【続】不動産売買の重要事項説明書は、実は、例外だらけ。知らないと宅建士も恥をかく | 仲介手数料無料のREDS

REDSエージェント、宅建士の佐藤亮介です。

不動産を購入されるお客様は、購入契約の前に不動産業者(仲介業者または売主の不動産業者)の宅建士から、購入する不動産について書面を示して「重要事項説明」を受ける決まりになっています。今回は重要事項説明書に書かれている内容が、実は「例外のオンパレード」だということについて、触れてみたいと思います。

それらは「なお」や「ただし」で書き始められる注意書きのような文章です。「なお」や「ただし」と必ず頭に付くわけではありませんが、読んでいくと、「あっ」と気づかされる内容の文章です。

今回は、私が重要事項説明書の作成やチェックをした中で、経験した例外事例をご紹介します。

今回は「道路幅員によっては規定の容積率が制限され、希望の広さの建物が建たないことがある」という問題について、ご説明したいと思います。

重要事項説明

前面道路の幅員で定まる容積率の制限

容積率とは、敷地面積に対する建築物の延べ面積の割合のことをいいます。容積率には、用途地域の種別ごとに都市計画で定められる容積率の制限と、前面道路の幅員によって定まる制限があります。今回の例外に関するところは、この「前面道路の幅員によって定まる容積率の制限」です。

例えば第1種(第2種)中高層住居専用地域、第1種(第2種)住居地域や準住居地域で、指定容積率が200%であっても、前面幅員が4mの場合は4m×4/10×100%=160%に制限されます。

また、近隣商業地域、商業地域、準工業地域、工業地域、工業専用地域では、指定容積率が400%であっても、前面幅員が4mの場合は4m×6/10×100%=240%に制限されます。

重要事項説明書では、下のような記載となります。

建築物の延床面積の敷地面積に対する割合の限度(容積率) 指定容積率 200% (  )
→ただし前面道路により上記容積率がさらに制限されます
道路幅員 約4m×4/10×100%=160%

面倒な42条2項道路

さて、あなたが、賃貸マンション建築用地を探しているとして、不動産の仲介業者から、商店街の1本後ろ側の「この道路は42条2項道路かな」と感じるような道路沿いの売地を紹介されたとします。販売図面には「土地面積:100㎡、近隣商業地域、建ぺい率80%、容積率400%、前面道路幅員5m」と記載されています。

前面道路を測ってみると確かに、物件の前は5mあります。

あなたは「ここは容積率が400%となっていますが、前面道路幅員が5mなので、5m×6/10×100%=300%に制限され、延べ300㎡まで建てられるということですね」と、営業マンに念のため確かめたとします。

すると、営業マンは、自信たっぷりに「よくご存じですね。おっしゃるとおり、ここは周りより少し道路が広く5mになっていますので、300%まで建てられます」と答えたとします。

実はこの説明、もしかしたら間違いかもしれません。

お客様が「この道路は42条2項道路かな」と感じるような道路ですので、この売地にいたるまでの幅員が5m未満の場合は、最小幅員(このケースは途中4m未満として)の4m×6/10×100%=240%に制限されることになるかもしれないのです。要するに300㎡ではなく240㎡までしか建てられないということです。

購入前に行政に確認を

購入を決断するには、事前に行政(市区町村により扱いが異なります)に確認が必要となります。港区のホームページでは、今回のケースの他、色々なケース(物件の前面部分で幅員が変わるケースについても紹介していますので、ご参照ください。

●容積率の算定に使う道路幅員についての基本的な考え方

敷地の前面部分だけでなく、交差点から交差点まで(結節点間)の幅員で総合的に判断します。判断に際しては、以下の4点に留意します。

  1. 2m(最低接道長さ)接道部分から交差点までの道路範囲における最小幅員であること。
  2. 敷地と道路の関係により、上記の最小幅員が複数ある場合は、その中で最も大きい幅員を採用する。
  3. 区道などで認定幅員と現況幅員が異なる場合は、比較して小さい方の幅員を採用する。
  4. 隅切り部分は道路幅員に該当しない。

今回のケースは、事例1が該当します。

前面道路幅員による容積率の制限

まとめ

今回は、港区ホームページを参照しましたが、港区に限ったものではありません。道路に関しては、行政に確認することが肝心です。仲介をする宅地建物取引士としては、「この道路は42条2項道路かな」と感じたときには、念のため確認することを怠ってはなりません。

余談ですが、道路幅員が部分的に広くなっている道路を「蛇たま道路」と言うことがあります。

弊社では、購入される皆様に安心してご購入いただけますよう、エージェントがしっかり調査をし、重要事項説明書を作成しております。不動産は、大切な財産です。ご不明な点は、いつでもご質問ください。どうぞよろしくお願いいたします。

 

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