こんにちは。不動産流通システム、REDSエージェント、宅建士の鈴木朋子です。
今回はマンションの管理規約についてお話します。
(画像はイメージです)
マンションの管理規約とは
マンションの管理規約は、住民が快適に共同生活を送るための基本的なルールです。
用途・区分、管理組合の業務内容や運営方法、管理費・修繕積立金の使途、修繕や建て替えといった建物管理に関する内容のほか、ペット飼育の可否などでマンション管理のルールブックといえます。区分所有法の枠の中で、各管理組合が作成しています。
管理規約の主な内容
管理規約には、管理組合運営に関する事項や共用部分の範囲などが記載されています。管理規約で示される規定は、主に以下の3種類に分類されます。
区分所有法どおりにしか定めることができない強行規定
管理規約の変更や廃止、共用部分の変更、建て替えなどに関する重要な議案について、一定数以上の議決を取って可決することを特別決議といいます。例えば、管理規約の変更や廃止には特別決議組合員数および議決権総数の4分の3以上の賛成が必要です。
また、建て替えの決定には5分の4以上の賛成が必要になります。こういった特別決議に関する内容および数字は区分所有法で定められており、管理組合が自由に変更・調整ができない強行規定となります。
区分所有法の認める範囲で調整や変更が可能な規定
共用部分の持分割合や共用部分の管理、集会招集通知の期間などは区分所有法が定める範囲で調整を行うことが可能です。
特に制限がなく、管理組合の裁量で決められる内容
特に法的な制限がない内容もあります。理事会の設置や理事の人数、駐車場・集会室の使用方法などは管理組合ごとに自由に決めてよい内容とされています。
マンション購入の前にチェックしたい管理規約のポイント
購入前に特に注意して確認すべきポイントをいくつかご紹介します。
管理規約が適用される範囲
管理規約が適用される範囲は建物(専有部分、共用部分)、敷地、付属施設になります。専有部分、共用部分がどこなのかは管理規約に記載されています。
一般的に共用部分とはエントランスや共用廊下、エレベーター、駐車場などを指します。
専有部分とは区分所有者が所有する部屋の中のことです。ここで注意しなくてはいけないのが、専用使用権のある共用部分についてです。例えば、バルコニーや専用庭、窓や網戸は専有部分だと思われがちなのですが、実は専用使用権のある共用部分にあたります。そのため、区分所有者ではなく管理組合が監督する場所になり、所有者が勝手に修繕や塗装、交換、タイルの張り替えなどを行うことは禁止されています。
費用負担
管理費や修繕積立金など、区分所有者が負担する費用の算出方法や支払い方法が規定されています。これらの費用がどのように使われるかも確認が必要です。
管理組合の運営
管理組合の役割や運営方法、総会の開催頻度などが規定されています。管理組合がしっかり機能しているかどうかも重要です。
トラブル対処方法
住民間のトラブルや災害時の対応方法などが規定されています。緊急時の対応がしっかりと整備されているかの確認も大切です。
禁止事項
用途制限やペットの飼育、楽器の使用制限、リフォームの制限など管理規約には住民が守るべき禁止事項が定められています。これらのルールが自分のライフスタイルに合っているか確認しましょう。
違反をした場合
建物を汚損したり危険物を持ち込んだり、管理費を滞納したりすれば規約違反となります。
管理規約に違反したからといってすぐに法律違反になるわけではありません。まずは違反行為の停止などの請求(区分所有法57条)から始まり、それに応じない場合は専有部分使用禁止請求(区分所有法58条)、それでも改善が見られない場合、競売請求(区分所有法59条)となるのが一般的な流れです。
競売とは、管理組合が区分所有者に対して専有部分の競売を裁判所に訴えて請求することをいいます。管理組合が競売を申し立てるには、裁判による判決が必要となります。つまり、管理規約違反をし、注意に応じなかった場合は所有者・入居者の意思に反して強制的に退去を命じられる可能性があるということです。
管理規約とは別にある使用細則というルール
管理規約がマンションの管理や使用に関する決まりごとであり、憲法のような存在であるのに対し、それを土台に作られた民法のような位置づけのものとして「使用細則」があります。使用細則には管理規約よりもさらに具体的な内容が記されています。
例えば、管理規約では修繕積立金を積み立てる旨が記載されていますが、使用細則では修繕積立の納入方法や未払いの際の罰則について決められています。
最後に
マンションの管理規約は、区分所有者たちからなかなか関心が向けられていないというのが実情です。
しかし、安心で快適な日常生活を送るためにも、ぜひ意識を向けていただきたいのです。
総会の議事録や議案書をしっかりと読み、現在の規約がどうなっているのかを確認してみましょう。それらを確認することによって、マンションの管理組合の運営が適切になされているのか、意見交換が活発に行われているのかが見えてきます。
「管理規約が何度も改正されているマンションは問題があるのでは?」と感じるかもしれませんが、実態に合わせてこまめな改正が実施されているマンションはそれだけ丁寧な管理・運営がされているともいえます。
管理組合に管理を丸投げするのではなく、所有者一人ひとりが管理規約に意識を向け、自身で意思決定をしようという姿勢でいることが大切です。
管理規約はそのマンションの住みやすさを左右するものでもあります。ご契約の際には自分の暮らしにも関わる内容なので、ぜひ一度チェックしてみてください。
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