REDSエージェント、宅建士・宅建マイスターの渡部です。REDSエージェントがご紹介する【東京の街】シリーズ。今回は東京都江東区をご紹介します。
江東区の区名の由来
江東区は1947(昭和22)年に深川区と城東区が合併して誕生しました。
区名の候補としては、辰巳区、東区、永代区などがありましたが、最終的に「江東」という名称が選ばれました。「江東」は古くから隅田川の東側のエリアを指す地名で、「江」には深川、「東」には城東の意味が含まれ、両区の歴史と伝統を継承する区名として選ばれたといわれています。
江東区の歴史
江東区の歴史は「埋め立ての歴史」です。区の北部の亀戸など一部エリアを除いて、江東区の大半のエリアは中世の時代まで海で、江戸湾の一部でした。
徳川家康が江戸幕府を開府した慶長年間(1596~1615)に埋め立てが始まったとされています。
寛永年間(1624~1644)以降、隅田川河口の小島が徐々に埋め立てられ、越中島地域が形成されます。さらに火災のがれきを処分するため、現在の江東区東陽あたりの海面が埋め立てられました。1900(明治33)年4月からごみの処理を東京市が統一して行うことになり、江東区塩浜、枝川が埋立地となります。また1923(大正12)年の関東大震災のがれき処理で江東区豊洲などが埋め立てられます。当時豊洲は「5号地」と呼ばれ、「豊洲」と正式に命名されたのは1937(昭和12)年です。
我々不動産業者は取引の対象地が「埋蔵文化財包蔵地」に該当するかどうかを必ず調査します(すべての物件で調べます)。
江東区は広い区ですが、埋蔵文化財としては近世以降の時代のものしか現在のところ指定がなく、他区のような古墳、貝塚、集落跡のような古代の遺跡がありません。
「新しさ」が江東区の特徴といえます。
江東区の地質
江東区は東京湾に面した低地に位置するため、地盤は軟弱です。区の大部分は沖積層と呼ばれる地層で構成されており、これは海や川の堆積物によって形成された比較的新しい地層です。沖積層は主に砂、泥、粘土で構成されており、地盤沈下や液状化などのリスクがあります。
江東区では地盤沈下が江戸時代から問題となっています。これは、地下水の過剰なくみ上げによって地盤が沈下する現象です。地盤沈下は、建物の不同沈下(斜めに傾くような沈下)や道路の陥没などの被害を引き起こす可能性があります。
地下水のくみ上げ規制が行われた結果、昭和40年代の末頃からは鎮静化し、現在沈下はほとんどみられません。
江東区の街のご紹介
(写真はイメージです)
江東区は中央区に隣接し都心部へのアクセスのよさは特筆すべきものがあります。湾岸エリアと下町エリアの両方の魅力を持つ区といえます。そんな江東区の人気の街を4つご紹介します。
1.豊洲
関東大震災のがれき処理のために埋め立てられて誕生した豊洲エリア。IHIや東京ガスの工場が立ち並ぶ工業地域でしたが、1988(昭和63)年の東京メトロ有楽町線豊洲駅の開業後再開発が進み、ビジネス街として、そして高層マンションを中心とする住宅地として発展を遂げました。東京ガスの工場跡地には築地市場が移転し豊洲市場が開場しています。
銀座などの都心部に近い立地でありながら地価が相対的に割安で、再開発によって新しく整備された豊洲は、湾岸エリアを代表する住宅地としてファミリー層を中心に高い人気を保っています。「アーバンドックららぽーと豊洲」や「スーパービバホーム豊洲店」といった郊外型の大型商業施設が住宅地のすぐ近くにあるところも豊洲の特徴です。「道路や歩道が広くベビーカーを押しやすい!」という住人の方の声を聞いたことがあります。
セブンイレブンの日本法人1号店は豊洲店です(現在も営業中)。豊洲は日本初のコンビニエンスストアが生まれた土地でもあります。
2.門前仲町
富岡八幡宮別当寺の永代寺の門前町として栄えた門前仲町。
門前仲町駅は東京メトロ東西線と都営大江戸線が利用でき、日本橋まで2駅4分、大手町へは5分という抜群の利便性の高さを誇ります。老舗の乾物店や八百屋、酒屋など、約170店舗が加盟する「人情深川ご利益通り」という商店街があります。活気あふれる商店街を散策していると江戸時代の風情を感じることができます。おしゃれなカフェやレストランも増えていて最近は若い世代にも注目される街となっています。
富岡八幡宮の境内では月に数回、骨董市とフリーマーケットが定期的に開催されています。下町情緒と新しい文化が融合した魅力的な街といえるでしょう。散策やカフェ巡り、ショッピングなど、さまざまな楽しみ方ができます。
3.東陽町
東京メトロ東西線東陽町駅のある江東区東陽エリア。区役所があり、区政の中心地となっています。オフィスビルが立ち並び、ダイエーの本社など、大企業の関連ビルも多数。その周辺は集合住宅を中心とした住宅地となっています。
東陽町は公園や緑地も多く、子育て世帯にも人気があります。日本橋や大手町に10分未満で移動できるというアクセスのよさを誇りながら、生活に必要なさまざまなものがバランスよく整っているのが特徴です。中央区などの都心部に比べると建物間の間隔も広く、住環境は総合的にいいと思います。
4.清澄白河
都営大江戸線の開通によって誕生した清澄白河駅。東京メトロ半蔵門線の押上駅までの延伸に伴い半蔵門線の駅もでき、両路線が利用できる乗換駅となりました。
三菱を創業した岩崎家によって整備された回遊式庭園の都立清澄庭園や、江戸時代の深川の街並みを想定復元した展示などが魅力の深川江戸資料館など、文化や歴史を感じられるスポットが多数あるところが清澄白河エリアの魅力です。またインターナショナルスクールがあり、さまざまな国籍の児童生徒を見かける街でもあります。
清澄白河エリアは最近、「おしゃれなカフェの街」としての認知が高まりつつあります。2015年にアメリカ西海岸で人気のブルーボトルコーヒーが日本での初出店地として清澄白河を選んだことがきっかけとなり、倉庫をリノベーションしておしゃれな空間を演出したカフェなど面白いお店がたくさん生まれました。近年は北欧雑貨やアンティーク雑貨などを扱う個性的な雑貨店も増えました。
清澄白河は下町情緒と新しい文化が融合した魅力的な街です。カフェ巡りや雑貨店巡り、庭園散策など、さまざまな楽しみ方ができます。
江東区の特徴や今後について
江東区の面積は約40㎢で、23区内では6位の面積です。2023(令和5)年1月現在の人口は約53万人で23区中8位です。鉄道路線やバス路線が発達し、都心部へのアクセスのよさは江東区に住む最大のメリットでしょう。
現在地下鉄8号線(有楽町線)の延伸計画が動き出しています。豊洲駅から東陽町駅を経由し、住吉駅に至る区間を整備し、〈豊洲~東陽町〉間と〈東陽町~住吉〉間に(仮称)枝川駅と(仮称)千石駅の2つの中間新駅が2030年代半ばに開業予定です。区内の南北の移動がますます便利になります。
江東区は特に湾岸エリアで豊洲市場や有明ガーデンなどの大型商業施設がオープンし、新たな都市拠点として生まれ変わっています。今後も、高層マンションやオフィスビルの建設が進んでおり、国際的なビジネス拠点としても発展していくことが期待されています。
富岡八幡宮や深川不動尊、亀戸天神社、深川江戸資料館など歴史を感じられる観光スポットも多いですが、将来的な発展も期待できます。その利便性の高さから今後も高い人気を保っていくものと思われます。
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