こんにちは。不動産売買の仲介手数料が【無料・割引】の【REDS】エージェント、宅建士の小野田(おのだ)です。前回に続いて「道路」について、ブログを書かせていただきます(「道路」については何回かに分けて書く予定で、今回は2回目です)。
前回のブログでは、下記の内容について書きました。
●「道路」は不動産の価値を大きく左右する重要な要素
●道路法と建築基準法での「道路」の違いについて
●「建築基準法」の道路について
本日は建築基準法上の「道路」の「幅員」についてもう少し詳しく解説します。
接道義務と幅員
「建築基準法」第43条では「接道義務」として、建物の敷地は幅員4m以上の(建築基準法上の)道路に間口2m以上で接することが求められています(「幅員4m」という大きさは、日射・採光・通風などの建築物の環境を確保したり、救急車や消防車などの緊急車両が通ったりするために必要な道幅との考えです)。
道路の幅員は、「容積率」や「斜線制限」等を通じて、建築可能な建物の大きさや形状、場合によっては使用用途の制限等にも影響を与えるため、不動産の価値を大きく左右する重要な要素です。
道路幅員の調査の方法
道路幅員の調査では、役所調査と現地調査の2通りの調査を行う必要があります。
役所調査
役所調査では「道路台帳」などでの認定幅員を確認します。ただし「道路台帳」では「公道」の幅員の調査しか行えないことから、必要に応じて「位置指定道路図」、近隣を含めた「建築概要書」など資料を閲覧することも必要になります。
現地調査
現地調査では、実際に現地にて道路の幅員をメジャーなどで計測します。敷地に接面している道路の幅員が一定で平面な場合には、道路と敷地の境界線からの水平距離で幅員を計測します。敷地と道路の間の境界標識(石やプレート)などで境界線が明確になっていれば、その間の距離を測ります。しかし、道路幅員が一定・平面になっていないケースも存在しますので、下記にケース別の道路幅員の測り方を例示します。
ケース別の道路幅員の測り方
歩道がある場合
道路に歩道がある場合は、歩道を含めて道路幅員を計測します。歩道のほか、中央分離帯や路肩なども同様に道路の幅員に含まれます。
側溝がある場合
建築基準法の考え方としては側溝は道路の幅員に含まれます。
「側溝」とは、雨水などを排水し、民地の用水路・排水路として道路の端に設置されるものです。側溝の上部にコンクリート製のふたやグレーチング(鉄などで作られた格子状のふた)が設置されている場合には通行も可能となるので、物理的にも「道路」としての機能を持つことになります。
他方で、ふたなどが設置されていない場合には、その部分は物理的には道路としての機能を有さないことになりますが、建築基準法では側溝はふた(物理的な道路としての機能)の有無にかかわらず、原則として建築基準法上の道路として幅員に含められることになります。
※一部の自治体では慣習的に「側溝」は「道路」に含めないとしている場合もあるため、各自治体の建築指導課などの部署での確認が必要となります。
水路がある場合
敷地と道路の間に「水路」がある場合、原則として水路は含めずに道路の幅員の計測を行います。ただし水路の幅が1m未満の場合は、建築基準法上の道路として幅員に含められる場合や、暗渠(あんきょ)や地下水路で道路とともに管理されているケースでは、道路幅員とすることもあります。水路の取り扱いに関するルールも自治体によって異なります。
「法面」(のりめん)・「法敷」(のりじき)がある場合
「法面」(のりめん)とは、自然の地形や宅地造成(切土・盛土)などで宅地として使用できない傾斜部分のことを指します。「法敷」(のりじき)とは、道路を支えている斜面部分のことです。
「法面」になっている道路や、「法敷」がある道路では、法面・法敷の部分は道路幅員に含めずに計測します。法面・法敷によって道路に高低差があり、傾斜になっている場合は、傾斜部分を除いた水平距離で道路幅員を測る必要があります。
道路の幅員が場所によって異なる場合
途中で幅が異なる不整形の道路は最も狭い部分、最も広い部分など、細かく調べることが必要です。敷地前面の道路幅員が位置によって違うとき、容積率の制限において適用するのが「平均」なのか「最大値」なのか、あるいは「最小値」なのかなど、自治体によって取り扱いが異なります。
その他
前面道路が役所による認定幅員と現地で測った現況幅員が異なる場合、十分な注意が必要です。現況幅員の方が狭い場合には、たとえ認定幅員が4m以上あっても、敷地後退(セットバック)を求められることがあります。
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