素晴らしい商品ではありますが、利用に当たっては上乗せ金利を必ずしっかりと確認しましょう。
たとえば、PayPay銀行の商品の例では3つのプランが用意されており、本人の死亡や高度障害状態などで配偶者の債務も含め免除するタイプでは、ローン金利に年0.2%を上乗せする形で保険料を支払うことになります。
また、がんと診断された場合(がん特約)や、1年以上の入院で就業不能が続いた場合も2人分の債務を免除するタイプでは、金利の上乗せは年0.4%です。がん特約などを付け、免除される配偶者の債務を%にするタイプでは、年0.3%の上乗せになります。
仮に、夫婦で3,000万円ずつ、年利0.4%、35年返済、元利均等返済、金利は変わらないものとして試算した上乗せ金利分の額は次の表のとおりです。
従来の一般的な団信であれば上乗せ金利なしで毎月返済額は合計約15.3万円となるところ、0.2%の金利を払い2人分の債務を免除する団信を付ければ、毎月返済額は約5,300円増え、利息総額は約222万円増えることになります。0.4%を上乗せしてがん特約を付けると、毎月返済額は約1万700円の増加となり、利息総額は約450万円アップする計算です。
従来の団信でペアローンを利用する際も、前述のように、それぞれ生命保険を上乗せする形で死亡時のリスクを抑える工夫が可能なため、民間の収入保障保険などで相見積もりを取ったり、今まで入っていた生命保険で代用できないか検討したりしましょう。たとえば、0.2%台の変動金利を借りて、夫婦連生団信の利用で倍以上の金利負担になることもあり得るため、費用対効果を見極めたうえで活用したいところです。
頭金を用意できるかできないかで格差も
大都市圏では特に物件価格が高止まりのなか、金利上昇の兆しが見えたという報道が続いています。共働き夫婦がペアローンを利用して住宅を購入するには、やはり大きなリスクが伴うでしょう。
以前は、金融機関は頭金2割の用意を求めていました。その背景には、もしも返済が滞っても頭金を入れている分だけ担保割れとなるリスクを抑えられるため、任意売却などの際にも家計破綻を回避できる可能性を高められたことが理由のひとつでした。
確かに今は、競争激化のなかで頭金が少なくても購入できる時代にはなっていますが、2024年になってネット銀行を中心に、頭金が1割または2割を用意できる人には、適用金利の引下げを行う動きが加速していることは要注意です。頭金を用意できる人は割安な金利で借入額も抑えて、より有利になる一方、フルローン(頭金なし)の人は割高な金利と高額な借入額でよりリスクの大きい住宅ローンプランで借りる、という格差がジワリと広がりつつあります。
ペアローンのアドバイスをするにあたっては、単に借入額が増えるというメリットだけに注目するのではなく、2人で住宅ローンを組むことによる「死亡」「減収」「離婚」といったリスクを理解し、ライフプラン上のリスクを抑える工夫にも言及することが大切です。
特に20~30代といった若い世代では、十分な貯蓄が少なめで無理のある借入れをしがちなため、親や祖父母からの贈与による頭金づくりや、ライフプランに合わせたペアローンの組み方についても触れたアドバイスが大切な時代になっています。
最後に
2回にわたって、「ペアローン」「ペアローン団信」について、ご説明させていただきました。前回のブログもお読みいただけますと幸いでございます。
ブログはペアローンでご説明いたしましたが、住宅ローンの金利と団体信用生命保険の上乗せ金利のバランスも考えなくてはなりません。
私はお客様に「住宅をご購入されるということは、35年のローンを買うこととご理解ください」とご説明させていただいています。当初は全く同じ条件で住宅ローンをスタートしても、お支払いが完済となる時にはトータルの支払い額に大きな差が出ます。
「ペアローンや一般的な住宅ローンをより具体的に相談してみたい」とお考えの方は、ご相談いただく際に【REDSエージェント大西】をご指名くださいますと、直接ご説明させていただくことができます。お気軽にお問い合わせ、お申し込みくださいますようお願い申し上げます。
今回も最後までお読みくださり、ありがとうございました。
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