菅野です。
令和3年第一四半期の日銀短観が4月1日に出ました。
前回(令和2年10-12月)から好転しているということで、午前中は株価も大きく上がった模様です。
でも、良くなってる良くなってきたっておっしゃいますが、正直、エイプリルフールの冗談じゃないかと訝しく思ってしまいました。
こちらが日銀短観へのリンクです。
中身をみると、確かに前回よりは良くなっている、とはいえると思いますが、大企業の製造業以外(非製造業の大企業、業種問わず中堅企業・中小企業)は未だ業況判断がマイナスのままです。
製造業のうち「繊維」「造船・重機等」、非製造業の「運輸・郵便」「対個人サービス」「宿泊・飲食サービス」は大企業中堅企業中小企業の別なくボロボロの業況判断となっています。
大企業製造業については、昨今の円安による輸出の伸びが好影響となっている様子です。
面白いのは、非製造業「電気・ガス」で、大企業が悪く、逆に中堅・中小は良いというところです。
これは、先日のLNGの供給不足と円安による仕入れ価格高騰の影響が見て取れます。
円安は輸出企業にはもちろん好材料ですが、輸入には(当たり前の話ですが)マイナスです。
建築に関して、昨年は設備資材の輸入ストップによる工期への影響がありましたが、今年は輸入木材の価格が現在高騰しているようで、今後影響を及ぼしそうです。
設備投資のところを見ると、ソフトウェア投資額の伸びがすごく、土地投資額はものすごくマイナスとなっています。
これはDX、テレワーク等の影響が見て取れるかと思います。
また、先日の公示地価で商業地が軒並みマイナスとなったことにも整合していると思います。
雇用の部分は未だ厳しく、大企業製造業が変化なし以外はすべてマイナスです。
全体で見れば、まだまだ景気は「悪い」に傾いている様子です。
日銀名古屋支店さんは「新型コロナウイルス感染症拡大前の水準に回復した」とおっしゃっていますが、そうすると2019年10-12月って景気良くなかったんですね。
緊急事態宣言が解除されて間もないにもかかわらず、もうコロナ第4波などと言われていて、景況感の低い規模業種の皆様は息をつく暇もないでしょう。
宿泊・飲食業については今後も厳しい道が続きそうです。
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